いま読む日本国憲法(49)第81条 最高裁 違憲最終決定 - 東京新聞(2017年6月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017061102000193.html
https://megalodon.jp/2017-0611-1234-23/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017061102000193.html

最高裁はこの条文によって、法律、規則、判決などが違憲かどうか判断を下す最終権限を与えられています。これを違憲審査制と呼びます。
ただ、現実として最高裁は、訴訟対象となる具体的な案件がなければ、法律が違憲か合憲かを積極的に判断しません(司法消極主義)。(1)国民の代表機関である国会の意思を尊重する(2)違憲判決による社会の混乱を回避する−などの理由からです。
憲法は施行から七十年たちますが、最高裁が法律の規定に違憲判決を下したのはわずか十件。直近では二〇一五年十二月、女性のみ再婚を六カ月間禁じる民法の規定について、百日を超える部分を違憲としました。これを受けた民法改正で、女性の再婚禁止期間が百日に短縮されました。
憲法論議では、具体的な案件を離れて抽象的に法律などの合憲性を判断する「憲法裁判所」を設置すべきだという意見があります。
設置に賛成する立場の人は、「憲法の番人」として積極的な役割を果たせると主張。反対の立場からは、憲法解釈を巡る政争が持ち込まれ、憲法裁判所が政治性を帯びた判断を迫られるようになるという懸念が出ています。
憲法裁判所を設置する場合、八一条に加えて、特別裁判所の設置を禁じた七六条二項も議論が必要です。自民党改憲草案は憲法裁判所を創設する規定はなく、八一条も七六条もほぼ現行通り。日本維新の会改憲原案は、憲法裁判所の設置を柱の一つとしています。
 
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自民党改憲草案の関連表記
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する最終的な上訴審裁判所である。