別生徒も指導後欠席 福井、自殺男子と同じ副担任 - 東京新聞(2017年10月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017102202000130.html
https://megalodon.jp/2017-1022-1033-54/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017102202000130.html

福井県池田町立池田中二年の男子生徒=当時(14)=が今年三月に自殺した問題で、男子生徒を厳しく叱責(しっせき)していた副担任に大声で指導された一年の女子生徒が九月、「学校に行きたくない」と保護者に話し、欠席したことが分かった。内藤徳博教育長が二十一日、記者会見で説明した。
教育委員会が問題を巡る調査報告書を公表した今月十五日以降、学校が保護者にアンケートを実施。副担任が四月から受け持った一年の女子生徒の保護者から、生徒が大きな声で指導されているとの回答が寄せられ、学校が詳しい状況を調べている。副担任は今月十七日以降、体調不良を理由に欠勤しているという。
内藤教育長の説明によると、女子生徒はこれまでに計九日欠席し、そのうち九月に欠席した一日は病気など特段の理由がなく、繰り返せば不登校に当たるという。こうした欠席が五日以上ある生徒が他にもいるが、副担任は指導に関わっていないとしている。
教育長は、十九日に堀口修一校長から退職願を受け取った際、校長が「全ての責任は自分にある」と話したと説明。男子生徒の自殺当時、在籍していた校長を含めた常勤の教員十二人の処分を検討しているとした。

憲法改正 平和の「砦」崩していいか - 琉球新報(2017年10月22日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-597173.html
http://archive.is/2017.10.22-013415/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-597173.html

憲法9条は日本の平和を守る「砦(とりで)」である。その普遍的価値を未来へつなぐのか、それとも崩すのか。どちらが日本にとっていいのかを、真剣に考えることが国民に求められている。
弾道ミサイル発射や核実験を繰り返す北朝鮮の不穏な動きを引き合いに、安倍晋三首相は衆院選を「国難突破」と位置付ける。争点の一つは、憲法改正である。
憲法改正を巡っては、平和主義の根幹である9条が対立軸となる。9条が形骸化すれば、日本の国の形は大きく変容する。日本の将来がかかった重要な選挙であることを強く認識したい。
想起してほしい。2014年12月の衆院選では、改憲勢力が3分の2以上の議席を占めたことで、安倍政権が勢いづいた。その結果、憲法に反する法律が一気につくられたのである。
安倍政権は14年7月、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定し、国民から大きな反発を招いた。それでも5カ月後の衆院選自民党は圧勝した。15年9月に安全保障政策を大転換する安保関連法が成立し、16年3月に施行され、集団的自衛権の行使が可能になった。
安保関連法は法案段階の15年6月、衆院憲法審査会で憲法学者3人全員が「違憲」と指摘した代物である。自衛隊の海外での武力行使に道を開くことを、国民は結果として後押ししたことを忘れてはならない。
選挙は一つの政策だけを評価して投票するものではない。だが、最高法規である憲法の改正は国民生活に大きく影響する。そのことを有権者一人一人が深く認識する必要がある。
自民党憲法への自衛隊明記を公約に掲げた。維新に加え、安倍政権への対決姿勢を強調する希望も改憲には前向きである。
改憲に対する各政党の政策、候補者の考えなどをしっかり吟味して投票することは、将来世代に対する責任である。
琉球新報社衆院選の県内4選挙区の立候補者に行った政策アンケートで、「オール沖縄」勢力の4氏が改憲に「反対」し、自民4氏と維新1氏は「賛成」と回答した。
今回の衆院選の結果次第では、9条改憲の流れが一気に現実味を帯びよう。県内選挙区の選挙結果は憲法改正の動きに確実に影響を与える。改憲の是非を慎重に判断して1票を投じたい。
国土面積の0・6%の沖縄に、在日米軍専用施設の70・38%が集中していることで、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を県民は享受できていない。
憲法の具現化に向かって現状を改めることも、政治の役割である。それが実現できるのは誰なのかをしっかり見極めたい。

週のはじめに考える 民意を正しく映すには - 東京新聞(2017年10月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017102202000150.html
https://megalodon.jp/2017-1022-1034-37/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017102202000150.html

