文科省が授業内容などの提出要求 前川前次官の中学校での授業で - NHK(2018年3月15日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180315/k10011366661000.html
http://archive.today/2018.03.15-110619/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180315/k10011366661000.html

国が学校に授業の内容を問いただす異例の事態です。愛知県の公立中学校が文部科学省の前川前事務次官を先月、授業の講師に呼んだところ、文部科学省から教育委員会を通じて授業の内容や録音の提出を求められたことがわかりました。いじめなどの問題を除き、国が学校の個別の授業内容を調査することは原則、認められておらず、今後、議論を呼びそうです。

愛知県内の公立中学校で、先月、文部科学省の前川前事務次官総合学習の時間の講師に招かれ、不登校や夜間中学校などをテーマに授業を行い、全校生徒のほか地元の住民らも出席しました。

この授業について今月1日、文部科学省の課長補佐からこの学校を所管する教育委員会宛てに内容を問いただすメールが届いていたことがわかりました。

メールでは、前川氏が天下り問題で辞任したことや、出会い系バーの店を利用していたと指摘したうえで、「道徳教育が行われる学校にこうした背景のある氏をどのような判断で授業を依頼したのか」と具体的に答えるよう記しています。さらに、録音があれば提供することなど15項目について文書で回答するよう求めています。

関係者によりますと、中学校には教育委員会からこれらの内容が伝えられ、録音の提出については拒んだということです。教育委員会も授業内容は事前に了承していたということです。

今の法律では、いじめによる自殺を防ぐなど、緊急の必要がある場合は文部科学大臣教育委員会に是正の指示を出すことが認められていますが、今回のように個別の学校の授業内容を調査することは原則、認められていません。

教育行政上の国の役割とは
戦前の愛国主義的な教育の反省に立ち、国による学校教育への関与は法律で制限されています。教育基本法16条にも「教育は不当な支配に服することなく」と記されています。

地方教育行政について定めた法律では、学校教育に対して、指導や助言などができるのは原則として教育委員会です。国は学習指導要領の作成など全国的な基準の設定や、教員給与の一部負担など教育条件の整備が主な役割です。

一方、いじめ自殺など子どもたちの命に関わる問題が相次ぐ中で、国による関与が必要だとする声も強まり、平成19年に文部科学大臣教育委員会の対応が不適切だった場合、是正の指示ができるようになりました。

しかし、これも法令違反や子どもの命や身体の保護のため、緊急の必要がある場合に限定されていて、今回のように個別の授業内容を調査できる権限は原則、認められていません。
話聞いた主婦「とても勉強になりました」
講演で、前川氏が語ったのは中学時代の不登校体験や今、みずからも関わっている夜間中学校の必要性などについてでした。終了後は教員や生徒、さらに住民と一緒に記念撮影するなど、好評だったということです。

話を聞いた50代の主婦は「夜間中学校について、熱く語られたのが印象残っています。とても勉強になりました」と話していました。また、別の男性は「政治的な話は全くなく、和やかな雰囲気でした」と話していました。
日本教育学会会長「国の行き過ぎた行為」
日本教育学会の会長で教育行政に詳しい日本大学広田照幸教授は、「国の地方の教育行政への関わりは、基本的に抑制的であまり口を出さないのが基本だ。学校の教育内容は教育委員会の管轄であり、何より個々の学校が責任を持って行うものだ。それに対し、明確な法律違反の疑いもないまま授業内容にここまで質問するのは明らかに行き過ぎだ」と指摘しています。

そのうえで、「行政が必要以上に学校をコントロールすることになりかねず、現場は国からの指摘をおそれて萎縮し、窮屈になってしまうのではないか。国があら探しするような調査をかけることは教育の不当な支配にあたると解釈されてもおかしくない」と話しています。
文部科学省「問題ない」
文部科学省は「前川氏が文部科学省の事務方トップだったことや、天下り問題で辞任したことを踏まえ、講師として公教育の場で発言した内容や経緯を確認する必要があると判断した。正確性を期すために文書での確認を行った。問題があるとは思っていない」と話しています。

