辺野古反対 リーダーに有罪 山城議長「問われるべきは政府」 - 東京新聞(2018年3月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031502000146.html
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米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)移設への抗議活動に伴い、威力業務妨害罪などに問われた反対派リーダー、沖縄平和運動センター議長の山城博治(ひろじ)被告(65)に、那覇地裁は十四日、懲役二年、執行猶予三年(求刑懲役二年六月)の判決を言い渡した。被告は即日控訴した。
被告は逮捕後に約五カ月間勾留され、移設反対運動への弾圧で、沖縄で表現の自由が抑圧されていると主張していた。
判決理由で柴田寿宏裁判長は「憲法で保障される表現の自由の範囲を逸脱している。犯罪行為であり、正当化できない」と判断した。その上で「犯行の主導的役割を果たした。共犯者をあおった面があり、強い非難を免れない」と述べた。
判決によると、山城被告は二〇一六年一月、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前に大量のブロックを積み、工事用資機材の搬入を妨害し、同八月には米軍北部訓練場(東村など)付近で沖縄防衛局職員の肩を激しく揺さぶって約二週間のけがを負わせた。同十月には北部訓練場への侵入防止用の有刺鉄線一本をペンチで切断した。
共犯として威力業務妨害罪に問われた無職稲葉博被告(67)には懲役八月、執行猶予二年(求刑懲役一年)の判決。傷害罪などに問われた無職添田充啓(あつひろ)被告(45)は、現場を撮影したビデオ映像から暴行の事実が認められないとして一部無罪とした上で、懲役一年六月、執行猶予五年(求刑懲役二年)とした。

◆「最小限の抵抗」「不当判決
山城博治議長は、有罪判決を言い渡されても表情を変えなかった。十四日、那覇地裁の廷内。傍聴席からは「不当判決だ」との声も。山城議長は判決後、支援者約三百人を前に「問われるべきは政府だ」とし、抗議活動を続けていくと強調した。
「必死になって国家の暴力をいさめた必要最小限の抵抗だ」。記者会見では、巨大な国家権力に対抗する上で必要だったとし、表現の自由の範囲を超えているとした判決に異議を唱えた。
逮捕後、約五カ月間の拘束は、表現の自由や抗議活動の権利に関わり、国内外で反響を呼んだ。「人権侵害だ」。ジュネーブの国連人権理事会で訴え、無罪を求める署名は三十一万筆超に。反対派住民の間には日本の司法に不信の声も漏れる。
山城議長は法廷を出て、米軍基地の過重な負担に立ち向かってきた歴史を持つ「沖縄県民の誇り」を支援者らに呼び掛けた。一時は悪性リンパ腫の闘病で抗議活動から離れたこともあったが、最後まで強気を崩さず「歴史の審判の中では沖縄が勝利者になる」と訴えた。