衆院選はきょうが投票日。民意は選挙結果に正しく反映されるのか。安倍晋三首相による突然の解散で民主主義の根幹にかかわる問題も見えてきました。
厳粛な気持ちできょうの投票日を迎えました。十二日間の選挙戦を終えた衆院選。国政を誰に委ねるのか。棄権や浅慮の「お任せ民主主義」でなく、私たち有権者が熟慮の意思を示すことこそ、日本の政治を正しい方向に導きます。
「全国民の代表」である国会議員を選ぶことは、先人が勝ち取ってきた私たち国民の権利です。

◆公約の吟味が前提に
とはいえ、どの候補者、政党に投票するか、かつてないほど悩ましい選挙でもありました。
小池百合子東京都知事が「希望の党」を結成し、民進党前議員らが合流する一方、反発する枝野幸男官房長官らが「立憲民主党」を立ち上げました。野田佳彦前首相ら無所属での立候補もいます。
野党勢力が分散したため、安倍政権に交代を迫るには誰に投票すればいいのか分かりづらい複雑な構図となったからです。安倍政権打倒を掲げながら小池氏は立候補はせず、首相候補を明示しないことも混乱に拍車をかけました。
その責任は野党だけでなく、解散に踏み切った首相にもあります。
有権者が政権を選択するには政策や公約の吟味が前提ですが、今回は時間が十分とは言えません。特に野党にとっては、選挙準備が十分整わないうちの解散でした。
任期を一年以上残す段階で解散する以上、国民の大方が納得する「大義」が必要です。首相は「国難突破解散」と名付けますが、消費税増税分の使途変更と北朝鮮対応への政権基盤強化を理由に挙げるだけでは説得力を欠きます。
「森友」「加計」両学園をめぐる問題の追及を逃れるためと、指摘されても仕方がありません。

小選挙区制の弊害も
政権の座に長く就いている人たちは、解散は「首相の専権事項」であり、いつでも可能だと考えているのでしょう。根拠とするのは内閣の助言と承認による天皇の国事行為を定めた憲法七条です。
「七条解散」は慣例化しているとはいえ、野党の選挙準備が整わないうちの解散は、不公平であるばかりか、有権者から公約や政策を十分、吟味する時間的な余裕を奪います。突然の解散による準備不足で生煮えの公約や政策を眼前に並べられてはたまりません。
民意を正しく政治に反映するには、十分な判断材料と時間的な余裕を確保するのは当然です。
日本が長年、政治改革の手本としてきた英国では二〇一一年、下院議員の任期を五年とする「議会任期固定法」が制定されました。解散には下院の三分の二以上の賛成を必要とし、首相の恣意(しい)的な解散を封印するのが狙いです。
日本でも、内閣不信任以外では政府提出の予算案、重要法案が否決された場合や国論を二分する問題が生じたときに解散は限るべきでしょう。法律で可能かどうか、まず検討することが急務です。
民意と議席数の乖離(かいり)も深刻な問題です。例えば一四年衆院選小選挙区で、自民党は得票率48%で75%の議席を得ました。野党全体では得票率が50%近くに達しますが、議席は21%にとどまります。
野党勢力が分散した今回も、同様のことが起こり得ます。
これは一選挙区で一人しか当選できない小選挙区制の特性です。政党・政策本位、政権交代可能な二大政党制を目指して導入された制度ですが、民意が正しく反映されるとは、とても言えません。
衆院への小選挙区制導入から二十年以上。その間、政権交代が二回実現しましたが、眼前に今あるのは、国民の反対を押し切って安全保障関連法や「共謀罪」法の成立を強行する「安倍一強」の姿です。民意が極端に切り捨てられ、国会での議論が軽視された結果でもあります。
民意を正しく議席数に反映するには、比例代表を基本とした制度に改めることも一案です。今、一九九〇年代のような政治改革の機運はありませんが、逆に、民主主義の土台である選挙制度を議論する好機ではないでしょうか。

政党交付金見直しを
もう一つ、指摘せざるを得ないのは政党交付金の問題です。分裂した民進党本部から、希望の党立憲民主党、無所属で立候補した候補に資金が渡っていますが、元は八割以上が政党交付金です。
交付された政党と全く違う政策を進める政党の活動に使われるのなら、民意を反映した交付金の使い方とはとても言えない。
国会議員も身を切る必要があるというなら、三百二十億円に上る政党交付金を廃止するか、せめて減額することが先決です。国のお金に頼る政治活動が、国家権力から自由なはずがありませんから。

衆院選 きょう投票 棄権なんてしてられない - 朝日新聞(2017年10月22日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13191866.html
http://archive.is/2017.10.22-011740/http://www.asahi.com/articles/DA3S13191866.html

