安保法案:公明離れの学会員次々…自民と協調に「失望」 - 毎日新聞(2015年7月27日)

http://mainichi.jp/select/news/20150728k0000m040078000c.html
http://megalodon.jp/2015-0728-1502-16/mainichi.jp/select/news/20150728k0000m040078000c.html

安全保障関連法案審議の舞台が参院に移った。日を追って国民の批判が高まる中、自民と足並みをそろえる公明党の足元で、地方議員や支持母体の創価学会員たちの反発や離反が起きている。平和を訴え、与党の「ブレーキ役」を自任する党はどこへ向かうのか。

NHK憲法研究者アンケートのこと - 合憲・違憲の決着はついている - 水島朝穂さん(2015年7月27日)

http://www.asaho.com/jpn/bkno/2015/0727.html

NHKは、いつまで安保関連法案について、合憲・違憲をフラットに並べた報道を続けるのか。法案の違憲性には、論理的にすでに決着がついている。NHK上層部は、政権に対する忖度と迎合の姿勢をやめて、現場がつかんできた事実を正確に報道させるべきである。

......

7月23日の「クローズアップ現代――検証“安保法案”いま何を問うべきか」では、日本公法学会の会員・元会員に対するアンケート調査の結果が出ていた。しかし、実は、6月にこのNHK憲法研究者のアンケート調査は、憲法行政法の最大の学会である日本公法学会の会員・元会員(名誉教授)1146人にアンケートを郵送している。

私自身にも届き、6月の早い時期に回答した。7月に入ってすぐにニュースで報道されると思っていたが、いつまでたってもアンケート結果が公表されない。自由記述欄にはけっこう私も書いた記憶があるので、ボツはないだろうと思っていたところ、ニュースの枠ではなく、7月23日の「クローズアップ現代」のなかで、あっけないほど簡単に紹介された。

回答した憲法研究者のうち、何人がこの番組でのアンケート結果の公表に気づいただろうか。アンケートを依頼されたときに、当然ニュース番組のなかで結果は公表されると思っていた。ニュースならば気づく人は多いだろうが、単発の番組内での公表は腑に落ちない。NHKとして組織的に行った調査なのに、この小さな扱いには違和感がある。

しかも、番組開始後6分30秒から8分30秒のわずか2分間だけ。さらに不自然だったのは、アンケートの集計結果の分析では不可欠のパーセンテージが出されなかったことである。

回答した422人のうちの377人が「違憲違憲の疑いあり」と回答し、「合憲」は28人。これは普通ならば、回答者の89.3%が違憲、6.6%が合憲と画面に出るだろう(冒頭の円グラフは私のスタッフが作成した)。「違憲が9割近く」では安倍政権に不利になると、上層部が忖度したからだろうか。しかも驚いたことに、違憲3人、合憲3人の同人数の個別意見を紹介したのである。同人数は一見、公平のようだが、377人から3人、28人から3人というのは、むしろ「合憲」意見を重く扱う結果になっている。

検証“安保法案” いま何を問うべきか - NHKオンライン(2015年7月23日)
番組内容書き下ろし(全文)
違憲」か「合憲」か 法律の専門家は
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3690_all.html

法律の専門家は国会の議論をどう見ていたのか。
NHKは、日本で最も多くの憲法学者が参加する日本公法学会の会員や元会員で大学などに所属する憲法行政法などの研究者1,146人に独自にアンケートを送付。
422人から回答を得ました。
回答した研究者の中では377人が、法案は違憲もしくは違憲の疑いがあると答えました。

違憲 青野篤 大分大学准教授(憲法学)
“名目が『自衛』でも、日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず武力行使するのは違憲

違憲 長岡徹 関西学院大学教授(憲法学)
“政府の解釈変更で憲法の根幹を揺るがすことは、立憲主義にもとづく国家運営を否定するものだ”

また、国会での政府の説明についての意見もありました。

違憲 齊藤芳浩 西南学院大学教授(憲法学)
“政策論と憲法解釈を混同し、政府は自らの憲法解釈を正当化している。どうしても必要ならば、憲法改正を提起すべきだ”

一方、回答した研究者の中では28人が法案は合憲だと答えました。
その多くが安全保障環境の変化を理由に挙げました。

合憲 長尾一紘 中央大学名誉教授(憲法学)
“そもそも政府見解を変えてはいけないというルールはない。日本を取り巻く状況は一変した”