「森友」 自殺した職員がメモ 「自分1人の責任にされてしまう」 - NHK(2018年3月15日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180315/k10011366671000.html
http://archive.today/2018.03.15-123513/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180315/k10011366671000.html

森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた問題で、今月7日に自殺した近畿財務局の男性職員が、上からの指示で文書を書き直させられたとか、このままでは自分1人の責任にされてしまう、などといった内容が書かれたメモを残していたことが関係者への取材でわかりました。検察当局は財務局の職員が本省から書き換えを指示されていたと見て、詳しい経緯を調べているものと見られます。

森友学園への国有地売却に関する決裁文書をめぐって財務省は今月12日、14の文書で学園側との交渉の経緯などがまとめられた「調書」の部分などが300か所以上書き換えられていたことを明らかにしました。

その5日前の今月7日、近畿財務局で森友学園との国有地の取り引きを担当する部署に所属していた上席国有財産管理官の50代の男性が神戸市内の自宅で自殺しているのが見つかりました。

関係者への取材で、この職員が、上からの指示で文書を書き直させられた、といった内容が書かれたメモを残していたことがわかりました。このメモは数枚にわたって書かれていて、決裁文書の調書の部分が詳しすぎると言われ上司に書き直させられたとか、勝手にやったのではなく財務省からの指示があった、このままでは自分1人の責任にされてしまう、冷たい、などという趣旨の内容も書かれていたということです。

このほか、去年2月以降の国会で財務省側が学園との交渉記録は廃棄したとする答弁をしていることについて、資料は残しているはずでないことはありえない、などと疑問を投げかける内容も書かれていたということです。

検察当局は、財務局の職員が本省から書き換えを指示されていたと見て詳しい経緯を調べているものと見られます。

男性職員がメモを残していたことについて、財務省の担当者は13日の野党6党のヒアリングで、「コメントは差し控える。誰から誰に対し、具体的にどういう指示があったのかという点は引き続き調査している」と説明していました。

財務省の対応と職員の自殺
財務省の決裁文書の書き換えは、今月2日の朝日新聞の報道で明らかになりました。その日の参議院予算委員会で野党側は文書の改ざんがあったのかどうか速やかに確認するよう求めましたが、麻生副総理兼財務大臣は検察の捜査に影響を与えるおそれがあるとして、「答弁を差し控えたい」などと説明を避けました。

そして今月6日、財務省は事実関係の調査結果を国会に報告するとしていましたが、財務省の担当者は捜査を理由に文書は直ちに確認できない状況だと説明し、8日にも書き換えられたあとの決裁文書の写しだけを国会に提出し、「近畿財務局に残っている文書の写しはこれがすべてだ」と説明しました。

その後、今月5日の時点で、国土交通省から書き換え前の文書の写しの提供を受けていたのに8日の報告ではその存在を伏せていたことがわかっています。

こうした対応のさなかの今月7日の午後、近畿財務局で学園側との国有地の取り引きを担当する部署に所属していた上席国有財産管理官の男性職員が上からの指示で文書を書き直させられた、とか、このままでは自分1人の責任にされてしまう、などという内容が書かれたメモを残して自殺しているのが見つかりました。

男性職員の自殺は2日後の今月9日に報道などで明らかになりましたが、この日の夜、当時の理財局長だった佐川前国税庁長官が辞任し、麻生副総理兼財務大臣は「職員が亡くなられたことは大変痛ましく、残念だ」と述べたうえで、文書の書き換えの有無を近日中に明らかにする考えを示しました。

そして今月12日、財務省は14件の決裁文書に書き換えがあったことを認め、佐川氏の国会答弁と整合性を取るため、本省の理財局が主導して行ったことを明らかにしていました。
親族「なぜ死んだか知りたい」
男性の親族は今月11日に取材に応じ、「去年8月に電話で話したときは元気がない様子で、『自分の中の常識が壊れてしまった。定期異動で今の部署から移れると思っていたのに異動できず、心身の不調が進んだ』と話していた。
去年12月のメールには『年明けには職場復帰したい』とあったが、突然、今月7日に亡くなったと連絡があった。誠実で正義感が強く、愚痴や人の悪口を言わない人だったのでなぜ死んだのか知りたい」と話していました。