さて、誰に、どんな思いを託そうか。思案の雨の朝である。
訳のわからぬ理屈で首相が衆院を解散したと思ったら、あれよあれよという間に野党第1党も自ら散り散りになった。打算と駆け引きの果て、置き去りにされたのは、理念と丁寧な説明、そして国民である。
一連の騒ぎにはほとほと愛想が尽きた。投票に行く気になれない。そんな声もしきりだ。
だが今回の一票は、時代を画する重みを持つ。

■ヒラリー氏の嘆き
3年前の衆院選投票率は52・66%と戦後最低を記録した。
多くの人が投票し、さまざまな意思が反映された代表者を通じて、国を運営してゆく。それが近代民主主義の姿だ。ところが大勢の人がそこに集うほど、一人ひとりの声は相対的に小さくなり、政治に参加している実感や責任感は薄まる。
制度が抱えるジレンマ、と言っていい。しかし「しょせん選挙なんて」というニヒリズムが広がれば、堅固に見えた社会の土台も崩れる。
昨年の米大統領選。世界中がまさかと思っていたトランプ氏が当選し、ヒラリー・クリントン氏は一敗地にまみれた。
投票率は50%台だった。過去に比べ特に低かったわけではないが、選挙が終わった後に、多くの市民から「実は投票に行かなかった」と謝られたと、ヒラリー氏が近著で明かしている。「市民としての責任を最悪の時に放棄したのね」という言葉が口をつきそうになったという。
街の灯が一つ消えても、目に映る風景はほとんど変わらない。やがて「なんだか暗いね」と皆が気づいた時には、もう元に戻れない地点に来ているのかもしれない。
棄権という選択は、将来を白紙委任することに他ならない。

■お客様か主権者か
いつの世も、候補者は耳に聞こえの良いことしか語ろうとしない。ならば有権者の側が、その甘い言葉の先を考えたい。
朝日新聞の社説は、選挙の最大の争点は安倍1強政治の評価だと主張してきた。ためしに、首相の政権運営が評価されて、あと4年、21年までこの政治が続く姿を想像してみよう。
このころから、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になっていく。社会保障の経費をまかない、あわせて財政の健全化を進めるという困難な課題に、「アベノミクスの加速」は有効な答えを出せているだろうか。
政権は原発を基幹電源と位置づけ、再稼働を進める。たまり続ける「核のごみ」を処理し、未来に負担をかけない道筋が、4年後には描けているか。
そして憲法。例によって街頭演説などでほとんど触れない首相だが、今回、自民党は「自衛隊の明記」をはじめ、具体的な改憲項目を公約に盛りこんだ。選挙が終われば、国民との約束を果たすとして改憲への動きを加速させるだろう。有権者にその覚悟と準備はあるか。
自分が思い描く望ましい未来像と照らし合わせてほしい。
留意したいのは、消費者の気分で政治を見るわけにはいかないということだ。
政党は、自動販売機に並ぶお茶やジュースではない。「お客様」なら好みのものがなければ買わなければいい。だが「主権者」はそれでは済まない。選挙の先にたち現れる政治は、日々の生活を規定し、支配する。無関係や没交渉はあり得ない。
ならば、品ぞろえに不満があっても、その中からましな一つを選ぶ。その選んだ先と対話を重ね、次はこういう政策が欲しいと働きかけ、国を動かす。そうやってはじめて、「主権者」たり得るのではないか。
自販機と違って、すぐには渇きを癒やせないかもしれない。期待していたとおりの味でないこともあるはずだ。それでも選ぶことをしなければ、民主主義は始まらない。

■物差しを決める
こう言うと、選ぶことの重さにたじろぐ人がいるだろう。「そんな必要はない。肩の力を抜いて」と、著書「世論」などで知られる米国の評論家リップマンなら助言するに違いない。
仕事や家事で忙しいのに、複雑な政治課題への見聞を深め、合理的な判断を下すなんて教科書だけの世界だ。有権者にできるのは、政治家が世の中のルールと己の欲望のどちらに従っているかを判断することだ――。そんな趣旨の文章を、90年以上前に書き残している。
彼に励まされて、もう一度、候補者の考えを比べてみよう。
自分が最も大切だと考える政策や、政治家に求める姿勢を一つ決め、その物差しで投票先を決めてもいい。それでも考えあぐねるなら、今晩どの党首が笑顔でいると「いいね」と感じるか。それも選び方だ。小選挙区比例区で投票先を使い分けても、一向に構わない。
関心が高いから投票へ行く。投票へ行くから関心が高まる。どちらも真理だ。さあ一歩を。

