教育勅語、教材で用いること否定せず 政府が答弁書 - 朝日新聞(2017年3月31日)

http://www.asahi.com/articles/ASK3045LBK30ULFA00Q.html
https://megalodon.jp/2017-0331-1522-07/www.asahi.com/articles/ASK3045LBK30ULFA00Q.html

政府は31日、戦前・戦中の教育勅語を学校教育で使うことについて、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切である」としたうえで、「憲法教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書閣議決定した。民進党初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えた。
勅語については、太平洋戦争後の1948年、衆参両院が排除・失効の確認を決議している。
また、稲田朋美防衛相が国会答弁で「親孝行や友達を大切にするとか、そういう(勅語の)核の部分は今も大切なもの」と述べたことの是非について、答弁書は「政治家個人としての見解」とし、政府としての見解を示さなかった。

参考サイト)
教育勅語等排除に関する決議」 - 衆議院の決議(1948年6月19日)
教育勅語等の失効確認に関する決議」 - 参議院の決議(1948年6月19日)
http://www.stop-ner.jp/chokugo.html

海外メディアが見る森友問題の“もうひとつの側面”。「日本会議と安倍政権の関係」と同じ文脈で注目すべき! - 週プレNews(2017年3月30日)

http://wpb.shueisha.co.jp/2017/03/30/82427/

http://wpb.shueisha.co.jp/2017/03/30/82427/2
─今、ヨーロッパでも極右政党が台頭したり、人種差別的な勢力が支持を広げたりといった流れがありますが、先日行なわれたオランダの総選挙では、移民排斥を訴える極右の自由党は結果的に政権を取れませんでした。いわゆる先進国のリーダーがこうした「極右思想」と近い関係にあるという例は、今のところはないですよね。

マッカリー 海外のメディアが森友学園に注目したのは、昨年、ロイター通信が塚本幼稚園で行なわれている「戦前回帰的な教育」の実態を紹介したことがきっかけでした。森友学園の問題は同じく昨年、海外の各メディアでも報道された「日本会議と安倍政権の関係」と同じ文脈で注目されているのだと思います。

つまり、もうひとつの側面を「日本の首相と極右思想の政治団体、その思想が色濃く反映された学校法人のつながり」という文脈で捉(とら)えると、今、日本で広がりつつある「戦前回帰」への流れと安倍政権がリンクしてくる。

ちなみに日本会議は、籠池氏はメンバーではないと言っているようですが、塚本幼稚園や籠池氏の語る教育方針は多くの部分で日本会議の教育に関する主張と重なっているし、大きな方向性という意味では、第一次安倍政権が打ち出した「教育改革」の方針とも重なる部分が少なくありません。

このように与党の党首が極右思想と近い関係にあり、その強い影響を受けた学校法人と近い関係にあったのだとすれば、その点はもっと議論されるべきでしょう。まだ何もわからない幼い子供たちに「安倍首相がんばれ!」と叫ばせたり、中国や韓国に対する差別的なイメージを押し付けたりする教育をしている幼稚園や学校があれば、普通は問題視されるはずで、一国の首相や政治家がそれを応援するなんて、普通に考えればあり得ないことです。

そうした人たちと政治の中枢が「近い場所」にいるということの意味を、この機会にもっと多くの人たちが考えたほうがいいと思います。

─今後、森友学園問題はどのような方向に進展すると思いますか?

マッカリー 繰り返しになりますが、土地取引への便宜供与について確かな証拠が出てこない限り、安倍政権が引っくり返ることはないと思います。しかし、依然として民進党をはじめ野党への支持は低いものの、この先、与党内の安倍政権に対する支持がこれまでのように盤石でいられるかどうかは疑問です。

自民党石破茂氏も、国有地払い下げ問題に関しては「野党に言われるまでもなく、政府・与党として解明すべきものだ」と述べています。

マッカリー 自民党は総裁の任期を従来の「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長しましたが、今回の問題をきっかけに政権支持率が下がるようなことになれば、党内に「この先も安倍政権のままではもたない」と考える勢力が出てきても不思議ではありません。長い間、高い支持率を維持してきた安倍政権ですが、党内での求心力が少しずつ失われるようなことになれば、なんらかの影響が出る可能性はあるでしょうね。
(取材・文/川喜田 研)

ジャスティン・マッカリー
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院で修士号を取得し、1992年に来日。英紙「ガーディアン」「オブザーバー」の日本・韓国特派員を務めるほかTVやラジオでも活躍

中学武道に銃剣道を追加 体育で「異性への関心」は残る - 朝日新聞(2017年3月31日)

http://www.asahi.com/articles/ASK3Z31FPK3ZUTIL005.html
http://megalodon.jp/2017-0331-0938-04/www.asahi.com/articles/ASK3Z31FPK3ZUTIL005.html

