世界騒然の「パナマ文書」、なぜ日本のメディアは本格的に報じないのか? - ハーバー・ビジネス・オンライン(2016年4月7日)

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(1/2)http://megalodon.jp/2016-0407-1812-42/hbol.jp/89907
(2/2)http://hbol.jp/89907/2
(2/2)http://megalodon.jp/2016-0407-1811-22/hbol.jp/89907/2

この騒動の火付け役とも言える「南ドイツ新聞」(Süddeutsche Zeitung, 略称:SZ)が開設する” About the Panama Papers”という特設サイトによれば、昨年の8月に匿名の情報提供者がSZに接触にしてきたことがすべての発端だという。
この情報提供者から、SZは2.6テラバイトを超えるデータ受け取った。同じデータはワシントンに本部を置く国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative Journalists 略称:ICIJ)にも提供され、SZとICIJは昨年暮れから共同調査を開始したらしい。
その結果、現在までのところ、税金逃れのためにオフショアの金融機関を利用していた21万社以上の存在と、株主やオーナーたちの数万名分の名前が明らかとなった。

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480万件を超えるEメールや200万件以上のPDFファイルで構成される「パナマ文書」が明らかにする、決して後ろ暗くないとは言い切れないカネの動きは、あまりにも広範囲で巨額だ。
すでに一部では「今世紀最大級の金融スキャンダル」との評価も出始めている。
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金融スキャンダルよりガソリン代

さらには金額の巨額さも理由の一つだ。何しろ単位は数兆円のレベル。これほど巨額であれば、その事実をそのまま伝えたとしても現実感が湧かない。数兆円の不正な資金の流れを、難解な外国語のビジネス文書を読み解きながら報じるよりも、お小遣帳さえ管理できれば小学生でも読み込める政治資金収支報告書を根拠に、「200万のガソリン代は高すぎる」などの話を報じた方が数段楽だ。さらに言えば、「オフショア企業」「タックスヘイブン」などの言葉より、「200万のガソリン代」「プリペイドカードの出納」などという日常生活にも登場言葉の方が、読者を煽情するのも容易い。報じ難くもあり読者のウケも良いとは言えないニュースなど誰が報じるか。。。ここらあたりが、日本のメディア各社の本音だろう。
だが「200万円のガソリン代」「プリペイドカードの出納」などというはした金で集団リンチのような会見を開いて朝から晩まで騒ぐ一方で、数兆円規模の巨大な不正行為を追求せぬのならば、それはもはや怠慢を通り越して、愚劣ですらある。
権力を監視し巨悪を撃つのがジャーナリズムの役割だ。確かにこれは綺麗事かもしれない。しかしこの原点を忘れた瞬間、ジャーナリズムの社会的存在理由は消失する。「ガソリン代」で大騒ぎし「パナマ文書」で沈黙を続けるならば、メディアは自殺したに等しいのではないだろうか。<文/菅野完>

(関連サイト)
安倍応援団が民進党山尾志桜里の「地球5周分」ガソリン代を追及も、安倍首相はその倍以上「地球12周分」を計上! - litera_web(2016年4月3日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20160405#p8

参考サイト)
日本の大企業・富裕層はタックスヘイブンで世界第2位の巨額な税逃れ、庶民には消費税増税社会保障削減 - 月刊誌『KOKKO』編集者・井上伸のブログ(2015年9月7日)

http://editor.fem.jp/blog/?p=675

安倍政権は、新成長戦略と骨太方針で法人税減税を打ち出していますが、タックスヘイブンを活用することによって世界第2位となる莫大な税逃れをしている日本の大企業からまともな税金をきちんと払ってもらうことの方を何よりも優先すべきだと思います。東証に上場している上位50社のうち45社がタックスヘイブンを活用し、ケイマン諸島だけの活用に限っても、日本の大企業は55兆円で、アメリカに次いで世界第2位の規模です。つづく、イギリス23兆円、フランス20兆円、ドイツ17兆円で、後に続く各国を合わせた額に相当するぐらい日本の大企業はタックスヘイブンを活用し税逃れをしているのです。私たち庶民は、消費税増税はじめ各種税金から逃れようもないのに、どうして大企業だけが平然と税逃れを行うことができるのでしょうか? 私、このタックスヘイブンの問題について、政治経済研究所理事の合田寛さんにインタビューしました。3時間に及ぶインタビューでしたので前半部分をまず紹介します。
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日本はアメリカに次ぐ55兆円をケイマン諸島へ投資

――日本におけるタックスヘイブン問題の実態はどうなっているのでしょうか?
日本のデータはあまり新聞報道されませんが、最近、『しんぶん赤旗』(2013年8月25日付)が報道したところによると、日本の大企業も例外ではなく、東証に上場している時価総額の上位50社のうち45社――つまり上位50社のほとんどが子会社をタックスヘイブンに持っており、子会社数は354にのぼり、その資本金の総額は8.7兆円にもなるということです。これは具体的に有価証券報告書を調べた結果の数字で、そのベスト5を見ると、みずほフィイナンシャルグループのタックスヘイブン子会社が45社でトップ。続いてソニーが34社、三井住友フィナンシャルグループが27社、三井物産27社、三菱商事24社となっていて、銀行や商社が多くなっています。特に三井住友フィナンシャルグループケイマン諸島だけで18の子会社を持っていて、その資本金は3兆円にものぼっています。国が出資しているNTTやJTも多額の資産をタックスヘイブンに投じているという事実が明らかになっています。
ケイマン諸島だけに限っても、日本の投資残高は55兆円に達していて、アメリカに次いで2位になっています。続いて、イギリス23兆円、フランス20兆円、ドイツ17兆円で、後に続く各国を合わせた額に相当するぐらい日本はタックスヘイブンを利用しているということがこの調査で明らかになっています。