(政界地獄耳)国民のためか、安倍のためか - 日刊スポーツ(2018年1月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801090000166.html
http://archive.is/2018.01.09-012307/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801090000166.html

★4日の年頭の記者会見で首相・安倍晋三は早期の国会発議を目指す考えを示し、5日の自民党の仕事始めでは「(自民党結党から)60余年が経過し、意味合いは変わったが、国の姿・理想の形をしっかりと考え、議論していくのは、私たちの歴史的な使命ではないかと思う。占領時代に作られた憲法をはじめ、さまざまな仕組みを安定した政治基盤の中で変えていくことだ」と憲法改正への思いをにじませた。
★また7日放送の番組でも「できるだけ多くの党の賛同を得るような形で発議していただきたい」とし、「まずは国会で議論を進め、その中で国民の理解が進むことを期待したい」とその工程を語った。
★それを受け、5日に自民党幹事長・二階俊博は「みんなで団結して、自民党のためにやろう、安倍総裁のためにやろうと、こういう気持ちをみなぎらせていただいていることを、心からうれしく思う」と発言した。そう、二階が図らずも口にしたように、この改正は安倍総裁のためなのではないか。憲法改正自民党の結党以来の党是だが、ここまで本格的に改正を進めたのは安倍だけだ。無論、衆参での3分の2を与党が占めるという環境を作り上げたことが、その導火線なのかもしれない。歴代首相は改正したくとも与党でそれだけの勢力を作り得なかったからだ。
★現行憲法を「いじましい、みっともない憲法」と断ずる首相に共産党参院国対委員長井上哲士ツイッターで「『今年こそ、憲法のあるべき姿を国民に提示』すると述べた。やはりこの人は立憲主義がわかっていない。憲法に縛られる立場の総理が、『憲法のあるべき姿』を提示するなど本末転倒。あるべき姿を決めるのは国民。どの世論調査をみても、国民の多数は改憲を望んでいない」と反論した。憲法改正は国民のためか、安倍のためか。(K)※敬称略

関連記事)
首相年頭会見 改憲論議急ぐことなく - 東京新聞(2018年1月5日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180105#p2
9条改憲「不要」過半数 国会論議「急がず」67% 憲法世論調査 - 東京新聞(2018年1月3日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180103#p2
来年の改憲発議、反対7割=内閣支持42%に減少―時事世論調査 - 時事通信(2017年12月15日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20171216#p8

米軍ヘリまた不時着 海兵隊は直ちに撤退せよ - 琉球新報(2018年1月9日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-643258.html
http://archive.is/2018.01.09-005110/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-643258.html

在沖米海兵隊の構造的欠陥はいかんともし難い。相次ぐ米軍ヘリコプターの不時着や部品落下事故がそのことを証明する。沖縄から直ちに撤退することを強く求める。
米軍普天間飛行場所属のAH1攻撃ヘリコプターが8日、機体の不具合を示す警告灯が点灯したとして、読谷村比謝川行政組合廃棄物処分場の敷地内に不時着した。普天間飛行場所属機はUH1ヘリが6日、うるま市伊計島の東側海岸に不時着したばかりである。
50時間足らずの間に普天間飛行場所属機が2度も不時着した。機体の点検整備体制に大きな問題があるからではないのか。
海兵隊の航空機の事故が世界各地で多発している原因について、米連邦議会の軍事委員会や米国防総省は2017年12月、軍事予算の制約・削減が整備などに深刻な影響を与えていると指摘した。
国防総省が機体を十分に整備できていないことを認めた。そのことを日本政府は重く受け止めるべきだ。整備不良のヘリなどが日々、県民の頭上を飛んでいるという状況を放置してはならない。
海兵隊全体では17年夏以降、事故が多発しているが、在沖米海兵隊の事故は16年夏から激増している。16年は12月に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部の沿岸に墜落し大破するなど、2件の墜落事故が発生した。17年は1980年以降で最多の7件もの事故があった。
事故のたびに県や市町村が米軍に抗議し、安全が確認されるまで全機種の飛行停止を求めるが、米軍は安全が確認できたとして飛行再開を強行した揚げ句、事故が繰り返されている。米軍の言うことをうのみにする日本政府にも、事故の大きな責任がある。
宜野湾市普天間第二小学校の運動場にCH53Eヘリが窓を落下させた事故で、県が全米軍機の飛行停止を求めたことに山本朋広防衛副大臣は「CH53Eの事案なので、それで他の飛行機も同じように扱うというのはどういうロジック(論理)なのか分からない」とし「全ての機種の飛行停止を求める考えはない」と拒否した。
事故を起こした機種だけでなく、全機種の飛行を停止して安全点検を求めることの正当性が相次ぐ不時着で改めて証明された。事故防止の論理を理解できない山本氏に防衛副大臣を務める資格があるだろうか。
政府はこれまでの米軍追従姿勢を改め、全機の飛行停止を米軍に要求し、実現させるべきである。国民に対する政府の責任を今回こそ、果たしてもらいたい。
不時着や部品落下はいつか大事故につながる。県民の安全を守るには、普天間飛行場の閉鎖だけでは不十分である。海兵隊の撤退とセットでなければ、県民は危険にさらされ続ける。辺野古新基地への移駐などもってのほかだ。

