米軍ヘリまた不時着 海兵隊は直ちに撤退せよ - 琉球新報(2018年1月9日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-643258.html
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在沖米海兵隊の構造的欠陥はいかんともし難い。相次ぐ米軍ヘリコプターの不時着や部品落下事故がそのことを証明する。沖縄から直ちに撤退することを強く求める。
米軍普天間飛行場所属のAH1攻撃ヘリコプターが8日、機体の不具合を示す警告灯が点灯したとして、読谷村比謝川行政組合廃棄物処分場の敷地内に不時着した。普天間飛行場所属機はUH1ヘリが6日、うるま市伊計島の東側海岸に不時着したばかりである。
50時間足らずの間に普天間飛行場所属機が2度も不時着した。機体の点検整備体制に大きな問題があるからではないのか。
海兵隊の航空機の事故が世界各地で多発している原因について、米連邦議会の軍事委員会や米国防総省は2017年12月、軍事予算の制約・削減が整備などに深刻な影響を与えていると指摘した。
国防総省が機体を十分に整備できていないことを認めた。そのことを日本政府は重く受け止めるべきだ。整備不良のヘリなどが日々、県民の頭上を飛んでいるという状況を放置してはならない。
海兵隊全体では17年夏以降、事故が多発しているが、在沖米海兵隊の事故は16年夏から激増している。16年は12月に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部の沿岸に墜落し大破するなど、2件の墜落事故が発生した。17年は1980年以降で最多の7件もの事故があった。
事故のたびに県や市町村が米軍に抗議し、安全が確認されるまで全機種の飛行停止を求めるが、米軍は安全が確認できたとして飛行再開を強行した揚げ句、事故が繰り返されている。米軍の言うことをうのみにする日本政府にも、事故の大きな責任がある。
宜野湾市普天間第二小学校の運動場にCH53Eヘリが窓を落下させた事故で、県が全米軍機の飛行停止を求めたことに山本朋広防衛副大臣は「CH53Eの事案なので、それで他の飛行機も同じように扱うというのはどういうロジック(論理)なのか分からない」とし「全ての機種の飛行停止を求める考えはない」と拒否した。
事故を起こした機種だけでなく、全機種の飛行を停止して安全点検を求めることの正当性が相次ぐ不時着で改めて証明された。事故防止の論理を理解できない山本氏に防衛副大臣を務める資格があるだろうか。
政府はこれまでの米軍追従姿勢を改め、全機の飛行停止を米軍に要求し、実現させるべきである。国民に対する政府の責任を今回こそ、果たしてもらいたい。
不時着や部品落下はいつか大事故につながる。県民の安全を守るには、普天間飛行場の閉鎖だけでは不十分である。海兵隊の撤退とセットでなければ、県民は危険にさらされ続ける。辺野古新基地への移駐などもってのほかだ。