http://mainichi.jp/articles/20160224/k00/00e/040/172000c
http://megalodon.jp/2016-0225-1404-53/mainichi.jp/articles/20160224/k00/00e/040/172000c
官房機密費の支出に関する文書の情報公開請求をした市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪市)のメンバーが、国に不開示決定の取り消しを求めた2件の訴訟の控訴審判決が24日、大阪高裁であった。田中敦裁判長は2012年の1審・大阪地裁判決と同様、具体的な使途や支払先が特定されないと判断した一部文書の開示を命じた。
訴訟の対象は、安倍晋三首相が官房長官を務めていた時期(05〜06年)に支出された計約11億円と、当時の河村建夫官房長官(自民)が政権交代直前の09年9月1〜16日に引き出した計2億5000万円の領収書や支出した相手が分かる文書など。
開示を命じたのは、政策推進費の支払いの合計額などを記した受払簿▽機密費の出入りを集計した出納管理簿の一部▽大まかな用途別に分類した会計検査院に提出する支払明細書。田中裁判長は「開示しても支払い目的や相手は特定されない。臆測を呼んだとしても、事業の遂行に支障を及ぼす具体的な恐れがあるとは言えない」などと指摘した。
一方、河村長官時代分の訴訟の1審判決が開示すべきだとした、公共交通機関の領収書については開示を認めなかった。
判決後、大阪市内で記者会見した同オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大教授は「地裁に続き、高裁も一部開示の判断をしたのは画期的だ」と評価した。
官房機密費の文書開示を巡っては、13年に菅義偉官房長官が引き出した計約13億6000万円についても大阪地裁が昨年10月、受払簿などの開示を命じた。原告と被告の双方が控訴し、大阪高裁で係争中。【堀江拓哉】