続く不時着「極めて異常」 怒る沖縄 突然異音 低空飛行 - 東京新聞(2018年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010902000122.html
https://megalodon.jp/2018-0109-0949-18/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010902000122.html


沖縄県うるま市伊計島(いけいじま)に不時着した米軍機の撤去から半日足らず。サトウキビ畑が一面に広がる読谷村(よみたんそん)で、再び米軍ヘリが異音を響かせ、電柱をかすめるように降下した。相次ぐ米軍機トラブルに、読谷村の石嶺伝実(でんじつ)村長は「極めて異常だ」と、怒りで表情をこわばらせた。(琉球新報
午後四時二十分ごろ、残波ビーチにいた町田宗久さん(53)=同村瀬名波(せなは)=はヘリの大きな音に思わず空を見上げた。「普段と何か違う。落ちなければいいが」。ヘリ数機が速い速度で南下。その後、不時着があったと聞いて現場に駆け付けた。
儀間恭昇さん(68)=同村儀間(ぎま)=は、サトウキビ畑での作業を終えた直後、米軍ヘリ二機が高さ四十〜五十メートルほどで飛ぶのを見た。普段より低く、おかしいと思っていると、一機がさらに高度を下げた。「電柱にぶつかるなというぐらいだった」。地面に降りたのに驚き、四時五十分、消防に通報した。前を飛んでいた別の一機はそのまま南に向かった。
同村渡慶次(とけし)の与那覇清徳さん(70)は、直前の午後四時ごろまで現場から約百メートルも離れていない畑で作業をしていた。「こんな立て続けに不時着が起きる。怒りはもう頂点を越している」と語気を強めた。
神谷乗好さん(78)は、読谷村で以前に米軍機がトレーラーを落下させ、女児が犠牲になったことに触れ「基地は危険だし、戦争にもつながる。早く撤去してほしい。政府がだらしない」と強く批判した。
岐阜県から家族旅行で訪れた松原孝春さん(63)と娘の知恵美さん(32)は食事後にレンタカーでホテルへ戻ろうとしたが、規制のため遠回りを余儀なくされ、約三十分間、周辺を走り回った。知恵美さんは「ものすごい数のパトカーとサイレン音に驚いた」。孝春さんも「まさか旅行中に米軍の事故が起きるなんて。何回、同じことを繰り返すのか、米軍に強く抗議したい」と憤った。

(筆洗)大阪大学の昨年入試での採点ミス - 東京新聞(2018年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018010902000098.html
https://megalodon.jp/2018-0109-0947-41/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018010902000098.html

脚本家の向田邦子さんが高等女学校の編入試験を受ける日の朝、向田さんのお父さんが見た夢が切実である。
なんでも向田さん、盲腸の手術の直後で、体操の試験を免除してもらえるように頼んでいたが、お父さんはよほど心配していたか。夢の中で娘は試験免除にならず、「走ってみなさい」といわれている。お父さんは飛び出し「この子は病み上がりだから、代わりに走らせてもらいたい」。試験を受ける女子学生にまじって走るが、足がなかなか前に進まない。
このお父さんといえば厳しい人という印象があるが、どんな親も子どもの受験や試験となれば、気をもみ、祈るものだろう。「人生でいちばん応援してもらえるのは、受験の時かもしれない」。どこかの進学塾の広告だが、うなずける。
応援どころか、正しい採点さえしてもらえなかったということか。大阪大学の昨年入試での採点ミスである。本来なら合格し、落胆する必要のなかった三十人の受験生がいる。
大学が正解と認めた解答例に対しては昨年六月以降、間違いではという指摘が寄せられていたが、なかなか取り合わず、対応が遅れた。
「大切なのは疑問を持ち続けることだ」。アインシュタインの言葉だが、自分が正しいと疑わぬ大学の姿勢が問題を大きくした。合格を新たに認めたとはいえ、受験生の大切な一年を傷つけた。その家族の一年もである。