松野博一文部科学相は31日付の官報で、小中学校の新学習指導要領と幼稚園の新教育要領を告示した。改訂案にパブリックコメントで寄せられた意見を踏まえ、「聖徳太子」などの歴史用語を従来の表記に戻す異例の修正をした。その一方で、性的少数者(LGBTなど)への配慮から異論があった「異性への関心」や、幼稚園で国歌に親しむという記述は残った。
2月に示された改訂案には計1万1210件の意見が寄せられ、135件の修正があった。
聖徳太子」には数千件の意見があった。改訂案では、学会などでのこれまでの歴史研究の成果を踏まえて「厩戸王(うまやどのおう)」との併記にしたが、「歴史教育の連続性がなくなる」などの批判が相次ぎ、元に戻した。文科省教育課程課は「我が国が伝えてきた歴史上の言葉を次の世代に伝えていくことも重要」と説明する。
改訂案については、保守系の「新しい歴史教科書をつくる会」が「聖徳太子を抹殺すれば、古代史のストーリーはほとんど崩壊する」などと批判。意見を送るよう会員らに働きかけていた。同会は修正を「大勝利」としている。
このほか「学校や地域の実態に応じて種目が選択できるよう」として、中学の武道に新たに「銃剣道」を加え、武道9種目を示した。
小学校体育の指導要領で「異性への関心が芽生える」とした記述をめぐって、この記述をなくし、新たにLGBTなど性的少数者について盛り込むよう求める意見があったが、文科省は「LGBTを指導内容として扱うのは、保護者や国民の理解などを考慮すると難しい」としている。
幼稚園で「伝統的な行事、国歌、唱歌(中略)に親しんだり」するとの記述には、幼児に国歌を強制することを懸念する意見もあったが、「慣れ親しむ趣旨を丁寧に説明していく」として修正しなかった。
このほか新指導要領では、小3から英語を始めるために授業時間を増やし、「質も量も」を鮮明にした。社会では竹島尖閣諸島を「固有の領土」と初めて明記したほか、「公共の精神」「道徳心」などを重視する改正教育基本法の理念を強く反映した内容となっている。(水沢健一)

■学習指導要領をめぐる用語の変遷

(現行→改訂案→告示)

聖徳太子

〈小学校〉聖徳太子聖徳太子厩戸王)→聖徳太子

〈中学校〉聖徳太子厩戸王聖徳太子)→聖徳太子

元寇(げんこう)】

〈中学校〉元寇→モンゴルの襲来(元寇)→元寇モンゴル帝国の襲来)

鎖国

〈小学校〉鎖国→幕府の対外政策→鎖国などの幕府の政策

〈中学校〉鎖国政策→江戸幕府の対外政策→鎖国などの幕府の対外政策

小学英語の教科化を告示 小中の新指導要領 - 東京新聞(2017年3月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2017033102000213.html
http://megalodon.jp/2017-0331-1106-29/www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2017033102000213.html


松野博一文部科学相は三十一日付で、各教科での「主体的、対話的で深い学び」に向けた授業改善の推進や、小学五、六年での英語教科化を柱とした小中学校の新しい学習指導要領を告示した。パブリックコメント(意見公募)を受け、小学校で「聖徳太子厩戸王(うまやどのおう))」、中学校で「厩戸王聖徳太子)」としていた表記を、小中とも現行指導要領と同じ「聖徳太子」に戻すなど、歴史用語中心に改定案を修正した。
文科省は改定案を公表した二月十四日から今月十五日まで意見公募を実施。一万一千二百十件の意見が寄せられた。
社会で教える聖徳太子を巡っては「歴史教育の連続性から、用語を変えるべきではない」といった意見を踏まえた。ただ、中学校では史実を深く学ぶことを重視し、古事記日本書紀で「厩戸皇子(うまやどのおうじ)」などと表記され、後に「聖徳太子」と称されるようになったことに触れるよう新たに示した。
改定案で消えた江戸時代の「鎖国」が小中ともに復活。中学校の「モンゴルの襲来(元寇(げんこう))」も「元寇モンゴル帝国の襲来)」という現行に近い表記になった。
東京電力福島第一原発事故でのいじめや風評被害に絡み、「放射線に関する正しい知識を体系的に指導すべきだ」という意見があり、小中の総則に「災害等を乗り越えて次代の社会を形成する」ための資質・能力を育むとの文言を追加した。
中学校の保健体育では武道の内容の取り扱いで、競技人口や国体種目であることなどを考慮し、銃を模した用具を使い互いに突き合う「銃剣道」も例に加えた。
小学校では英語より国語に力を入れるべきだとの意見もあったが、双方の充実を盛り込んでいるとして修正しなかった。

ハンセン病隔離法廷、再審請求せず 検察、元患者側に謝罪 - 中日新聞(2017年3月31日)

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017033102000274.html
http://megalodon.jp/2017-0331-1633-46/www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017033102000274.html

ハンセン病患者の裁判が、隔離先の療養所などに設置された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高検は三十一日、最高裁が違法性を認めた一九六〇年以降の法廷に関与したことの責任を認め、謝罪を表明した。差別的な特別法廷を巡り、検察庁が謝罪するのは初めて。
元患者が特別法廷で死刑判決を受け、執行された「菊池事件」の弁護団最高検検事らが三十一日に熊本市で面会。「責任を感じている。おわびしたい」と書面を読み上げた。要請を受けていた菊池事件の再審請求は「事由がない」と回答した。弁護団が面会後の記者会見で明らかにした。不作為を問い、国家賠償請求訴訟を起こすとしている。
弁護団の徳田靖之団長は会見で「最高裁の調査に乗っただけ。再審請求しないのは、国家公務員としてのハンセン病の被害回復を図る義務を怠っている」と述べた。
全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)など三団体とその代理人弁護団が、憲法が定める裁判の公開原則違反や冤罪(えんざい)を訴え、再審請求するよう要請していた。
ハンセン病患者の特別法廷は、四八〜七二年に療養所や専用の刑事施設で九十五件開かれた。最高裁は昨年四月、医学的見地から隔離の必要がなくなった六〇年以降は「差別的で違法な運用だった」とする調査報告書を公表し、謝罪した。
刑事訴訟法は、無罪を宣告すべき明白な新証拠の発見などがあれば検察官や有罪判決を受けた本人らが再審請求できるとしている。