辺野古反対 リーダーに有罪 山城議長「問われるべきは政府」 - 東京新聞(2018年3月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031502000146.html
https://megalodon.jp/2018-0315-0931-22/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031502000146.html

米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)移設への抗議活動に伴い、威力業務妨害罪などに問われた反対派リーダー、沖縄平和運動センター議長の山城博治(ひろじ)被告(65)に、那覇地裁は十四日、懲役二年、執行猶予三年(求刑懲役二年六月)の判決を言い渡した。被告は即日控訴した。
被告は逮捕後に約五カ月間勾留され、移設反対運動への弾圧で、沖縄で表現の自由が抑圧されていると主張していた。
判決理由で柴田寿宏裁判長は「憲法で保障される表現の自由の範囲を逸脱している。犯罪行為であり、正当化できない」と判断した。その上で「犯行の主導的役割を果たした。共犯者をあおった面があり、強い非難を免れない」と述べた。
判決によると、山城被告は二〇一六年一月、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前に大量のブロックを積み、工事用資機材の搬入を妨害し、同八月には米軍北部訓練場(東村など)付近で沖縄防衛局職員の肩を激しく揺さぶって約二週間のけがを負わせた。同十月には北部訓練場への侵入防止用の有刺鉄線一本をペンチで切断した。
共犯として威力業務妨害罪に問われた無職稲葉博被告(67)には懲役八月、執行猶予二年(求刑懲役一年)の判決。傷害罪などに問われた無職添田充啓(あつひろ)被告(45)は、現場を撮影したビデオ映像から暴行の事実が認められないとして一部無罪とした上で、懲役一年六月、執行猶予五年(求刑懲役二年)とした。

◆「最小限の抵抗」「不当判決
山城博治議長は、有罪判決を言い渡されても表情を変えなかった。十四日、那覇地裁の廷内。傍聴席からは「不当判決だ」との声も。山城議長は判決後、支援者約三百人を前に「問われるべきは政府だ」とし、抗議活動を続けていくと強調した。
「必死になって国家の暴力をいさめた必要最小限の抵抗だ」。記者会見では、巨大な国家権力に対抗する上で必要だったとし、表現の自由の範囲を超えているとした判決に異議を唱えた。
逮捕後、約五カ月間の拘束は、表現の自由や抗議活動の権利に関わり、国内外で反響を呼んだ。「人権侵害だ」。ジュネーブの国連人権理事会で訴え、無罪を求める署名は三十一万筆超に。反対派住民の間には日本の司法に不信の声も漏れる。
山城議長は法廷を出て、米軍基地の過重な負担に立ち向かってきた歴史を持つ「沖縄県民の誇り」を支援者らに呼び掛けた。一時は悪性リンパ腫の闘病で抗議活動から離れたこともあったが、最後まで強気を崩さず「歴史の審判の中では沖縄が勝利者になる」と訴えた。

(辺野古・高江裁判)見せしめが萎縮を生む - 沖縄タイムズ(2018年3月15日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/223080
https://megalodon.jp/2018-0315-0933-17/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/223080