論始め2018 人口減少と労働力 従来の枠組みを超えよう - 毎日新聞(2018年1月9日)

https://mainichi.jp/articles/20180109/ddm/005/070/038000c
http://archive.is/2018.01.09-004935/https://mainichi.jp/articles/20180109/ddm/005/070/038000c

2017年に生まれた子どもは推計94万人で、過去最少となった。死亡数から出生数を引いた「自然減」は40万人を超える。
これはまだ序の口で、25年には64万人、40年は89万人、60年には94万人が1年間に減っていく。人口の少ない県や政令市が毎年一つずつ消えていくようなものだ。
産業界では現役世代の人口減少がすでに深刻な労働力不足をもたらしている。20年には416万人が不足するとの試算もある。従来の枠組みを超えた取り組みが必要だ。
労働力不足への対処法としては、(1)ITなどによる省力化(2)国内の潜在労働力の活用(3)外国からの移入−−の3点が挙げられる。
ITを使った事務の省力化は医療や介護の現場でも少しずつ進んでいる。膨大な情報を瞬時に処理できる人工知能(AI)や、力仕事を人に代わって行うロボットも期待される。しかし、AIやロボットでは置き換えることが難しい仕事も多い。

「65歳定年」の見直しを
現在は働いていない高齢者や専業主婦は貴重な潜在労働力だ。各種統計で使われている「生産年齢人口」(15〜64歳)は、50年には約2500万人も減るとされている。
しかし、「生産年齢」と言っても、現在は10〜20代前半で働いている人は少ない。むしろ65歳を過ぎても働いている人の方が多い。今後も65歳以上の人口は増えていく。日本人の健康寿命は延びており、65歳で定年とする制度や慣行の見直しが必要ではないか。
元気で働く意欲のある高齢者、高学歴で専門職のキャリアがありながら育児や介護のため離職している女性などが働けるようになれば、労働力不足の解消に大きく貢献するだろう。自宅や近くのオフィスで働くテレワークを導入する企業も増えている。さまざまな事情で通勤が難しい人の活用も進めていくべきだ。
問題は外国人労働者である。
一昨年、日本で働く外国人は初めて100万人を超えて108万人となった。特に多いのがアジア諸国からの技能実習生や就労目的の留学生だ。技能実習生は約21万1000人、留学生は約20万9000人で、それぞれ前年より25%も増えた。
都市部のコンビニ店ではアジア系留学生の働く姿がよく見られる。彼らの存在なしでは日本の社会は回らなくなったと思えるほどだ。
技能実習制度は「開発途上国への技能移転」を名目に1993年に始まった。小さな繊維関係の会社や農業・漁業などで働く人が多い。一部を除けば、日本人がやりたがらない過重労働や危険な仕事を担っており、労働者としての権利保障の枠外に置かれているのが実態だ。
実習生はブローカーに多額の仲介料や保証金を取られる上、日本に滞在できるのは原則3年。決められた会社でしか働けないため、低賃金で劣悪な職場環境に不満があっても転職ができない。

矛盾多い外国人労働者
こうした技能実習制度は国内外から強い批判を浴びてきた。
政府は受け入れ期間の3年から5年への延長、実習生からの保証金や違約金の徴収禁止などに取り組んでいる。17年には「外国人技能実習機構」を新設し、実習計画のチェックを厳しくすることにした。
それでも政府の基本姿勢は、日本への定住は認めず、安価な労働力として活用する、という枠内にとどまっている。
生活習慣や宗教・文化の異なる集団が大量に国内に流入し、定住することで生じる摩擦を警戒する意見は根強い。労働力不足を補うために拙速な政策変更を行えば混乱が生じることにもなるだろう。
ただ、現行の技能実習や留学の制度は、本来の目的とかけ離れている。働き手不足を補ってくれる貴重な戦力なのに、制度の隙間(すきま)で使い捨てにしているのも同然ではないか。
少なくとも、労働者として認められる最低賃金や労働時間のルールを実習生らにも適用すべきである。
最近では中国沿岸部の上海など、日本より賃金が高い都市も出てきた。韓国やタイで働くベトナムミャンマーの労働者も増えている。このままでは日本を訪れる外国人労働者はいなくなるのではないか。
日本の社会が人口減で縮小し、活気を失わないためには、これまでの発想を変えるべきだ。高齢者や女性、外国人労働者など多様な人材が活躍できる社会を目指したい。