<菊池事件> ハンセン病の患者調査に関わっていた熊本県内の村職員を1952年に殺害したとして、元患者の藤本松夫元死刑囚=執行時(40)=が殺人罪に問われた事件。国立療養所菊池恵楓園内に熊本地裁が設けた「特別法廷」で審理された。無実を主張したが死刑判決を受け、57年に確定。凶器と被害者の傷が合わず、弁護活動も不十分だったとして3回の再審請求をしたが退けられ、62年9月に刑が執行された。事件の発生地名から菊池事件と呼ばれる。

ハンセン病隔離法廷、弁護団が国賠請求へ 検察方針受け - 朝日新聞(2017年3月31日)

池上桃子、小原智恵2017年3月31日http://www.asahi.com/articles/ASK3031R5K30TIPE00C.html
http://megalodon.jp/2017-0331-1634-19/www.asahi.com/articles/ASK3031R5K30TIPE00C.html

ハンセン病患者の刑事裁判が隔離された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高検検事が31日、特別法廷で裁かれた患者の死刑が執行された「菊池事件」の弁護団熊本市内で面会した。検察は差別的に運用された法廷に関わった責任を認め、謝罪した。
一方で検察は「冤罪(えんざい)」を訴える弁護団が求めていた再審請求などはしない方針。弁護団は「患者が差別によって受けた被害を回復する機会を奪われた」として、国家賠償請求訴訟を起こす考えを明らかにした。
弁護団によると、検察側は「再審事由があるとは認められない」などと説明。確定判決に誤りがあった際に検事総長最高裁に是正を申し立てる「非常上告」についても、「最高裁に指定された場所で行われた訴訟手続き自体が直ちに違法だったとは認められない」として手続きしない考えを示したという。
面会後の記者会見で、弁護団の徳田靖之代表は「明らかに憲法違反の手続きで行われた裁判。到底承服できない結論だ」と憤りを見せた。弁護団の八尋光秀弁護士は「ハンセン病患者に対する差別が刑事司法にどれだけ影響を及ぼしたのかを検討しない形式的な判断だ」と話した。
菊池事件では、熊本県内で起きた殺人事件で起訴された男性患者が、国立療養所菊池恵楓園(けいふうえん)(熊本県合志市)に設けた特別法廷で裁かれた。男性は無実を訴えたが、1957年に死刑判決が確定。3度の再審請求が退けられ、62年に死刑が執行された。男性の家族が差別や偏見を恐れて再審請求に消極的なため、弁護団などは2012年、検察に再審請求を求めていた。
「特別法廷」は被告が伝染病に罹患(りかん)している場合などに、裁判所以外の場所で開かれる。ハンセン病を理由とした特別法廷は1948〜72年に95件あった。
最高裁は昨年、「差別や偏見の助長につながった」と謝罪したが、憲法が保障する「裁判の公開原則」に反するとは認めなかった。(池上桃子、小原智恵)

最高検、元患者側に謝罪=ハンセン病「特別法廷」−熊本 - 時事ドットコム(2017年3月31日)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017033100161&g=soc
http://archive.is/2017.03.31-072149/http://www.jiji.com/jc/article?k=2017033100161&g=soc

ハンセン病患者の裁判が1970年代初頭まで隔離施設などに設置された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高検は31日、熊本市内で元患者側弁護団と面会した。弁護団によると最高検の検事は差別的な運用を認識しないまま裁判に関わった責任を認め「おわび申し上げる」と、謝罪した。元患者団体は特別法廷で死刑が言い渡された「菊池事件」について検察に再審請求するよう求めていたが、検察側は請求しない方針を伝えた。
特別法廷で行われたハンセン病患者の裁判は1948〜72年に95件。地裁などから上申を受けて最高裁が許可し、国立療養所などで開かれた。許可率は99%に達し、最高裁は昨年4月に公表した報告書で「一律に設置を許可した最高裁の運用は違法だった」と認めた。
特別法廷で審理された刑事裁判のうち、菊池事件では無罪を訴えた男性に死刑が言い渡され、62年に執行された。裁判は熊本県の療養所「菊池恵楓園」などに設置された非公開の法廷で実施。当時の裁判官や検察官は手にゴム手袋をはめ、調書をめくるのに火箸を使ったとされる。
元患者らでつくる全国ハンセン病療養所入所者協議会などは2012年11月、検事総長に宛てた要望書で、菊池事件について検察が自ら再審請求するよう求めていた。
特別法廷をめぐっては、最高裁の寺田逸郎長官が昨年4月、国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)を訪問。翌5月の記者会見で「差別の助長につながる姿勢があったことは痛恨の出来事」などと謝罪した。

