沖縄密約情報公開請求訴訟最高裁判決「なくしたので出せません」で本当にいいのか - ビデオニュース・ドットコム(2014年7月19日)

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憲法学者首都大学東京都市教養学部准教授の木村草太氏は、この裁判が情報開示請求訴訟である以上、裁判所としては政府側が文書が見つからないと言っている限り、開示命令を出せないのは理解できるとした上で、しかし、では誰が廃棄したのかや誰が紛失の責任を負っているかなどは、情報開示訴訟とは別に新たな損害賠償訴訟などを提起する必要があるとの見方を示した。公文書を廃棄したり紛失すること自体は犯罪だが、その追求は別の裁判で行われるべきものだということだ。

今回の情報開示請求訴訟のおかげで、密約の存在やその文書が無くなっていることが公然の事実となった。その意味で、原告側の敗訴とはなったものの、今回の密約文書開示請求訴訟には西山氏が指摘するように歴史的には大きな意味があった。しかし、同じく澤地久枝氏が主張するように、そこで明らかになった情報を元に二の矢として文書紛失の責任が追及されない限り、沖縄密約問題は解決したとは言えない。沖縄密約問題とは、単に日米間にどのような密約が存在したかだけでなく、それを国民から隠蔽するために誰が国会や裁判で虚偽の証言をし、誰がどのような隠蔽工作を行なったのか、誰がその文書を闇に葬ったのかなどを含めた全体像が明らかになって、初めて密約問題が解決したと言えるはずだ。

沖縄密約情報開示訴訟の最高裁判決について、ジャーナリストの神保哲生社会学者の宮台真司が、憲法学者の木村草太氏と議論した。