最高裁「裁判の電子化」調査へ 国際競争の遅れに危機感 - 朝日新聞(2018年1月9日)

https://www.asahi.com/articles/ASKDX66TQKDXUTIL04H.html
http://archive.is/2018.01.09-004751/https://www.asahi.com/articles/ASKDX66TQKDXUTIL04H.html

現在書面で行われている民事裁判で、電子データやインターネットの活用が進むよう、最高裁は2018年度当初予算案に初めて約4900万円の調査費を盛り込んだ。諸外国に後れを取る「裁判の電子化」を進める方向で調査する。企業の経済活動を円滑化するほか、一般の人にも手続き期間が短縮されたり、簡略化されたりする利点がある。
訴状などの裁判書類は民事訴訟法で、原則「書面」で提出する、と定められている。最高裁は18年度、裁判手続きの電子化で、どのような効果が得られるかを本格的に調査。裁判書類に多く含まれる個人情報の流出や拡散を防ぐセキュリティー対策も調べるという。
最高裁は04年7月から約4年半、札幌地裁で法廷期日の変更や証人尋問の申し立てなどをネットで行えるよう試行。06年9月には東京地裁管内の簡裁で、借金の借り手に返済を命じる「督促手続き」をネットでできるようにし、全国にも広げてきた。
それでも、諸外国に比べ、立ち遅れは否めない。日本政府のまとめなどによると、米国は1990年代から州ごとに裁判手続きを電子化。シンガポールは00年から訴状の電子申請を義務付けた。韓国も11年に全民事裁判のやりとりを電子化し、原則、紙か電子データかを選べるという。

「学び」の支え 公助の乏しさ共助で補う - 朝日新聞(2018年1月9日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13304694.html
http://archive.is/2018.01.09-004638/https://www.asahi.com/articles/DA3S13304694.html

教育にかかる費用を社会全体で担っていかなければ、日本は立ちゆかなくなる――。そんな認識が共有されつつある。
昨年の衆院選では各党がこぞって「教育の無償化」を訴え、政府も2兆円の政策パッケージを打ち出した。家庭の貧富の差は学力や進学の格差を再生産し、人々に分断をもたらす。この連鎖を断とうと、政治がようやく動いたといえる。
同時に限界も浮き彫りになった。たとえば、大学・専門学校などの授業料減免や奨学金充実に年間8千億円を投じるというが、カバーできるのは進学者全体のごく一部に限られる。国の財政事情を考えると、大幅な拡大は当面望めそうもない。
だれもがお金の心配をせず、必要な教育を受けられる社会に少しでも近づくために、いま、できることは何か。
税を適切に集め、再分配機能を高める「公助」が本来の道だと確認したうえで、人と人とが支え合う「共助」を探るユニークな取り組みを紹介したい。公助の乏しさを補う知恵だ。

■「下宿」の復活
たとえば、「異世代同居」という試みがある。
高齢者の家の空き部屋を学生の下宿用に貸し出す。京都では官と民が連携して、東京や福井ではNPOや大学の研究室などが、それぞれ進めている。
学生は相場より安く住めて、高齢者の孤立も防げる。実際、下宿生が救急車を呼んで家主を助けた例もあるという。
利点は、それだけにとどまらない。
京都のある下宿生は、自分の専攻と老夫婦の元の職業が同じデザイン関係だ。大学で「食を楽しむデザイン」という宿題が出たときは、居間で一緒にアイデア出しをした。
「家に先生がいる感じ」と学生が言えば、夫婦は「誰かの役に立つのはうれしい」と話す。
先達の経験に学んだり、次世代に自分の蓄積を伝えたり。経済性や安全・安心のような「利害の一致」だけでなく、「心の一致」が生まれている。
京都の場合、府の委託を受けた民間の5団体がお年寄りと学生の仲介役を担う。相性も見定めて慎重に進めるため、マッチングを始めて1年余で、同居が成立したのはまだ7組だ。だが手応えを感じている。
もっと実績を増やし、事業として軌道に乗せたい。そのためには「人」と、高額でなくても「お金」が欠かせない。
どんな活動にもついてまわる課題である。