国内外の人権団体や平和運動団体からも注目された判決だった。
多くの支援者が危機感をもって那覇地裁前に集まったのは、辺野古や高江を巡る政府の対応があまりにも強権的だからである。
名護市辺野古の新基地建設などに対する抗議行動を巡り、公務執行妨害や威力業務妨害の罪などに問われた山城博治・沖縄平和運動センター議長(65)ら3人の判決公判が14日、あった。
那覇地裁は、山城議長に懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)の有罪判決を言い渡した。
共犯として威力業務妨害罪に問われた男性(67)と傷害罪などに問われた男性(45)も、執行猶予付きの有罪判決を受けた。
だが、裁判所は、米軍基地を巡る沖縄の歴史や現実にはまったく触れなかった。なぜ、このような抗議行動が起きたのかという背景にも関心を示さなかった。
キャンプ・シュワブのゲート前に大量のブロックなどを積み上げ、工事用車両の搬入を阻止しようとしたことなどの事実を取り上げ、「表現の自由の範囲を逸脱している」と断じたのである。
この判決は大きな副作用を生むおそれがある。傷害罪の成立を認めることによって憲法で保障された市民の正当な抗議行動と反対意見の表明を萎縮させかねないのである。
「意見および表現の自由」に関する国連特別報告者のデービッド・ケイ氏が、訪日後にまとめた報告書の中で危惧したのはこの点である。

■    ■

米軍基地を巡る裁判で、決まって、住民側から提起される問いがある。
「本来、問われるべきは何なのか」「裁かれるべきは誰なのか」という問いかけだ。
辺野古の新基地建設や高江のヘリパッド建設で浮かび上がったのは、目まいがするような政府側と住民側の「不均衡」である。
警備陣の暴力的な警備によって住民側には負傷者が相次いだ。違法行為や違法な疑いのある行為も目立った。
名護市長選や知事選、衆院選などで新基地建設に反対する候補者が当選し、明確に民意が示されたにもかかわらず、一顧だにせず、強引に工事を進めた。
その結果、高江や辺野古の現場では、取り締まる側と市民の間に著しく「衡平(こうへい)」を欠いた状態が生じてしまったのである。
判決後の記者会見で山城議長は「沖縄の実態を見ようとしない不当な判決だ」と声を荒げた。

■    ■

判決は「共謀」の認定についても、厳密さを欠いているところがある。「共謀」と認定される行為の範囲が広がれば、表現の自由に対する重大な脅威になるだろう。
裁判所にはもともと限界があり、過剰な期待をもつのは禁物だが、「人権のとりで」としての司法がその役割を果たさず、行政と一体化すれば、三権分立は成り立たない。
辺野古・高江裁判は、日本の民主主義を、根っこから問う裁判といっても過言ではない。

平和運動センター議長に有罪判決 懲役2年、猶予3年 ほか2人も猶予刑 - 琉球新報(2018年3月14日)

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-682277.html
http://archive.today/2018.03.14-062016/https://ryukyushimpo.jp/news/entry-682277.html

名護市辺野古の新基地建設や東村高江の米軍北部訓練場ヘリコプター発着場建設に対する抗議活動を巡り、威力業務妨害公務執行妨害・傷害などの罪に問われた山城博治沖縄平和運動センター議長(65)ら3人の判決公判が14日午後1時半、那覇地裁で開かれた。柴田寿宏裁判長は議長に懲役2年(求刑懲役2年6月)、執行猶予3年を言い渡した。
ほか2人にも猶予刑を言い渡した。
山城議長は判決を不服として即時控訴した。一部無罪となった一人以外のもう一人も控訴した。
起訴状によると、山城議長は2016年1月に名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ工事用ゲート前でブロックを積み上げ、資材搬入の業務を妨害したとされる。
弁護側は資材搬入を止めるためのブロックを積み上げ行為について、威力業務妨害を適用することは「表現の自由を侵害し違憲だ」などと主張し、器物損壊を除く各事案で無罪を訴えていた。
那覇地裁周辺には議長らの支援者が多く駆け付け、拳を挙げて無罪を強く訴えていた。【琉球新報電子版】

山城議長有罪判決 問われるべきは政府だ - 琉球新報(2018年3月15日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-682635.html
http://archive.today/2018.03.15-003455/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-682635.html

