<税を追う>五輪事業 契約非公表 組織委、公費負担の4.3億円 - 東京新聞(2019年1月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019012490070054.html
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二〇二〇年東京五輪パラリンピックで、東京都や国の公費で賄う事業のうち、大会組織委員会随意契約でスポンサー企業に発注する事業は、事業名や契約先・金額などすべてが非公表になっていることが分かった。一七年度末までに契約した事業のうち非公表なのは、七件で計四億三千万円。多額の税金を支出しながら、使途がブラックボックスになっている。 (中沢誠)
非公表の事業は、都や国の公費で大会組織委員会が契約・発注する「共同実施事業」の一部。
一兆三千五百億円を見込む大会経費のうち、都と国の公費負担は七千五百億円。このうち輸送やセキュリティーなど四千五十億円が共同実施事業にあたる。都は一八年度予算で共同実施事業のため七百四十四億円を負担しており、大会が近づくほど発注は増える。それに伴い、非公表対象の額も膨らむとみられる。
組織委はスポンサー企業との随意契約を公表しない理由として「スポンサー契約上、秘密保持が求められており、公表により事業運営上の地位が損なわれる」と説明している。
今後発注が見込まれる警備やサイバー対策などのセキュリティー関連事業の契約についても、組織委は「情報が公開されることで大会の安全が脅かされる可能性がある」として一部を非公表とする方針だ。
組織委は総額で四千五十億円となる共同実施事業のうち、非公表の対象となる規模を明らかにしていない。最新の試算では、都や国が負担するセキュリティー関連だけでも総額八百億円に上る。都は「公金の在り方として適切ではない」として、組織委に公表を求めてきたという。
組織委は取材に「公金を原資にしていることを踏まえ、現在、スポンサー各社と個別協議中」と回答。セキュリティー関連事業は「公表にかかるリスクを評価し、公表の可否を個別に判断することになる」とコメントした。
組織委は、東京大会の準備・運営のため、都と日本オリンピック委員会(JOC)が出資して設立した公益財団法人。スポンサー料などの民間資金で運営している。元首相の森喜朗会長をトップに都や民間、国からの出向組が在籍する。
スポンサー企業は現在七十一社。組織委に協賛金を支払う代わりに東京大会のロゴマークを使って広告を展開したり、関連イベントに参加できたりする。

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シリーズ「税を追う」では、これまで報じてきた防衛費に加え、今後は巨額の公費を投じる東京五輪パラリンピック予算など、さまざまな税の流れを追い、問題点を検証する。