ハンセン病隔離法廷 最高検が責任認める - 東京新聞(2017年3月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017033102000145.html
http://megalodon.jp/2017-0331-1106-54/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017033102000145.html

ハンセン病患者の裁判が、隔離先の療養所などに設置された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高検が差別的な運用と認識せず裁判に関わり続けた責任を認めることが三十日、関係者への取材で分かった。検察側が三十一日に元患者側の弁護士らと熊本市で面会し、説明する。
ハンセン病患者の特別法廷は一九四八〜七二年に療養所や刑務所、拘置所などで九十五件開かれ、大半は刑事裁判だった。
最高裁は昨年四月、例外的な措置の特別法廷が、ハンセン病という理由だけで必要性を審査せずに設置されており、差別的で違法だったとする調査報告書を公表、元患者らに謝罪した。
全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)などは二〇一二年、殺人罪に問われた熊本県の元患者が無実を訴えながら特別法廷で死刑を宣告され、六二年に執行された「菊池事件」について、起訴した検察自らが再審請求するよう最高検に要請していた。
過去の記録などを精査していた検察側は三十一日、元患者側に回答する。
再審請求はしないと伝える見通しだが、医学的見地からハンセン病患者を隔離する必要がなくなった六〇年以降も、特別法廷に関わった責任については認める。

「共謀罪」の早期審議入り 自公、党首会談も平行線 - 東京新聞(2017年3月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017033102000134.html
http://megalodon.jp/2017-0331-1107-14/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017033102000134.html

安倍晋三首相は三十日、公明党山口那津男代表と首相官邸で会談し、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の早期審議入りに理解を求めた。山口氏は債権関係の規定を改める民法改正案と性犯罪を厳罰化する刑法改正案の審議を優先すべきだと主張。会談は平行線だった。
共謀罪」法案を審議する予定の衆院法務委員会には現在、民法改正案や国際結婚の夫婦の離婚を巡る人事訴訟法改正案など六法案が付託されている。ここに「共謀罪」法案と刑法改正案が加わるが、裁判所関連の二法案は三十一日に採決される方向のため、審議を待つ法案は六本になる。
共謀罪」法案は六法案のうち最後に提出された。公明党は「後から出した法案をなぜ先に議論しなければならないのか、分かりにくい」(山口氏)と提出順に審議し、成立させるべきだと強調。自民党は「共謀罪」法案を「最優先」(竹下亘国対委員長)と位置付け、四月六日の審議入りを目指している。
審議の順番は各委員会の与野党の理事間協議で決める慣例になっているが、実態としては政府・与党の優先順位に従うことになる。政府・与党の重視する法案が、前に提出された法案よりも先に審議されるケースは珍しくない。
昨年の通常国会の法務委では、二月二十六日に提出された人事訴訟法改正案は質疑が行われずに継続審議になった。一週間以上遅れて三月八日に提出された民法改正案は五月十八日に審議入りし、同月二十日に修正案が採決、可決された。

敵基地攻撃力 専守防衛が空洞化する - 朝日新聞(2017年3月31日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12868919.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2017-0331-1107-39/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_shasetsu_01

敵のミサイル基地をたたく敵基地攻撃能力の保有について、検討を開始するよう政府に求める――。そんな提言を自民党の検討チームがまとめ、安倍首相に提出した。首相は「しっかり受け止めていきたい」と応じたが、とうてい賛成できない。
北朝鮮の核・ミサイル開発に対処は必要だが、敵基地攻撃能力を持っても問題の解決にはつながらない。一方で、憲法にもとづく専守防衛の原則を空洞化させる恐れがある。
敵基地攻撃について、政府はこれまで法理論上は憲法に反しないと説明してきた。
1956年に鳩山一郎内閣は、わが国に対し「攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」とし、攻撃を防ぐのに「他に手段がない」場合に限り、ミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲」との見解を示した。歴代内閣も踏襲してきた。
だが、この見解はあくまで法理を説明したものであり、現実に目を向ければ問題が多い。
まず「他に手段がない」とは言えない。日米安保条約に基づき、米軍が日本防衛の義務を負っているからだ。
日本の安全保障は、米軍が攻撃を担う「矛」、自衛隊憲法専守防衛の下、守りに徹する「盾」の役割を担ってきた。この分担を壊し、日本が敵基地攻撃をすれば、自衛隊が戦争を拡大することになりかねない。
また、敵基地攻撃には長距離巡航ミサイルのような攻撃的な兵器が必要だ。提言は敵基地の位置情報の把握や、それを守るレーダーサイトの無力化、精密誘導ミサイルなども例示しているが、従来の専守防衛に基づく装備体系を大きく逸脱する。
59年の防衛庁長官答弁は「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」を持つことは憲法の趣旨ではないとしている。違憲の疑いが濃いと言わざるを得ない。
これらを整備すれば、防衛費の大幅な増額も避けられない。そこまでしたとしても、移動式発射台や潜水艦からミサイルが撃たれれば、位置の特定も発射の兆候をつかむのも困難だ。
敵基地を攻撃すれば反撃を受け、全面戦争への発展を想定する必要がある。原発が攻撃対象になる可能性も否定できない。
むしろ日本は、北朝鮮への先制攻撃も視野に入れる米トランプ政権に対し、外交的な対応の強化を説くべき時ではないか。
多くの問題をはらむなか、敵基地攻撃能力の検討に踏み込もうとする姿勢は危うい。