名護市辺野古の新基地建設や東村高江の米軍北部訓練場ヘリコプター発着場建設に対する抗議活動で、威力業務妨害罪などの罪に問われた沖縄平和運動センターの山城博治議長に対し、那覇地裁は懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)の判決を言い渡した。
有罪判決は、新基地反対の民意を力で封じている政府の姿勢に裁判所がお墨付きを与えるものであり、納得できない。表現の自由、集会の自由など憲法が保障する権利を認めず、国連の人権基準にも抵触するような判決は受け入れられない。
本来、問われるべきは山城議長らではない。政府の方である。国土面積の0・6%の沖縄に米軍専用施設の70・38%を集中させ、新基地建設を強行している。山城議長らを逮捕・長期勾留し、抗議行動の力をそごうとしたのは明らかだ。
起訴状によると、山城議長は2016年1月に名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ工事用ゲート前でブロックを積み上げ、資材搬入の業務を妨害し、同8月には米軍北部訓練場付近で沖縄防衛局職員の肩を激しく揺さぶって約2週間のけがを負わせた。同10月には同訓練場の進入防止用の有刺鉄線1本をペンチで切断したとしている。
弁護側はブロック積み上げ行為について、威力業務妨害を適用することは「表現の自由を侵害し違憲だ」などと主張し、器物損壊を除く各事案で無罪を訴えていた。
判決は山城議長らの行為について「表現の自由を逸脱」する「犯罪行為であって、正当化することはできない」と指摘している。山城議長が公務員に暴行を加えて傷害を負わせたのは「悪質」で、反対運動のリーダー的存在として「主導的役割を果たした」と認定した。山城議長の「言動が共犯者らの犯行をあおったという面があり、この点について強い非難を免れない」と指摘している。
今回の判決は、人権を巡る国際法の理念に背を向ける内容だ。16年に日本を調査した国連人権理事会の特別報告者は、山城議長の逮捕と長期勾留について「抗議行動に不釣り合いな制限が加えられている」「裁判なしに5カ月間拘束したのは不適切で、表現の自由に対する萎縮効果を懸念する」と報告している。
ヘリ発着場建設や新基地建設の抗議行動に対する警備は、市民の抗議活動を政府が制限する際の国連ガイドラインを逸脱している。
ところが那覇地裁は、弁護側が提出した国際人権法専門家の証人申請を却下し、長期勾留を批判した国連特別報告者の資料などの証拠申請も却下した。判決は国連が指摘した国連ガイドラインに沿った内容ではない。
日本は国連人権理事会の理事国である。国際基準と向き合わない裁判所の姿勢は異様ですらある。

9条改憲 「自衛隊」明記で集約図る 条文7案提示へ - 東京新聞(2018年3月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018031502000159.html
https://megalodon.jp/2018-0315-0935-15/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018031502000159.html


自民党憲法改正推進本部は十五日の全体会合で、九条改憲について自衛隊の存在を明記するなど七通りの条文案を提示する。内訳は、戦力不保持を定めた二項を維持して「自衛隊」という固有名詞を書き込む三案、二項を維持して「自衛権」を書く二案、二項を削除する二案。このうち執行部は、安倍晋三首相の主張に沿い、二項を維持して「自衛隊」を明記する案で意見集約を図る。 (生島章弘)
自衛隊」明記案は、現行の九条に基づく武力行使の制約が維持されることを示すため「必要最小限度の実力組織」などの表現も加える内容。「自衛権」明記案は、その発動や行使を「妨げない」と規定する。二項削除案は「陸海空自衛隊を保持する」とした石破茂元幹事長の案など。
執行部は二項維持の方針を固めている。「自衛隊」か「自衛権」かについては自衛隊という文言を明記した方が、自衛隊違憲論に終止符を打ちたい首相の意向に沿うと判断した。
十四日に開かれた推進本部の執行役員会も、出席者によると「自衛隊」明記案への支持が大勢を占めたという。細田博之本部長は会合で「現状の要請に合わせるべきは合わせるという考え方を、国民や各党に理解していただかないといけない」と強調した。
執行部は、党大会が二十五日に迫っていることを踏まえ、十五日の全体会合で条文案作成への一任を取り付けたい考え。議論を終えている緊急事態条項の新設など三項目を含め二十日の党総務会に条文案を報告することを想定している。
だが党内には依然として二項削除を支持する声も残る。石破氏は十四日の執行役員会後「(意見集約するような)そんな状況とは思っていない」と記者団に語り、取りまとめを急ぐ執行部をけん制した。