■功を奏した工夫
そのお金を調達する方策として注目された動きがある。
塾に通えない高校受験の中学3年生に、塾代に使える20万円分のクーポンを贈ろう――。民間の団体や企業で運営する「スタディクーポン・イニシアティブ」の呼びかけに、昨年秋、目標の1千万円を上回る1400万円が集まった。
いくつかの工夫が奏功した。
まず塾代の支援と銘打ったこと。学校外の教育にかけられる費用は家庭の経済状態で開きがあり、それが進学格差を生む。現実を踏まえたわかりやすい訴えが共感を呼んだ。
そして、ネットで寄付を募るクラウドファンディングを活用したこと。寄付者の7割は30代以下で、最少単位とした5千円を寄せた人が全体の6割を占めた。若い世代を中心に、広く薄く支持が広がった。
「自分が出したお金で、人や地域の未来が少しずつ変わっていく。そう実感してもらえれば継続的な支えにつながる」。代表の今井悠介さん(31)は言う。
クーポンを贈る生徒には、あわせて学生のスタッフを「伴走役」につける。各地で無料学習支援に取り組んできた民間団体は、勉強だけでなく心を支えることを大切にしてきた。手法は少し違っても、その精神は相通じるものがある。

■まず身の回りから
スタディクーポンの事業は東京都渋谷区と連携して行う。学校を通じて案内が配られるため、支援が必要な家庭に確実に情報が伝わる。行政側にとっても、公教育の外の領域にある需要に、民間の力を借りながら手を差し伸べることができる。
今井さんのもとには他の自治体からも問い合わせが届く。必要な費用がしっかり予算計上されるのが理想だが、使い道を指定したふるさと納税を活用するアイデアも浮上している。返礼品めあてでない地域貢献だ。
ほかにも、教育や若者支援をめぐる「共助」の取り組みは各地にある。公営団地の空き住戸を学生に安く提供し、地域ににぎわいを取り戻す施策なども、そのひとつだ。地域の課題と思われていたものを、強みに転じさせる工夫でもある。
国・地方を問わず財政事情は厳しい。制約はあっても、柔軟な発想で教育の機会均等と充実を進めなくてはならない。持続可能な支え合いの仕組みを、身近なところから探りたい。

(無期転換ルール)「抜け穴」ふさぐ監視を - 沖縄タイムズ(2018年1月9日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/192308
https://megalodon.jp/2018-0109-0944-54/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/192308

雇用期間に定めのある労働者が同じ職場で5年を超えて働くと、正社員と同じように定年まで勤めることができる「無期転換ルール」が、ことし4月から本格運用される。
働き方改革」をリードする仕組みとして、非正規労働者の着実な待遇改善につなげてもらいたい。
2008年のリーマン・ショック後、雇い止めが社会問題化したのを契機に、13年4月に施行された改正労働契約法に盛り込まれたルールである。
パートやアルバイトなど非正規で働く人が、同じ職場で契約更新を繰り返し通算5年を超えた場合、更新の必要がない無期雇用にするよう申し込む権利が得られる制度だ。企業は労働者の求めを拒むことができない。
法施行から5年がたつ4月以降、対象者が大量に生まれ、その数は約450万人に上る。
働き方の一大転換にもかかわらず、新ルールの浸透はいまひとつだ。連合が昨年4月に実施したアンケートで、有期労働者の8割以上が「内容を知らなかった」と答えている。
無期雇用への転換は労働者本人の申し込みが要件となっており、周知・啓発を急がなければならない。
気になるのは同じ調査で、改正法施行後「契約期間や更新回数に上限が設けられた」と11・5%が答えていることである。
非正規を雇用の調整弁と考えている経営者が少なくないようだ。