差別発言、3割が経験=外国人居住者に初調査−法務省 - 時事ドットコム(2017年3月31日)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017033100411&g=soc
http://archive.is/2017.03.31-020454/http://www.jiji.com/jc/article?k=2017033100411&g=soc

法務省は31日、日本に住む外国人を対象とした差別被害に関する初の実態調査の結果を公表した。過去5年間に外国人であることを理由に差別的なことを言われた経験が「よくある」「たまにある」と答えた人は合わせて29.8%だった。
誰に言われたかを複数回答で尋ねたところ、「見知らぬ人」が53.3%と最も多く、「職場の上司や同僚・部下、取引先」が38.0%、「近隣の住民」が19.3%と続いた。金田勝年法相は記者会見で「外国人に対する不当な差別的言動、扱いがあってはならない」と強調。「相談窓口の周知や人権啓発活動に適切に取り組む」と述べた。
ヘイトスピーチ(憎悪表現)を伴うデモや街宣活動を見聞きした人の受け止め(複数回答)は、「不快に感じた」が39.2%、「なぜそのようなことをするのか不思議に感じた」が28.4%、「日本人や日本社会に対する見方が悪くなった」が15.9%の順となった。
このほか、外国人であることを理由として、住宅への入居を断られた(39.3%)、就職を断られた(25.0%)、同じ仕事をしている日本人より賃金が低かった(19.6%)といった実態が明らかになった。
調査は外国人居住者の多い群馬県太田市、東京都港区、川崎市など16都道府県の37市区に住む18歳以上の1万8500人を対象に、昨年11月14日から12月5日まで、郵送で実施。有効回収率は23.0%だった。

伊方3号機の差し止め認めず 広島地裁決定 - 東京新聞(2017年3月31日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017033102000139.html
http://megalodon.jp/2017-0331-1007-37/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017033102000139.html

四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めるよう瀬戸内海を挟んだ広島県の住民らが申し立てた仮処分について、広島地裁は三十日、却下する決定をした。住民側は広島高裁に即時抗告する方針。 
同様の仮処分では、大阪高裁も二十八日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めていた昨年三月の大津地裁決定を取り消しており、住民側には再び厳しい判断となった。
吉岡茂之裁判長は東京電力福島第一原発事故後に策定された原発の新規制基準について、教訓を踏まえ最新の知見を反映しているとして「不合理とは言えない」と指摘。四国電は、安全の基準となる地震の揺れや津波を詳細な地盤調査をした上で不確かさも考慮しており、適正だと判断し「住民が放射線被ばくにより重大な被害を受ける具体的な危険はない」と結論付けた。
一方、四国電による地震想定の合理性には慎重な検討を要する問題もあると言及。こうした問題を検証する際、地震学者や原子力規制委員会の関係者を通じて学説の状況や審査経緯などを調べるのは、仮処分手続きにはなじまないとした。
国電は「安全性が確保されているとの主張が認められ、妥当な決定だ」とコメントした。
住民らは伊方原発南海トラフ巨大地震震源域にあり、基準地震動を過小評価していると訴えていた。
広島地裁決定骨子
原発の新規制基準の内容が不合理だとはいえない
四国電力は詳細な地盤構造などの調査を行い、安全性の基準となる地震の揺れや津波の規模を適正に定めている
▼これらを新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断にも不合理な点はない
▼四国電伊方原発の安全性を一定程度立証しており、住民らの人格権侵害の恐れはない

◆対岸に原発 被爆者「引き下がらぬ」
「このまま引き下がるわけにはいかない」。三十日、四国電力伊方原発3号機の仮処分で運転差し止めを認めなかった広島地裁決定。並行して地裁に係属する訴訟の原告団長を務める堀江壮(そう)さん(76)=広島市佐伯区=は、七十二年前の被爆体験を原動力として、仲間らの闘いを見守ってきた。
「自分たちのような原子力の被害者はもう出さない」との思いで裁判に参加。決定後の記者会見では「次の世代のために頑張りたい」と神妙な面持ちで話した。
広島市で四歳の時に被爆。五十五歳で甲状腺腫を患い原爆症認定も受けた。今も影響を及ぼす原爆の恐ろしさを語ってきた。
堀江さんを突き動かしたのは東京電力福島第一原発事故。ひとたび事故が起きれば、長く被害が続く点は原爆と変わらないと感じる。「自分は放射能の恐ろしさを知っている。原爆と原発はコインの裏と表だ。平和利用であっても核と人類は共存できない」
伊方原発の運転差し止めを目指して法的手段に打って出たのは、被爆者としての責任感からだ。原爆を実体験として語れる最後の世代。「もしまた事故が起きたとき『怖さを知っていたのに何もしなかったのか』とは絶対に言われたくない」。堀江さんの闘いは続く。

改憲、自民草案基本に議論 下村幹事長代行 - 東京新聞(2017年3月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017032901001848.html
http://megalodon.jp/2017-0331-0911-59/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017032901001848.html