自民党の9条改憲案 自衛権論議の密度が粗い - 毎日新聞(2018年3月15日)

https://mainichi.jp/articles/20180315/ddm/005/070/061000c
http://archive.today/2018.03.15-003738/https://mainichi.jp/articles/20180315/ddm/005/070/061000c

憲法9条改正をめぐる自民党の党内論議が集約段階を迎えている。
自民党が目指しているのは、9条1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持)を維持したまま、自衛隊の存在を明記することだ。自衛隊の合憲・違憲論争に決着をつけようと安倍晋三首相が提起した。
自衛隊という実力組織を憲法でどう位置づけるか。その問題提起を私たちは否定はしない。
ただ、9条に規定されているのは、日本国憲法の核心ともいえる平和主義だ。改正しようというなら、一語一語の解釈にあいまいさを残さない緻密な議論が必要になる。
自民党憲法改正推進本部で示された七つの条文案をみる限り、そうした議論の積み上げが足りない。
最も重要なのは「自衛権」という概念の範囲を明確にすることだ。
同本部の執行部が有力視しているのは、9条とは別に「9条の2」を新設し、「自衛隊を保持する」と明記する案だ。自衛隊については「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つための必要最小限度の実力組織」と位置づけた。
現行憲法下で自衛隊が9条違反とされないのは、「自衛のための必要最小限度の実力組織」であれば戦力に当たらないという政府の憲法解釈に基づく。条文案はこれに沿ったものだが、「自衛のため」との表現は避けた。自衛権の範囲をめぐる憲法論争に踏み込みたくないのだろう。
「必要最小限度」に代えて「前条(9条)の範囲内で」と規定する別の案も示された。従来の9条解釈に自衛隊が縛られることを明確にし、改正後も自衛隊の任務や権限は変わらないと強調する狙いがある。
いずれの案も、自衛隊が行使できるのは個別的自衛権に限られるとしてきた憲法解釈の変更前であれば意味を持ったかもしれない。だが、その前提を崩したのは安倍政権だ。
集団的自衛権の限定行使を可能とした安全保障関連法の制定により、憲法上許される自衛権の範囲は揺らいでいる。自衛隊違憲論争に決着がついても、自衛権論争は続く。
自衛権の範囲をあいまいにしたまま「自衛隊」という固有名詞を憲法に明記することにも危険が潜む。自衛権憲法解釈とは別次元の特別な存在となって独り歩きしないか。

(政界地獄耳)改憲に進めない首相の居場所もなくなりそう - 日刊スポーツ(2018年3月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803150000187.html
http://archive.today/2018.03.15-060045/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803150000187.html

森友学園前理事長・籠池泰典が首相・安倍晋三を侮辱したから証人喚問すると決めたのは、当時の自民党国対委員長で総務会長の竹下亘。喚問決定までずいぶん時間をかけていたが、今回は打って変わって、党3役の立場として、国対委員長時代とは別の対応に転じた格好だ。「菅義偉官房長官に『徹底的に真相を究明しなさい、という本当に強い話が出た』と報告する」とし、「行政への信頼が根底から揺らぐという危機感を持った。国会にうそをついたということだから、国会もすごく厳しく対応しなきゃならん」。今回は前国税庁長官・佐川宣寿の国会招致にまっしぐらに向かっていく印象で、籠池喚問時からの変貌ぶりが際立つ。
★また党憲法改正推進本部長・細田博之から「条文案まで決めるのは難しいが、大きな方向性を総務会でもんでほしい」と要請されたことを明かし、党大会で示すのは「方向性」にとどまるとの見通しを示した。党の推進本部は、25日の党大会までに自衛隊明記など4項目の条文案を策定する方針だったが、党内議論は低調で細田も集約するまでに至らなかった。党としての草案策定を党大会で了承して9月の総裁選に臨む首相の戦略は、大幅な変更を余儀なくされる。
自民党日本会議系議員が言う。「森友文書改ざん問題では、首相や財務相には頑張ってもらいたいが、日本会議系の議員の名前ばかりが出てきて心配だ」という。また政界関係者は党内の声として「ここまで来た憲法改正の議論が、首相夫妻の不始末でつぶされるのは残念でならない。改憲のために頑張ってきたし、いろいろ目をつぶってきたものもある。党内集約ができなかったことや低調な議論だったことも言われるが、改憲ができないのなら、もう安倍さんが首相でなくてもいいのではないか」との指摘もあるという。森友疑惑もさることながら、改憲に進めない首相の居場所もなくなりそうだ。(K)※敬称略