(衆院選 きょう投開票)さぁ1票投じに行こう - 沖縄タイムズ(2017年10月22日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/159241
https://megalodon.jp/2017-1022-1035-29/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/159241

衆院選はきょう投開票される。この選挙の最大の争点は5年近くにわたる安倍政治への評価だ。
沖縄4選挙区でも安倍政権が強行する辺野古新基地建設の是非が問われている。
米軍普天間飛行場がある2区は新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力が推す社民候補と新基地を容認する自民候補の一騎打ち。辺野古新基地建設現場の3区、宮古八重山を含む本島南部の4区は「オール沖縄」勢力の無所属候補と、自民候補の事実上の一騎打ちだ。いずれも対立軸がはっきりしており、有権者にわかりやすい構図である。
県都那覇市を抱える1区は3氏を軸にした争いだ。
自民候補、「オール沖縄」勢力の共産候補、「米側との政治交渉へ戻す」と訴える維新候補の三者三様、違いがはっきりしている。
前回2014年の衆院選では「オール沖縄」勢力が1〜4区で全勝した。
昨年7月の参院選でも「オール沖縄」勢力が勝利した。一方で、辺野古違法確認訴訟の最高裁判決では県敗訴が確定。埋め立てに向けた護岸工事が進む。市長選では今年に入り、宮古島浦添うるま市長選と連敗が止まらない。
オール沖縄」の勢力が維持されているか。革新層を基盤に保守層や経済界を取り込む構図に変容はないか。
最高裁判決によって新基地問題は「決着済み」と政府と歩調を合わせる自民候補が巻き返すのか。
選挙結果は、新基地建設問題に大きな影響を与える。

■    ■

衆院選安倍晋三首相の唐突な解散表明に始まり、臨時国会所信表明演説も、それに対する代表質問もないという異例の冒頭解散となった。
首相と昭恵夫人に近い人が関わり、行政の公平性・公正性がゆがめられたのではとの疑念が消えない森友学園加計学園問題は十分な説明がなされたとはいえない。
首相の選挙戦術は選挙中はアベノミクスなど経済政策を前面に押し出し、選挙後は国論を二分する政策に前のめりになる。12年の衆院選以来、繰り返されていることだ。
憲法施行から70年の節目の年である。自民は憲法9条自衛隊を明記するとした改憲原案を公約に盛り込んだ。
首相は街頭演説で改憲について語ることはほとんどないが、選挙結果によっては「改憲勢力」とともにアクセルを踏む可能性が高い。

■    ■

「子どもの貧困問題の解消」「給付型奨学金の創設」「子育てや雇用など若い世代にもっと目を」…。本紙連載「もの申す」での要望だ。
有権者の関心はそれぞれだろう。沖縄4選挙区と各党の公約を改めてチェックしてほしい。教育無償化は各党が競うが、公約を実現するための財政的な裏付けがあるのか、見極める必要がある。
前回衆院選投票率は1970年の国政選挙参加以来、最低の52・36%だった。半数近くが棄権したことになり、深刻だ。投票は民主主義の根幹をなす。棄権することなく、1票を大切に行使したい。

(大弦小弦)「三国志」で人気が高い魏の曹操は… - 沖縄タイムズ(2017年10月22日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/159242
https://megalodon.jp/2017-1022-1036-26/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/159242

三国志」で人気が高い魏(ぎ)の曹操(そうそう)は「郷挙里選(きょうきょりせん)」という後漢の人材登用制度で官僚となり、立身出世を遂げたとされる。この制度が選挙の語源となっている。

言葉こそ同じだが現代の選挙とは逆で、有力者が無官の人を取り立てる仕組み。中国に限らず、庶民にはもともと選挙権などなかった。日本で男女平等の普通選挙が可能になったのは1945年。先人たちの粘り強い訴えもあって獲得された。その常識は共有されていないのか。そう思わせる出来事が起きている。若い世代に影響力のある批評家が、首相の解散権独占や投票の選択肢が少ないことへの異議として「積極的棄権」の賛同者の署名を集めネット上で話題に。2014年の前回衆院選投票率52・66%、16年参院選は54・7%で6割に届かなかった。14年の20〜39歳、16年の18〜39歳の投票率は5割を切った。若い有権者で棄権は既に多数派だ。思い浮かぶのは政治学丸山真男の名著「日本の思想」に出てくる「権利の上にねむる者」という表現。憲法が保障した諸権利は「国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」(12条)との一文も引用されている。18歳からの選挙権が認められて初の衆院選。消極、積極のいずれでも棄権は「不断の努力」を怠る行為だ。22日は権利の寝床から起き上がり、一歩を踏み出す日。(玉城淳)