自民党下村博文幹事長代行は29日、憲法改正に関し、2012年の党改憲草案を基本に議論を進めるべきだとの考えを明らかにした。改憲項目絞り込みへ民進党など野党との連携が重要だとの認識も示した。「草案はエッジが効き過ぎているが、これを基本に、よりわが国にふさわしい憲法を党内でも仕立てていく必要がある」と述べた。
東京都内で開かれた憲法改正を訴える集会での発言。党草案は、国防軍保持や緊急事態宣言に基づく首相権限強化などを明記しており、復古的だとの根強い指摘がある。
下村氏は、大災害時に国会議員の任期延長を実現する緊急事態条項や教育無償化が議論の対象と強調した。
(共同)

職員の記憶を特定秘密 4割弱は文書なし 情報入手見込みも指定 - 東京新聞(2017年3月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017033002000143.html
http://megalodon.jp/2017-0331-0912-56/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017033002000143.html


特定秘密の運用状況を点検する衆院の情報監視審査会は二十九日、二〇一六年の年次報告書を大島理森(ただもり)議長に提出した。報告書によると、一五年十二月末時点で四百四十三件ある特定秘密のうち、四割弱の百六十六件で行政文書がなかった。うち十五件は、情報入手前からあらかじめ特定秘密に指定。十件は文書ではなく、職員の記憶や知識を特定秘密に指定していた。 (我那覇圭)
「あらかじめ指定」は武器や人的情報源に関する情報などで、入手見込みの段階で指定された。職員の記憶や知識の指定は、公安調査庁一件と防衛省九件。
国家公務員法は公務員に守秘義務を課し、職務上知り得た秘密を漏らすと最高一年の懲役となるが、特定秘密保護法は最長十年の懲役を科す。記憶や知識も特定秘密に指定することで、より厳しく情報漏えいを防ぐ狙いがあるとみられる。
その他は、文書が他機関にある例が十三件、暗号のように文書ではなく電子機器などで記録されている例が九十一件などだった。
報告書は「あらかじめ指定」について「拡大しすぎている」と指摘。例外的な取り扱いであることや、厳格な要件を明記した規定を定めるよう求めた。記憶や知識の指定については「情報の特定および立証を困難にする。情報の保護および漏えいを防止する上でも重大な疑問がある」と、不適切な秘密指定になりかねないと疑問を示した。
内閣官房の担当者は審査会に対し、「あらかじめ指定」について「将来、情報を入手することが確実な場合」は可能だと説明。職員の記憶や知識の指定に関しては「特定秘密の指定の対象は個々の文書ではなく『情報』。行政文書が存在していない特定秘密も否定されない」と説明した。
ただ「あらかじめ指定」のうち、警察庁、外務省、防衛省が指定した五件は情報が入手できず、昨年中に指定を解除。職員の記憶や知識を指定した十件は審査会の指摘後に文書を作成するか、指定が解除された。これらにより、文書のない指定は計三十六件減った。
情報公開に詳しいNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「『あらかじめ指定』は全く不要と言い切れないが、特定秘密の『枠』を作って情報が入らなくても、そのままになっていると分かった。職員の記憶の指定も、文書がなければ、指定が適切かどうか検証が難しい」と指摘。「審査会が行政の文書管理の点検を試みた点は評価できる。今後、独立公文書管理監などとの連携が課題だ」と述べた。

<情報監視審査会> 特定秘密の指定や解除に問題がないかをチェックする衆参両院の常設機関。各8人の議員で構成する。審査は非公開の秘密会形式で実施。政府から秘密保護法の運用状況について報告を受け、毎年1回、審査結果に関する報告書をそれぞれの議長に提出する。必要に応じて特定秘密の提示を要求できるが、政府は安全保障上の理由などで拒否できるため、監視機能を十分に果たすことができないとの批判がある。

安保法施行1年 不戦のタガ緩んでないか - 東京新聞(2017年3月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017033002000147.html
http://megalodon.jp/2017-0331-0913-36/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017033002000147.html

日本周辺の情勢が厳しさを増しているのは確かだが、戦後日本が歩んできた「平和国家」の看板を下ろすわけにはいかない。「不戦のタガ」が緩んでないか。
憲法学者ら多くの専門家が違憲と指摘したにもかかわらず、安倍晋三首相率いる政権が成立を強行した安全保障関連法の施行からきのう二十九日で一年がたった。
集団的自衛権の行使を容認する安保法は憲法九条に違反するとした訴訟が全国各地で提起されてはいるが、国会では、学校法人「森友学園」への格安での国有地売却問題や、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の議論に多くの時間が割かれている。

◆他国軍と深まる連携
安保法の議論が脇に追いやられている間に、政権側は安保法に基づいた決定を積み重ねている。
五月末の撤収を決定したが、現在、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊部隊には昨年十一月、安保法に基づいて「駆け付け警護」任務が付与された。
昨年十二月には米軍の艦艇などを自衛隊が守る「武器等防護」の運用開始を決定し、北朝鮮による弾道ミサイル発射への警戒監視活動などで米軍などとの連携を着々と深めている。
自衛隊と他国軍との間で食料、水といった物品や、輸送、修理などの役務を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)を米国、オーストラリアとの間で改定、英国とは新たに結んだ。
協定審議中の国会で承認されれば、日本が直接攻撃される「武力攻撃事態」などに制限してきた弾薬の提供や発進準備中の戦闘機への給油が、安保法で新設された「存立危機事態」や「重要影響事態」でも可能になる。
国民の懸念が解消されないまま、既成事実化だけが進む。

