2040年の千葉市は… 当事者世代の千葉大生が問題提起:千葉 - 東京新聞(2016年4月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201604/CK2016042102000195.html
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「今の政治家は五十代でも若手。二〇五〇年をリアルに考えられない世代が、『一億総活躍社会』、三〇年までの経済成長を掲げ、政策決定をしている」
千葉大の倉阪秀史教授(政策学)は二十日、五〇年にも一億人を下回る日本の人口推計を示し「将来を担う君たちの世代が参加しなければ新しい政策は出てこない」と、学生に訴えた。
総務省の一四年版情報通信白書などによると、日本の人口は〇八年の約一億二千八百万人をピークに減少に転じた。高齢化も進行しながら五〇年には九千七百万人にまで減ると推計。千葉大の学生たちは五十代の現役世代の真っただ中だ。
倉阪教授はこの日、千葉市の人口や就業者数などのデータを基に、産業別に四〇年の産業構造を予想した「未来シミュレータ」の結果を示した。
一五年と比べて農業の就業者は四〇年には半減し、一人当たりが担う田畑の面積を倍にしないと現状維持ができなくなることが分かった。建設業は四割に減少。一方で、医療・福祉分野は高齢化により、二五年にピークを迎え、その後緩やかに減少していた。いずれも全国推移と軌を一にする。
シミュレーションの結果から、倉阪教授は「業種によってもっと賃金を上げなければ人が集まらなかったり、産業を維持するためには現在の価格体系そのものを見直す必要も出てくる」と指摘した。
学生らは、四〇年にも千葉市で起きる社会問題を予想し、テーマごとの対策をメモにして黒板に張りだした。「高齢者向けのニュースポーツを普及させる」「人口減少に対応するため保育施設を充実させる」など、さまざまな視点から問題提起した。
政経学部二年の鷺谷駿さん(19)は「地域の介護の状態を可視化させる」と書いた。「人口や就業者のデータから明確に将来の問題を感じることができた」
文学部三年の武蔵諒祐さん(20)は「今は待機児童の問題があるが、長期的には保育園・幼稚園のニーズが減少するという推計を知って印象に残った」と指摘。「待機児童の対策をしつつ、将来の予測と擦り合わせる議論や提言が必要だと感じた」と述べた。
韓国から留学中の園芸学部二年のパク・ウンジョンさん(19)は「いろいろなデータで日本の問題を分析していて興味深かった。十八歳で選挙権を認めるのはいいことだと思う。子どもや若者向けの政策は、五十代や六十代ではなく若者が選ぶほうがいい」と話した。
倉阪教授は「雇用上の待遇改善など具体的に提案してくるところが大学生らしい。後半のワークショップでもっと意見を交流できると良い」と期待感を示した。 (柚木まり、中山岳)