クローズアップ2015:五輪エンブレム撤回 追い込まれ幕引き -毎日新聞 (2015年9月2日)

http://mainichi.jp/shimen/news/20150902ddm003050136000c.html
http://megalodon.jp/2015-0902-1041-22/mainichi.jp/shimen/news/20150902ddm003050136000c.html

2020年東京五輪パラリンピック組織委員会が1日、佐野研二郎氏(43)がデザインしたエンブレムの撤回を決めた。組織委は独自性を強調してきたが、ネット上で次々と発覚するデザインの類似性などに国民やスポンサーからの不信が高まり続け、一転して「国民の支援がないと、使い続けることはできない」(武藤敏郎事務総長)と追い込まれた。総工費が高騰した新国立競技場に続き国民の批判に耐えられなくなった。【藤野智成、新井隆一、野原大輔、片平知宏】
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責任を追及された武藤事務総長は「選んだのは審査委員会」「我々はデザインの専門的知識を持っているわけではない」と繰り返した。その言い回しは、総工費が高騰して白紙撤回した新国立競技場の混乱で政府などが繰り返した答弁に似ている。いったい責任の所在はどこなのか。十分な説明を欠いたままで五輪の準備を進めれば、国民の支持だけでなく国際的な信用も失いかねない。
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武藤事務総長は「スポンサーの皆さんにはご迷惑をかけることになる。出直すことがベストと懸命な説明をしていきたい」と苦しい胸の内を明かす。突然の撤回に企業はさっそく対応に乗り出した。三井不動産やNTTは自社のHPからエンブレムを外した。協賛金が1社当たり60億円前後となる上から2番目のカテゴリー「オフィシャルパートナー」に属する日本航空羽田空港内の駅などに設置した自社看板を撤去する方針だが「損失は避けられない」と困惑した。