◆敵基地攻撃まで議論
そればかりではない。
自民党はきのう敵基地攻撃能力の保有を直ちに検討するよう政府に求める提言をまとめた。
敵基地攻撃能力とは、敵のミサイル攻撃などを防ぐ場合、その発射基地を破壊する能力を指す。
政府見解では、ほかに攻撃を防ぐ手段がない場合には「法理的には自衛の範囲に含まれ、可能」だが、これまで自衛隊がそうした能力を保有することはなかった。
自民党提言には弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威が念頭にあるとはいえ、平時から他国を攻撃するような兵器を持つことは「海外で武力の行使はしない」という憲法の趣旨には反する。
巡航ミサイルなど敵基地攻撃能力を整備しようとすれば、膨大な経費がかかり、現実的ではない。
憲法に抵触しかねない敵基地攻撃能力の保有まで具体的に議論されるようになったことは、安保法成立を強行した「安倍一強」の政治状況と無縁ではなかろう。
防衛費の増額圧力も続く。
減少が続いていた日本の防衛費は安倍首相の政権復帰後、増額に転じ、二〇一七年度予算は過去最高の五兆一千二百五十一億円。
それでも国内総生産(GDP)比1%以内に収まるが、一九年度から五年間の次期中期防衛力整備計画には、安保法に基づく新たな装備品購入や訓練費用なども盛り込まれることが想定され、一層の増額は避けられない。
首相自身も、防衛費を「GDPと機械的に結びつけることは適切ではない」として、GDP比1%以内に収める必要はないと明言している。
日本と周辺地域の平和と安全を守るために防衛費の適正な水準は常に検討すべきだが、やみくもに増やせば、地域の軍拡競争を加速させ、逆に脅威が高まる「安全保障のジレンマ」に陥るだけだ。それでは本末転倒だろう。
専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないことを誓った戦後日本の平和主義は、無謀な戦争に突入して国内外に多大の犠牲を強いた、先の大戦に対する痛切な反省に基づく。
武力で他国を守ったり、他国同士の戦争に参加する集団的自衛権の行使は憲法九条に反するというのが、主として自民党が首相を務めてきた歴代内閣が継承してきた政府見解だった。

◆軍事より外交努力を
その憲法解釈を一内閣の判断で変えたのが安倍政権であることを私たちは忘れてはなるまい。いくら運用を重ねて法律を既成事実化しようとしても、安保法の違憲性に変わりがないことも。
中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発で、東アジアの安全保障環境は厳しさを増しているが、軍事的対応ではなく、緊張緩和に知恵を絞り、外交努力を重ねることこそが、平和国家を掲げる日本の役割ではないのか。安保法で緩んでしまった「不戦のタガ」を、いま一度締め直したい。

安保法1年 隠蔽の上に積んだ実績 - 朝日新聞(2017年3月30日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12866982.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2017-0331-0900-26/www.asahi.com/articles/DA3S12866982.html?ref=editorial_backnumber

安全保障関連法の施行から、1年が過ぎた。
集団的自衛権の行使に道を開き、自衛隊の海外での活動をめぐる政府の裁量の幅を拡大し、米軍などへの兵站(へいたん)(後方支援)を世界中で可能にする。
そんな安保法は「違憲だ」と問う訴訟が全国で続く。民進など野党は「違憲法制」の白紙撤回を求めている。1年がたったからと「違憲」が「合憲」へとひっくり返るはずがない。
安全保障政策が機能するには国民の理解と納得が不可欠だ。だがこの1年、理解を広げようとする政府の努力はほとんど見えなかった。逆に見せつけられたのは、国民やその代表である国会に情報を隠したまま、安保法の「実績」をつくろうとした政府の不誠実である。
安倍政権は昨年11月、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊に、安保法に基づき「駆けつけ警護」の新任務を付与した。
昨年7月、部隊が活動する首都ジュバで起きた大規模な戦闘は、「衝突」であり、「戦闘」ではない――。稲田防衛相が国会で、事実をねじ曲げる答弁を重ねるなかでの付与だった。
だが、当時の陸自部隊の日報には「戦闘」の言葉が記されていたことが後に分かった。防衛省が「廃棄した」としていたその日報を、陸自が保存していたのに、そのことを公表しないよう防衛省内で指示があったことも判明した。
こうした事実が報じられなければ、国民にも国会にも隠蔽(いんぺい)され続けただろう。
南スーダンが事実上の内戦状態にあるにもかかわらず、政府は「PKO参加5原則は維持されている」と主張し続けた。無理に無理を重ねて自衛隊派遣を継続し、そのなかで新任務を付与して安保法の「実績」を積もうとした。
政府は安保法によって米国の戦争に巻き込まれることは「絶対にない」、隊員のリスクも「高まることはない」と言う。
だが一連の経緯から見えてくるのは、安保法のために隊員を危険にさらしかねない政権の現実である。
同時に、政権の思惑にこたえようと、文書管理や情報公開など国民や国会への責任をないがしろにする自衛隊の姿だ。しかも、その自衛隊に対する文民統制が機能しているとはとても言えない。
こんな状態で存立危機事態などの有事に、歴史の検証にたえる判断が可能だとは思えない。この政権に自衛隊を海外で活動させる資格があるのか。

