(余録)レストランは「回復する」という仏語に由来する… - 毎日新聞(2016年4月3日)

http://mainichi.jp/articles/20160403/ddm/001/070/166000c
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レストランは「回復する」という仏語に由来する。18世紀中ごろから料理店を指すようになった。一説では、パリのパン屋が「元気を取り戻す食べ物」という触れ込みでスープやポタージュを出したのが評判を呼び、世界中に広まったという。
全国各地で今、「子ども食堂」が誕生している。両親が共働きのため一人でコンビニ弁当を食べたり、家庭の経済的な事情で十分に食事を取れなかったりする子どもたちに、地域の住民らが食事を提供する取り組みである。
兵庫県尼崎市では廃業した元喫茶店内にオープンした。毎週金曜日に夕食を用意し、中学生までは準備や後片付けを手伝えば無料で食べられる。メニューは手作り。近所の人たちが差し入れた野菜や卵でほうれん草のオーブン焼きやブロッコリーの炒め物、豚汁などを作る。おにぎりはみんなでにぎってほおばる。
社会福祉協議会生活協同組合NPO法人、PTAなど地元の多くのグループが運営に協力している。集まった子どもたちは一緒に宿題を解いたりゲームをしたりもする。社協職員の社会福祉士、鎌田千佳子(かまたちかこ)さんは「顔の見える関係を築ける居場所が大事」と話す。
昨年暮れ、ネグレクト(養育の放棄)の疑いで朝食を取らない児童がいると尼崎市社協に相談があった。そこで冬休みの間、昼ご飯を食べる会を開き、その経験が食堂の常設につながった。
国内では6人に1人の子どもが貧困状態にあるという。ひとり親家庭の場合は50%以上と深刻だ。その支援として子ども食堂を設置しようと予算を組む自治体も出てきた。食事を通じて子どもたちの笑顔を取り戻したい。