合憲 木原淳 富山大学教授(憲法学)
“自衛に必要かどうかの判断は、国際関係や軍事的な判断が不可欠”

合憲 井上武史 九州大学准教授(憲法学)
日本国憲法を見ると、集団的自衛権の行使についても明確な禁止規定は存在しない”

参院安保論戦(2)民主・北沢俊美氏「立憲主義を理解しない首相」「勘違い甚だしい」 - 産経新聞(2015年7月27日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150727-00000581-san-pol
http://megalodon.jp/2015-0728-0943-59/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150727-00000581-san-pol

民主党北沢俊美氏「憲法違反の法律案、立憲主義を理解しない首相。この2つの組み合わせが今回の安全保障法制だ。従って国民はノーと言っているのだ。世代を超えて、おかしいと思っているのだ。怒りを胸に街に繰り出しているのだ。今回、政府は昭和34年の最高裁砂川判決で集団的自衛権が認められていたという珍説を作り出した。しかし圧倒的多数の憲法学者が、本法案の集団的自衛権憲法違反だと断じている。国民もすぐさま政府説明のまやかしに気づいた」

「私の半世紀近い政治生活の中で、そんな話は聞いたことがない。岸信介田中角栄大平正芳中曽根康弘竹下登橋本龍太郎小泉純一郎ら、私の尊敬する首相だが、自民党政権のほとんどの首相が『集団的自衛権憲法上行使できない』と述べてきた。砂川判決が集団的自衛権を認めていたのなら、歴代首相は憲法違反の発言を繰り返していたことになる」

「昨年2月12日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相は解釈改憲による集団的自衛権の行使容認について『最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で私たちは選挙で国民の審判を受ける』と述べた。勘違いも甚だしい。為政者が好き勝手にできないための一線を画すために憲法がある。選挙で勝っても憲法違反は正当化できない。それが立憲主義だ。首相は選挙で勝ったことに解釈改憲の正当性を求めようとしている。でも昨年11月21日、衆院を解散した日の会見で、あなたは何と言ったか。『この解散はアベノミクス解散だ。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙だ』。これがあなたの発言だ。しかも自民党の選挙公約は、姑息(こそく)にも閣議決定の引用でごまかし、集団的自衛権という言葉を使わなかった。争点隠し以外のなにものでもない。これで集団的自衛権も選挙で認められたと強弁するあなたは『眼中人なし』だ」

首相、掃海の答弁修正 「特定国の機雷敷設を想定せず」 - 東京新聞(2015年7月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015072802000129.html
http://megalodon.jp/2015-0728-0907-02/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015072802000129.html

他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案は二十七日の参院本会議で、政府による趣旨説明と与野党の質疑が行われ、審議入りした。安倍晋三首相は、中東・ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海について、イランによる海上封鎖を前提にしてきた答弁を修正し、こだわってきた集団的自衛権行使の事例の根拠が揺らいだ。「違憲立法」との批判を参院がどう受け止め、審議に反映させるかが焦点になる。

安保法案「法的安定性関係ない」 補佐官発言を与野党が批判 - 東京新聞(2015年7月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015072802000133.html
http://megalodon.jp/2015-0728-0908-42/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015072802000133.html

憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案をめぐり、礒崎陽輔(いそざきようすけ)首相補佐官が法的安定性を軽視するような発言をしたことに対し、与野党幹部が二十七日、発言を相次いで批判した。
民主党枝野幸男幹事長は「行政に関与する資格がない」と記者団に指摘。「行政や法の支配のイロハも分かってない首相補佐官をいつまで使い続けるのか」と安倍晋三首相に解任を求めた。
維新の党の片山虎之助総務会長は「適当な発言ではない」と述べ、共産党山下芳生書記局長は「安保法案は法的安定性に欠け、立憲主義を踏みにじる違憲立法だと自ら認める発言だ」と廃案を求めた。社民党吉田忠智党首も解任を訴えた。
自民党谷垣禎一幹事長は記者会見で「そのような発言をしたとすると、極めて配慮の欠けたことだ」と苦言を呈した。安保法案に関する参院特別委員会の理事懇談会では、鴻池祥肇(こうのいけよしただ)委員長(自民)が発言の事実関係や真意を報告するよう自民党理事に求めた。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるという認識を示したもので、法的安定性を否定するようなことはなかった」と擁護し、野党の解任要求を拒んだ。「誤解されるような発言は慎まなければならない」とも述べた。