改憲・消費税… 焦点の4テーマ、各党の立ち位置は - 朝日新聞(2017年10月22日)

http://www.asahi.com/articles/ASKBN436RKBNULFA00T.html
http://archive.is/2017.10.22-012155/http://www.asahi.com/articles/ASKBN436RKBNULFA00T.html


12日間にわたって繰り広げられた与野党の論戦が21日、幕を閉じた。対立軸が明確な憲法9条改正、消費増税原発、森友・加計(かけ)学園問題と情報公開という四つのテーマについて、各党の立ち位置をまとめた。

改憲 9条、各党立場くっきり
憲法9条をめぐっては、自民党日本維新の会日本のこころが賛成で、希望の党が前向きだ。公明党が慎重姿勢で、共産党社民党は明確に反対。立憲民主党安倍晋三首相の提案には反対の立場だ。
自民は公約集の柱に憲法改正を掲げ、首相が提案した9条への自衛隊の明記など、四つの改憲項目を列挙する。
これに対し、公明は公約で、首相の自衛隊明記案について「意図は理解できないわけではないが、多くの国民は自衛隊の活動を支持し、憲法違反の存在とは考えていない」とする。
野党で9条改正に明確に賛成なのは維新だ。公約に「9条改正」を掲げ、松井一郎代表は「自民党案が固まってくれば、まじめに正面から議論したい」と話す。希望も公約に「9条をふくめ憲法改正論議をすすめる」と盛り込んだ。小池百合子代表は自民党時代から9条改正に前向きだが、自衛隊明記案については「大いに疑問がある」と否定的な考えを示す。
立憲は、首相による衆院解散権の制約など、憲法に関する論議は否定していないが、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障法制を前提とした9条改正には反対する。共産、社民は憲法改正そのものに反対で、共産の志位和夫委員長は選挙戦で「9条を守り、9条を生かした日本を作ろう」と訴えてきた。(二階堂勇)

■消費税 19年10%か、凍結か中止か
2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げについて、自民、公明は実施して税収増の一部を教育無償化などに使う立場だ。これに対し、希望、立憲、維新、こころの野党4党は増税の凍結を主張する。共産、社民は消費増税自体に反対で、将来も実施しない立場だ。
自民は消費増税によって得られる年5・6兆円の税収増のうち、約2兆円を教育無償化などに充てると主張。3〜5歳は幼稚園と保育園をすべて無償化し、0〜2歳も低所得世帯は無償にするという。公明は対象を広げ、0〜5歳児すべてを無償にするとしている。
幼児教育の無償化は維新、共産、社民も掲げ、3党は大学など高等教育の無償化も主張している。財源は消費増税の代わりに大企業や富裕層への増税や、議員の報酬カットなどの歳出削減を想定している。
大和総研の是枝俊悟研究員によると、消費増税をすると、自由に使える実質可処分所得は、片働きの年収500万円の4人家族で月約4千円、年収1千万円なら月約7千円減るという。
野党の主張通りに増税を凍結・中止すれば、こうした負担増は避けられるが、その分、国の財政状況が悪化する可能性がある。与党は消費増税による税収増の一部を国の借金返済に回すことにしているからだ。(長崎潤一郎)

原発 再稼働推進から「即ゼロ」まで
6年半前の東京電力福島第一原発事故による避難者はなお5万人を超え、廃炉作業の先行きも見通せない。その原発を将来も利用し続けるか「ゼロ」をめざすか、足元で再稼働を認めるか、という論点で立場が分かれる。
自民は原発を「ベースロード(基幹)電源」と位置づける。安倍政権は30年度までに電源に占める比率を20〜22%にするとの目標を掲げ、30基程度を再稼働させる方針だ。原発事故後、安全対策費が膨らみ、欧米では原発廃炉や建設計画の撤回が相次ぐが、こうした流れとは一線を画する。
維新も「世界標準の規制」を満たすことを条件に再稼働を進める。
公明は、達成の期限は明示せずに「原発ゼロを目指す」と公約でうたうが、現実には自民と歩調を合わせて再稼働を進めてきた。希望も当面の再稼働を認める一方で、「30年までの原発ゼロ」を掲げる。
これに対し、最も厳しい姿勢をとるのが「即時原発ゼロ」を掲げる共産だ。早期の原発ゼロを目指す立憲、社民を合わせた3党が、現状で再稼働を認めない。原発の代わりに太陽光など再生可能エネルギーを増やす考えだが、その道筋は必ずしも明確ではない。(斎藤徳彦)