自民改憲本部 9条2項維持で詰め 15日全体会合 - 毎日新聞(2018年3月15日)

https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00m/010/147000c
http://archive.today/2018.03.15-003951/https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00m/010/147000c

自民党憲法改正推進本部は14日の役員会で、憲法9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)を維持して自衛隊の存在を明記する改正案を示した。現行の9条とは別の「9条の2」を新設し、「内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」と定める。細田博之本部長は15日の全体会合で一任を取り付けたい考えだが、第2項削除を主張する石破茂元幹事長は役員会後、「両論がある状況が続いている」と記者団に表明。意見集約できるかはなお不透明だ。

大蔵省時代にも前科あり、「忖度と改ざん」は財務省伝統の悪癖だ - ダイヤモンド・オンライン(2018年3月15日)

http://diamond.jp/articles/-/163466

財務省が自ら改ざんするなんてあり得ない、首相や官邸の圧力があったはず――。そんな見方も多く出ているが、実は27年前に起きた証券スキャンダルでも、旧大蔵省はインチキ行為を行った。ズルをするというのは、財務省という組織に染み付いたカルチャーなのではないだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)

http://diamond.jp/articles/-/163466?page=6
大蔵省時代に培われた計画経済的発想が不正を招く
実は戦後日本の金融政策は旧ソ連からモロに影響を受けた「計画経済」という考えに基づいて進められてきた。為替、税制、金融機関への厳しい統制、護送船団方式など、あらゆることが大蔵官僚の計画と統制のもとで進められなくてはいけなかったので、いつしか「金融社会主義」などと揶揄されるようになった。
この構造が日本の金融をダメにしていると指摘してきた日本経済新聞も1990年代、「金融社会主義罪と罰」「金融社会主義の罪をどう償うか」と社説などで厳しく批判した。この傾向は財務省となった今もまったく改まることはなかった。「とにかく我々の計画どおりに消費増税を実行せよ!」と突き進んでいるのがその証左である。
こういう社会主義的な思想の強い組織は、不正や改ざんがはこびりやすい。
以前、神戸製鋼の記事(「神戸製鋼『不正40年以上前から』証言で注目すべきソ連との関係」)で詳しく述べたが、社会主義的組織は何事も「計画経済」という目標ありきで物事を進める。そして、ちょっとでも計画と実態の齟齬が生まれることを極度に恐れ、経済統計の操作や、文書改ざんなどの「辻褄合わせ」が常態化して、「大義の前には不正もやむなし」というモラルハザードが引き起こされるのだ。
そんな馬鹿な話があるかと思うかもしれないが、旧ソ連の流れをくむロシア社会の最近の「改ざん」に対する意識をみれば笑っていられない。
「独立系の調査会社による4月の世論調査では、7割近くが国益や安全保障のための報道規制は必要と答え、3割が情報改ざんもやむなしと回答した」(日本経済新聞2015年9月20日
ソ連が崩壊したのは1991年だ。あれから24年も経過しているのに、ロシア社会には社会主義国家時代の「辻褄合わせ文化」が今も受け継がれている。「金融社会主義」を実践していた大蔵省の流れを汲む財務省という組織の構成員たちの間に「辻褄合わせ文化」が継承されていても、何の不思議もないのだ。
ならば、財務省に「国益のためなら改ざんやむなし」という思想が根付いてしまったのは、大蔵省時代に「金融社会主義」に傾倒したことの「副作用」という側面はないだろうか。
今回の「国会答弁に合わせた改ざん」は、26年前の「国会答弁に合わせたズル」のリバイバルなのか。それとも、野党やマスコミの主張するように、ヒトラー安倍による恐怖政治の産物か。今後の調査報道に注目したい。