「礒崎補佐官、行政に携わる資格なし」 民主・枝野氏 - 朝日新聞(2015年7月27日)

http://www.asahi.com/articles/ASH7W4VTTH7WUTFK00C.html
http://megalodon.jp/2015-0728-0915-42/www.asahi.com/articles/ASH7W4VTTH7WUTFK00C.html

枝野幸男民主党幹事長
礒崎陽輔首相補佐官が、安全保障関連法案について『法的安定性は関係ない』と述べたことについて)法治主義や法の支配はルールはこう解釈されて、一方的に変更されない(というもの)。だから、そのルールに従ってみんな生きていくことができる。それを法的安定性と呼ぶ。その法的安定性は関係ない、つまり、ルールは都合でころころ変わるということでは、憲法はもとより、そもそも法治主義、法の支配という観点から、行政に携わる資格なし、と思う。安倍首相は法の支配の「いろは」の「い」もわかっていない補佐官をいつまで使い続けるのか。(国会内で記者団に)

憲法解釈変更「法的安定性は無関係」 礒崎首相補佐官 - 朝日新聞(2015年7月26日)

http://www.asahi.com/articles/ASH7V5T5MH7VULFA004.html?iref=sp_extlink
http://megalodon.jp/2015-0728-0913-41/www.asahi.com/articles/ASH7V5T5MH7VULFA004.html?iref=sp_extlink

礒崎陽輔首相補佐官
憲法9条全体の解釈から、我が国の自衛権は必要最小限度でなければならない。必要最小限度という憲法解釈は変えていない。
政府はずっと、必要最小限度という基準で自衛権を見てきた。時代が変わったから、集団的自衛権でも我が国を守るためのものだったら良いんじゃないかと(政府は)提案している。考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない。我が国を守るために必要なことを、日本国憲法がダメだと言うことはありえない。
本当にいま我々が議論しなければならないのは、我々が提案した限定容認論のもとの集団的自衛権は我が国の存立を全うするために必要な措置であるかどうかだ。「憲法解釈を変えるのはおかしい」と言われるが、政府の解釈だから、時代が変わったら必要に応じて変わる。その必要があるかどうかという議論はあってもいい。
来年の参院選は、憲法改正が絡む話でしっかりと勝たなければならない。参院もできれば、自民党単独過半数を取りたい。その中で憲法改正を有利に進めたい。(大分市での国政報告会で)

「安保」参院審議 再考の府の責任果たせ - 東京新聞(2015年7月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015072802000125.html
http://megalodon.jp/2015-0728-0916-51/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015072802000125.html

安全保障法制関連法案の審議が参院で始まった。「憲法違反」と指摘され、審議を重ねるほど国民の反対が増え続ける法案だ。政府・与党は一度、撤回か廃案とし、出直すことを決断すべきである。
良識の府」「再考の府」としての崇高な責任を、参院は果たすことができるであろうか。
安倍政権が、衆院での採決を強行した安保法案はきのう参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、参院で審議入りした。きょうからは特別委員会での審議が始まり、与党側は九月前半までの参院での可決、成立を目指すという。
安倍晋三首相は答弁で、衆院での採決強行について、国連平和維持活動(PKO)協力法や有事法制を超える百十六時間の審議を行い、「熟議の後に決めるべき時には決める」として、正当化した。
しかし、国民の多くが政権の強硬姿勢を嫌悪しているのが実態だろう。石破茂地方創生担当相が言う「感じが悪いよね」である。
衆院での採決強行後に行われた報道各社の世論調査では、安保法案は「憲法違反」との答えは50%台、法案に「反対」が60%台、法案の今国会成立に「反対」が50%台、政府の説明は「不十分」が80%台に達する。
こうした結果は、報道各社の安保法案に対する支持・不支持に関係なくほぼ一致しており、国民の姿勢は厳しいと、安倍政権は素直に受け止めるべきだろう。
問題は安倍政権が、丁寧に説明すれば、国民は安保法案の必要性を「理解」し、支持してくれるだろう、と勘違いしていることだ。
参院審議では、政府側が法案内容を説明する機会を増やすため、与党の質問時間を増やすという。
しかし、世論調査で法案自体や今国会成立への「反対」が増えているのは、審議に伴い安保法案の「違憲性」や、集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更で認める「反立憲主義性」を、国民が「理解」し始めたからではないのか。
首相側近の礒崎陽輔首相補佐官からいまだに、憲法の法的安定性を軽視するかのような発言が飛び出すようでは、国民の支持が得られるわけはあるまい。
戦後日本の平和主義や専守防衛政策を守ることができるのか、今や参院での審議にかかっている。
衆院カーボンコピー」と批判されて久しい参院だ。衆院の決定を追認するだけなら、存在感はない。戦後七十年の節目の年、新憲法貴族院から生まれ変わった参院にとっても正念場である。