■森友・加計 行政透明化、姿勢に濃淡
森友・加計問題をめぐっては、関係する省庁が議事録などの関連文書について「破棄した」「ない」などと説明し、ずさんな公文書管理や消極的な情報公開に批判が集まった。選挙戦では、野党が問題の徹底追及や法改正による透明性の向上を掲げ、与党は運用の見直しなどによる改善を公約に盛り込んでいる。
立憲は情報公開法を改正し、行政を透明化することを公約に盛り込む。枝野幸男代表は「資料を出す。情報公開をする。まっとうな民主主義の大前提だ」と選挙戦で訴えた。希望も森友・加計問題の関連情報を「すべて公開」とし、公文書管理法の改正で文書の恣意(しい)的な廃棄を禁じるとした。
共産は重点政策の一番目に森友・加計問題への対応を掲げ、社民とともに公文書管理と情報公開のあり方を根本から改めると主張。関係者の証人喚問を求めて徹底追及するとしている。
これに対し、自民は「国会で丁寧に説明を重ねてきた」(安倍首相)との立場。公約では森友・加計問題への具体的な言及はなく、「行政文書の適正な管理に努める」とした。公明は公文書管理のガイドライン改正を掲げて情報公開体制を整備するとしている。(木村和規)

日本の反論は「本質避ける」共謀罪で国連報告者 - 東京新聞(2017年10月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017102101001375.html
https://megalodon.jp/2017-1022-1037-42/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017102101001375.html

ジュネーブ共同】犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が「表現の自由を不当に制約する恐れがある」と警告したカナタチ国連特別報告者は21日までに、これを不当だと反論した日本政府の回答に対し「私の示した懸念(に対する回答)の本質と事実を避けている」と批判する文書を共同通信に寄せた。
両者の主張はかみ合っておらず、日本側が再反論する可能性もある。カナタチ氏は文書で「衆院選の結果を待って、誰が首相になろうとも日本政府とこの問題に取り組む」と表明し、日本側の姿勢を引き続き注視する考えを明確にした。
文書は電子メールで約1ページ分。

(余録)指導者が簡潔に断言してできるだけ同じ言葉で… - 毎日新聞(2017年10月22日)

https://mainichi.jp/articles/20171022/ddm/001/070/166000c
http://archive.is/2017.10.22-013151/https://mainichi.jp/articles/20171022/ddm/001/070/166000c

指導者が簡潔に断言してできるだけ同じ言葉で繰り返し説く。そうすれば、その意見がさらに威厳を得て群衆の中にいや応なく感染していく−−。フランスの心理学者、ル・ボンの「群衆心理」にある。
高田博行さんの著書「ヒトラー演説」によれば、ヒトラーは図書館で「群衆心理」を読んでいたらしい。確かに政治家の演説は内容ばかりでなく、言葉遣いや声の抑揚、身ぶりが大事だ。さて、きょう投票の総選挙で心に響く演説を聞けただろうか。
今年話題になった映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男−−その名は、カメジロー」は占領下の沖縄で土地の接収などを進める米軍の圧政と闘った政治家、瀬長亀次郎を描いたドキュメンタリーだ。力強い演説で聴衆を引きつけた。
1950年、米軍への抵抗を呼びかける時もそうだった。「私の声は50メートル先まで届く。ここに集まった人が全員で叫べば那覇市中に届く。沖縄県民70万人が声を上げれば太平洋の荒海を越えてワシントン政府をも動かす」
聴衆はなぜ瀬長の演説を支持したのか。彼は米軍の策略で投獄されても信念を貫いた。米軍は瀬長を分析した資料を残している。「彼はありきたりの言葉を使う演説をしなかった」。その言葉は行動と人柄に裏打ちされたものだと米軍も分かっていた。だから「最も恐れた男」だった。
政治家の命は言葉といわれる。そこに口先の巧みさではなく、どんな信念がこもっているか。投票する前に、街頭で聞いた演説をいま一度思い起こしたい。