民法改正法案、通常国会に提出へ 再婚禁止で違憲判決 - 朝日新聞(2015年12月16日)

http://www.asahi.com/articles/ASHDJ4Q3PHDJUTIL01W.html
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「夫婦は同姓」「女性は離婚して6カ月間は再婚禁止」とする民法の規定は、憲法に違反しないか。明治時代から100年以上続く二つの規定について最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)が16日の判決で、初の憲法判断を示した。いずれも国への賠償請求は退けたが、夫婦同姓については「合憲」と判断。再婚禁止規定については100日を超える期間の部分を「違憲」とした。最高裁による違憲判断は戦後10例目。法務省は再婚禁止期間を100日とするよう全国の自治体に通知し、即日実施。民法改正の作業も進める。
「離婚した女性は6カ月間再婚できない」とする民法733条の規定については、岡山県に住む30代女性が2011年に提訴した。
15人の裁判官全員が一致で「違憲」とした判決を受け、法務省はこの日、再婚禁止期間を100日に短縮して取り扱うことを決め、全国の自治体に通知した。来年の通常国会にも民法を改正する法案を提出する。
判決は、再婚後に生まれた子どもの父親をめぐって争いになるのを防ぐという規定の目的には合理性があると判断した。ただ、法律上の父親を「推定」する民法772条は「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」「結婚後200日を過ぎて生まれた子は再婚後の夫の子」と定めている。仮に、離婚後すぐ再婚して200日たった後に子が生まれると父親の推定が重なるが、それを避けるには「100日」の再婚禁止期間で足りる。判決は、これを超えて再婚禁止を強いるのは「過剰な制約だ」とした。
原告の女性が離婚した08年の時点では、医療や科学技術の発達から、すでに憲法14条の「法の下の平等」や24条の「結婚における男女の平等」に反していたとした。
96年には法相の諮問機関「法制審議会」が100日に短縮する法改正案を示していたほか、離婚や再婚の件数が増加し、再婚の制約を減らそうという社会的な要請が高まっていることなどの時代状況も列挙。一方で、こうした変化を踏まえても、08年の時点で国会が法改正をしなかったことは違法とは言えず、国に賠償責任はないと結論づけた。(河原田慎一)