(いま読む日本国憲法)(9)第15条 国民のための公務員 - 東京新聞(2016年5月15日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016051502000149.html
http://megalodon.jp/2016-0516-1006-07/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016051502000149.html

日本国憲法の「三原則」の一つである国民主権を、公務員と国民の関係という側面から定めた条文です。
憲法は、天皇が文武官の給与を定めたり任免したりすると規定し、公務員は基本的に「天皇の官吏」という存在でした。これを改め、公務員を選んだり辞めさせたり(罷免)するのは主権者である国民の「固有の権利」だと明記したのです。ここでいう公務員は官僚だけでなく、閣僚や国会議員、裁判官なども含まれます。
憲法は、国民・住民が国会議員や地方自治体の首長や議員を選ぶことができ、最高裁判所の裁判官を罷免できるとも定めています。一五条はそうした具体的な規定に先立ち、公務員の地位は国民の信任に基づくという基本理念を定めているのです。
公務員を「全体の奉仕者」と定めたのは、特定の政党や利益団体のためでなく、国民全体のことを考えて仕事をしなくてはならないという意味です。


一方、一五条は選挙の原則も定めています。だれに投票したか秘密にできること、投票行動について責任を問われないこと−。当たり前のことのようですが、これらが保障されてないと民主的な選挙は成り立ちません。
選挙に立候補する権利も、一五条を根拠に認められているという判例があります。
自民党改憲草案は、普通選挙が保障される人について「日本国籍を有する」という条件をつけました。外国人への地方参政権付与を否定する意味を持ちます。そもそも憲法で定めるべき問題なのかどうかも含め、議論が必要です。


自民党改憲草案の関連表記(抜粋)
公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による。