安保法案、参院審議―危機に立つ政治への信頼 - 朝日新聞(2015年7月28日)


http://www.asahi.com/articles/DA3S11884515.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2015-0728-0918-21/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

新たな安全保障関連法案が、きのう参院で審議入りした。
衆院の法案審議は無残な結果に終わった。
集団的自衛権の行使をどんな場合に認めるのか、法案の核心である存立危機事態についてすら政府の説明は不明確なまま、世論の強い反発のなかで、与党が数の力で採決を強行した。
国民が法案の中身を理解していないわけではない。理解すればするほど納得できない人が増え、審議を重ねるほど反対論が広がっていく。
日本で唯一、武力行使できる組織である自衛隊をどう動かすかの議論である。軍事抑制、国際協調を基本にしてきた戦後日本の歩みを大きく変える議論でもある。
何よりも大事なのは、幅広い国民の信頼と合意にほかならない。ところが現状では、それが決定的に欠けている。
憂うべき政治の惨状と言うほかない。国民の不信はなぜ、ここまで広がってしまったのか。

■危うい「結論ありき」
原因のひとつは、広範な国民の異論に耳を貸さず、結論ありきで押し通してきた安倍政権の政治姿勢にある。
政策上、どうしても集団的自衛権の行使が必要というなら、国民投票などの手続きをへて憲法を改正する必要がある。それが多くの憲法学者内閣法制局長官OBらの指摘だ。
安倍首相もそのことは分かっているのだろう。
思い起こせば、首相に再登板してまず訴えたのが、憲法改正のハードルを下げるための憲法96条の改正だった。これが「裏口入学だ」と批判を浴びるや、首相は迂回路(うかいろ)に突き進む。内閣法制局長官の首をすげ替え、解釈改憲をはかる閣議決定で事を済ませようとしている。
憲法は権力を縛るもの、という立憲主義を軽んずる振る舞いであり、憲法を中心とする法的安定性を一方的に掘り崩す暴挙でもある。
その結果、いま危機に立たされているのは政治と国民の信頼関係だ。法案が成立すれば、自衛隊が海外で武力行使できるようになる。信頼のない政権の「総合的判断」を、国民がどこまで信じられるのか、根源的な危惧を感じざるを得ない。
その行き着く先に何があるのか。自民党が野党時代の3年前に発表した憲法改正草案には、様々な制約をもつ自衛隊に代わり、国防軍の保持が明記されている。集団的自衛権は当然に認められ、憲法上、海外での武力行使も可能となる。

■軍事偏重の限界
憲法改正には時間がかかる。国を守るという目的さえ正しければ、憲法解釈の変更も許される――。政権はそう考えているのかも知れない。
しかし、衆院審議で焦点になった中東ホルムズ海峡の機雷掃海に、それだけの切迫性があるとは思えない。
朝鮮半島有事についても、すでに周辺事態法があり、その再検討と、個別的自衛権の範囲で対応可能だろう。
やはり法案の最大の目的は、軍拡と海洋進出を進める中国への対応に違いない。
政権としては、与党が衆参で圧倒的な数を持つ間に法案を通し、日米同盟と周辺諸国との連携を強化していくことで、中国への抑止力を高めたいということだろう。
だが、中国に近接する日本の地理的な特性や、両国に残る歴史認識の問題の複雑さを考えれば、中国と軍事的に対峙(たいじ)する構想は危うさをはらむ。
米国からは、南シナ海での自衛隊の役割強化を望む声も聞こえてくる。だが人口減少と高齢化にあえぐ日本の国力からみて軍事偏重、抑止一辺倒の考え方には、いずれ限界がくる。
本来、日米豪と東南アジア諸国連合ASEAN)、そこに中国も加えて協力しなければ、安定した地域秩序は築けない。長期目標はそこに置くべきであって、まずは米国と協力しながら中国との信頼醸成をはかり、その脅威を低減させる方がむしろ現実的ではないか。
これまでの法案審議で欠けているのは、こうした本質的な安全保障論である。