■    ■

新ルールを先取りして無期契約を進める企業がある一方、「ルール逃れ」とみられる動きも出始めている。
厚生労働省の調査によると、大手自動車メーカー10社のうち7社が、再契約までの間に6カ月以上の「クーリング期間」を設け、無期契約への切り替えができないようにしていた。
職場を離れて6カ月以上の空白があれば、それまでの雇用期間をリセットできるとする労働契約法の悪用ではないか。
厚労省は「現時点で法律的に問題だと判断できる事例はなかった」と説明しているが、非正規の雇用を安定させるという法の趣旨からは逸脱している。
さらに有期契約職員の雇用期間の上限を5年までとする大学や研究機関などもあり、4月以降、大勢の雇い止めが出るのではないか懸念される。

■    ■

非正規労働者は働く人の約4割を占めている。かつては家計補助の主婦パートや学生アルバイトが多かったが、今は世帯主が非正規で働かざるを得ない状況が目立ち、仕事の責任も増している。
少子高齢化で人手不足が深刻化する中、待遇改善を人材確保につなげるという考え方を持つべきだ。無期雇用になれば労働者は安心して働き、キャリア形成を図ることができる。企業の側は仕事を知っている人に長く働いてもらえるメリットがある。
新ルール運用を前に、行政には「抜け穴」をふさぐ監視を強めてもらいたい。

(大弦小弦)かつて自由と団結、反権力のフォークソングを次々と世に放った… - 沖縄タイムズ(2018年1月9日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/192307
https://megalodon.jp/2018-0109-0944-03/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/192307

かつて自由と団結、反権力のフォークソングを次々と世に放った歌手の岡林信康さん(71)と、基地問題を漫才にして話題のコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さん(37)が年末年始の桜坂劇場でそれぞれライブを開いた。チケットは完売

▼岡林さんの客席を埋めたのは1960年代の若者たちだ。最初のアルバム「私を断罪せよ」が出たのは69年。ベトナム反戦運動などと相まって時代の寵児(ちょうじ)となり、影響力を恐れられ米占領下の沖縄への渡航が許可されなかった

▼だがその立場に疲れ果て、絶頂期に失踪。ごく一部を除いて過去の曲を封印し今に至る。軽快なトーク中、客席から沖縄に向けた言葉を請われたが「僕は無力だから」と言わなかった

▼それでも圧巻は、被差別部落に生きる少女の悲しみを歌った「チューリップのアップリケ」。50年前の曲が今も胸に響くのは問題が何も解決せず、込められたメッセージが生きているから

▼村本さんには多くの若者が集った。批判されている「沖縄はもともと中国のもの」発言を「知らなくてごめんなさい」と素直に謝罪。「悩んでいる人がいたら『どうしたの』と声を掛けたい。それが広がれば沖縄も原発も」

▼2人に共通する弱者への視線。プロとして自由な創作を続けてほしい。私も帰り道、留飲を下げて終わりではだめだと思った。(磯野直)

日本原燃への支援縮小 電力8社 経営環境厳しく - 東京新聞(2018年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201801/CK2018010902000116.html
https://megalodon.jp/2018-0109-1035-56/www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201801/CK2018010902000116.html


原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル事業」を担う日本原燃青森県)に対し、関西電力中部電力など大手電力計八社が経営支援を縮小したことが八日、関係者への取材で分かった。電力小売りの全面自由化によって経営環境が厳しくなったため。免除していた借入金や社債の債務保証料の支払いを要求し、原燃は応じている。
日本原燃原発を持つ大手電力九社と日本原子力発電が経営を支えている。ただ東京電力は経営再建を理由に新規の債務保証をしていない。大手電力の支援縮小が加速すれば、核燃料サイクルの土台は大きく揺らぐ。
日本原燃は東電福島第一原発事故による原発の運転停止により、経営の先行きが見通せなくなった。中核となる使用済み燃料の再処理工場は二〇一八年度上半期の完成を目標としていたが、トラブルが続き操業のめどは立っていない。
原燃は施設の建設や運転に必要な資金を金融機関から借り入れたり、社債を発行して金融市場から調達したりしており、一七年三月末時点の総額は約七千七百二十三億円に上る。
借入金や社債は全額を大手電力などが債務保証をしている。日本原燃が返済や償還ができない場合は大手電力が肩代わりを約束することで、原燃は比較的低い利子で安定的に資金を調達している。ただ東電は一一年度以降、原電は一二年度から債務保証をしておらず、負担のしわ寄せが及ぶ形となった関電や中部電は不満を強めていた。
日本原燃は「電力会社から支援をいただいていることに変わりはないと認識している」とコメントしている。