大蔵省時代にも前科あり、「忖度と改ざん」は財務省伝統の悪癖だ - ダイヤモンド・オンライン(2018年3月15日)

http://diamond.jp/articles/-/163466

財務省が自ら改ざんするなんてあり得ない、首相や官邸の圧力があったはず――。そんな見方も多く出ているが、実は27年前に起きた証券スキャンダルでも、旧大蔵省はインチキ行為を行った。ズルをするというのは、財務省という組織に染み付いたカルチャーなのではないだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)

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大蔵省時代に培われた計画経済的発想が不正を招く
実は戦後日本の金融政策は旧ソ連からモロに影響を受けた「計画経済」という考えに基づいて進められてきた。為替、税制、金融機関への厳しい統制、護送船団方式など、あらゆることが大蔵官僚の計画と統制のもとで進められなくてはいけなかったので、いつしか「金融社会主義」などと揶揄されるようになった。
この構造が日本の金融をダメにしていると指摘してきた日本経済新聞も1990年代、「金融社会主義罪と罰」「金融社会主義の罪をどう償うか」と社説などで厳しく批判した。この傾向は財務省となった今もまったく改まることはなかった。「とにかく我々の計画どおりに消費増税を実行せよ!」と突き進んでいるのがその証左である。
こういう社会主義的な思想の強い組織は、不正や改ざんがはこびりやすい。
以前、神戸製鋼の記事(「神戸製鋼『不正40年以上前から』証言で注目すべきソ連との関係」)で詳しく述べたが、社会主義的組織は何事も「計画経済」という目標ありきで物事を進める。そして、ちょっとでも計画と実態の齟齬が生まれることを極度に恐れ、経済統計の操作や、文書改ざんなどの「辻褄合わせ」が常態化して、「大義の前には不正もやむなし」というモラルハザードが引き起こされるのだ。
そんな馬鹿な話があるかと思うかもしれないが、旧ソ連の流れをくむロシア社会の最近の「改ざん」に対する意識をみれば笑っていられない。
「独立系の調査会社による4月の世論調査では、7割近くが国益や安全保障のための報道規制は必要と答え、3割が情報改ざんもやむなしと回答した」(日本経済新聞2015年9月20日
ソ連が崩壊したのは1991年だ。あれから24年も経過しているのに、ロシア社会には社会主義国家時代の「辻褄合わせ文化」が今も受け継がれている。「金融社会主義」を実践していた大蔵省の流れを汲む財務省という組織の構成員たちの間に「辻褄合わせ文化」が継承されていても、何の不思議もないのだ。
ならば、財務省に「国益のためなら改ざんやむなし」という思想が根付いてしまったのは、大蔵省時代に「金融社会主義」に傾倒したことの「副作用」という側面はないだろうか。
今回の「国会答弁に合わせた改ざん」は、26年前の「国会答弁に合わせたズル」のリバイバルなのか。それとも、野党やマスコミの主張するように、ヒトラー安倍による恐怖政治の産物か。今後の調査報道に注目したい。