「森友」 財務省 以前から不都合な文書削除か - NHK(2018年3月13日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180313/k10011363801000.html

森友学園」に関する決裁文書の書き換え問題で、財務省が12日、国会に報告したもののほかにも決裁文書に添付していたメモが削除されていたことが新たにわかりました。このメモの削除は、これまで明らかになっている書き換えより前の時期に行われたとみられ、開示すれば不都合になると考えた文書の改ざんや削除が以前から行われていた疑いが出てきました。

財務省は、12日、14件の決裁文書に書き換えがあったことを認め、国会に報告しました。

しかし、その後、このうち1件の文書にもともと添付されていた1枚紙のメモが、3年前の平成27年6月に原本から削除されていたことが、新たにわかったということで、財務省は13日夕方、参議院予算委員会の理事などに説明しました。

このメモには近畿財務局が国有地を貸し付ける契約について財務省本省と相談していることがわかる内容が書かれていて、森友学園の籠池前理事長が近畿財務局に決裁文書の開示を求めて情報公開請求を行った際に削られた可能性があるということです。

一部の理事に行った説明によりますと、籠池前理事長が本省に直接掛け合うことを心配した近畿財務局の判断で削除したとみられるということです。財務省本省は関わっていないということです。

財務省はこれまで決裁文書の書き換えについて、本省理財局の指示で去年2月下旬から4月にかけて行われたとしています。しかし、新たに明らかになったメモの削除は、それより前に近畿財務局が独自の判断で行っていたことになります。

開示すれば不都合になると考えた公文書を意図的に削除するなどの書き換え・改ざん行為が以前から行われていた疑いが浮かび上がったことで、今後、問題がさらに深刻化することが予想されます。

改竄、電子鑑識で判明 大阪地検、PCデータ復元 森友文書 - 産経ニュース(2018年3月14日)


http://www.sankei.com/smp/affairs/news/180314/afr1803140002-s1.html
http://web.archive.org/web/20180314030511/http://www.sankei.com/smp/affairs/news/180314/afr1803140002-s1.html

学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題で、改竄は大阪地検特捜部が実施した電子鑑識によって判明したとみられることが13日、関係者への取材で分かった。財務省は改竄後の文書を特捜部に提出していたが、パソコン内に残されたデータを復元して改竄が分かったという。虚偽公文書作成などの罪にあたる可能性があり、特捜部は慎重に捜査を進めるもようだ。
財務省の調査によると、改竄が見つかったのは貸付決議書や売払決議書など14の文書。改竄は昨年の通常国会でこの問題が取り上げられた直後の2月下旬〜4月に財務省理財局の指示を受け、近畿財務局が行っていたとされる。
関係者によると、特捜部は昨年9月に公用文書毀棄(きき)罪などの告発を受け捜査。国有地売却をめぐって、政権の関与や行政の忖度(そんたく)を疑う声が根強いことから、電子鑑識による徹底解明が不可欠と判断したという。
捜査に使用されたのは「デジタルフォレンジック」(DF)と呼ばれる技術で、パソコンやサーバーのデータを消去したり、上書きしたりしても、データ自体はハードディスクに残っていることが多く、復元することができる。
財務省会計検査院に改竄後の文書を提出していたが、特捜部にも改竄後の文書を提出していた。だが、特捜部が近畿財務局のパソコンをDFで解析した結果、文書が改竄されていたことが判明したという。
DFは現職検事が逮捕された平成22年の大阪地検特捜部の押収資料改竄事件を機に、東京、大阪、名古屋の各地検特捜部に導入された。24年のオリンパス損失隠し事件や25年の徳洲会グループの選挙違反事件など多くの事件で活用されている。