安保法は「違憲」 県民ら175人が地裁に提訴:群馬 - 東京新聞(2017年3月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201703/CK2017033002000185.html
http://megalodon.jp/2017-0331-0914-24/www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201703/CK2017033002000185.html

安全保障関連法は違憲で平和的生存権などの侵害により精神的苦痛を受けたとして、県内などに住む百七十五人は二十九日、国に一人当たり十万円の損害賠償を求める集団訴訟前橋地裁に起こした。全国で同種の集団訴訟が相次いでおり、群馬でも戦争体験者らが立ち上がった。 (川田篤志
訴状では、集団的自衛権の行使を認めた安保法は武力行使や交戦権を認めていない憲法九条に反していると主張。テロや戦争に巻き込まれる危険が増すことで恐怖や不安の中での生活を余儀なくされ、平和的生存権や人格権を侵害したなどとしている。
原告は三十〜九十代で、県内に住む百七十一人と県外の四人。太平洋戦争中に米軍の爆撃を受けた前橋や伊勢崎、太田での空襲体験者も加わった。
主張には、安保法に基づく「駆け付け警護」の新任務が付与された自衛隊南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣は、憲法一八条が禁じる「意に反する苦役」に当たるなど自衛隊員の権利侵害を盛り込んだ。
原告団に派遣部隊の自衛官はいないが、弁護団の下山順事務局長は「第三者憲法上の権利が援用されるべき事案。この主張は全国の同種訴訟でも珍しいのでは」と説明。抗議の意味を込めて同法施行からちょうど一年となったこの日に提訴したといい、「違憲であることをしっかり判断してほしい」と訴えた。
一方、内閣官房国家安全保障局の担当者は取材に「憲法に合致しており、国民の命と暮らしを守るために必要なもの。訴状を見た上で今後の対応を検討する」とコメントした。
弁護団などによると、この日提訴された前橋と宮崎両地裁も加え、同種の集団訴訟は東京や埼玉など全国の十七地裁に及ぶ。原告は計五千八百六十五人。

◆戦争不安つのる「ただ恐怖」 原告の空襲体験者ら会見
提訴に至った思いを語る岩崎さん(左)ら原告と弁護士=前橋市
原告団に加わった空襲や戦争体験者らは提訴後、前橋市内で会見した。
自らの悲惨な体験を基に、戦争に巻き込まれる不安から受ける精神的苦痛の大きさを主張。安保関連法の成立・施行に踏み切った政府・与党を批判した。
「ただ恐怖だった」。一九四五(昭和二十)年八月五日の前橋空襲を十一歳の時に体験した岩崎正一さん(83)=同市二之宮町=は、米軍機による爆撃の中を逃げ回った。「私のすぐ後ろの人は被弾して足の骨が見えた。その時の衝撃は忘れられない」と振り返る。
提訴した理由を「安保法でまたいつ戦争に巻き込まれるか不安になった。戦争につながるようなことは絶対にやめてほしい」と語り、表情を引き締めた。
満州(現在の中国東北部)などで兵役に就いた金古薫さん(99)=同市荒牧町=は、戦争の悲惨さなどを多くの人に理解してほしいとの願いから、「この年齢だが裁判に加わった。安倍内閣は危険で許せない」と力を込めた。 
  (川田篤志

(筆洗)残業時間の上限は過労死認定レベルの一カ月百時間未満とまだまだ長い。 - 東京新聞(2017年3月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017033002000146.html
http://megalodon.jp/2017-0331-0914-00/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017033002000146.html

<いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな>…。そっくり引用したいが、行数稼ぎかと笑われかねないので途中でよしておく。詩人、山村暮鳥(ぼちょう)(一八八四〜一九二四年)の「風景/純銀もざいく」。菜の花の美しい季節に不思議なこの詩を思い出す方もいるか。
一つの詩の中に<いちめんのなのはな>が呪文のように二十四回。その効果であろう。詩をぼんやりながめているだけで黄色い花々がぱっと広がる。まるで文字で描いた風景画である。
その計画には美しい言葉もある。されど<いちめんのなのはな>のどこかに危険な「穴」も隠れていないか。何のことかと言えば、安倍政権が最大のチャレンジと掲げている働き方改革の実行計画である。
残業時間の罰則付き上限規制。非正社員らの待遇改善のための「同一労働同一賃金」。その明記はなるほど大きな一歩かもしれないが、残業時間の上限は過労死認定レベルの一カ月百時間未満とまだまだ長い。
加えて休日勤務は規制の対象外。運輸、建設業、医師は五年間の適用猶予である。過労死防止に有効な「勤務間インターバル」の具体策はないとくれば、菜の花畑じゅうの「穴」であろう。
<いちめんのしあわせ いちめんのしあわせ いちめんのしあわせ>。その絵がどうしても計画から浮かんでこない。