■周回遅れの安保論議
政権はことあるごとに「安全保障環境の変化」を強調している。しかし軍事に偏った法案には「周回遅れ」の印象がある。
非国家主体の国際テロに対しては、軍事力や抑止力の限界を指摘する声が一般的であり、この法案では回答にならない。原発テロが安全保障上の脅威となり、サイバー攻撃が重要な意味をもつ時代に、この法案がどのように役立つのか。そこもよくわからない。
政治手法にも法案の目的にも深刻な疑問符がついた状態で、信頼と合意なき方向転換に踏み切れば、将来に禍根を残す。
参院審議を機に、もう一度、考えたい。本質的な議論を欠いたまま戦後日本の価値を失うことの、軽率さと、罪深さを。

(天声人語)憲法軽視も極まれり - 朝日新聞(2015年7月28日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S11884651.html?ref=tenseijingo_backnumber
http://megalodon.jp/2015-0728-0921-06/www.asahi.com/paper/column.html?iref=comtop_pickup_p

法律を新しくつくるとは、建物を新築するかのような作業だという。用途に応じて機能的に設計すること。耐震強度などの法規制に従うこと。さらには町並みの景観などにも配慮すること。
阪田雅裕(まさひろ)元内閣法制局長官の編著書『政府の憲法解釈』に登場する例え話である。建物同様、法律もその目的を達成するために過不足ない内容であることに加え、憲法をはじめとする法体系、「いわば全体の景観との調和を図ることが不可欠」だと指摘している。
全体の景観との不調和、すなわち憲法違反だと批判される安保関連法案が、きのう参院で審議入りした。「違憲」の法律を成立させるわけにはいかない。憲法との関係に照準を絞った論戦を望む。
集団的自衛権は行使できない、から、行使できる、へ。憲法解釈を百八十度変えても、従来の理屈とつじつまは合っていると突っ張る。長年の解釈の蓄積を一片の閣議決定で葬り去っても、法的な安定性は保たれると強弁する。
説得力はなくとも、ともあれ全体の景観との調和は考えている。そんなポーズを政権は取ってきたが、驚くべき発言が飛び出した。礒崎陽輔(いそざきようすけ)首相補佐官が一昨日、考えるべきは我が国を守るのに必要な措置かどうかであり、「法的安定性は関係ない」と述べた。
これまでの言い繕いを台無しにする本音の言葉か。憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められると言い続けてきたのに、実は初めから眼中になかったということか。憲法軽視も極まれり、である。

「参院での強行採決阻止!」安保法案審議入り 国会前で400人抗議 - 東京新聞(2015年7月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015072802000120.html
http://megalodon.jp/2015-0728-0922-43/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015072802000120.html

参院では強行採決させない」。安全保障関連法案が参院で審議入りした二十七日、市民ら約四百人が国会前に集まり、法案反対を訴えた。 
法案に反対する国会包囲行動を前日行った市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が、この日の抗議活動も緊急で呼びかけた。

安保関連法案:地方議会で意見書可決相次ぐ - 毎日新聞(2015年7月27日)

http://mainichi.jp/feature/news/20150727mog00m010005000c.html
http://megalodon.jp/2015-0728-0923-46/mainichi.jp/feature/news/20150727mog00m010005000c.html

安全保障関連法案や集団的自衛権の行使に反対、もしくは慎重な審議を求める意見書の可決が、地方議会で相次いでいる。衆院事務局の資料と毎日新聞の調べによると、意見書は2013年3月〜今年7月14日、計405議会から衆院に提出され、ほとんどが「反対」「慎重審議」を求めるものだ。
中には自民、公明両党の議員が「反対」や「慎重審議」の意見書に賛成するケースもある。実際にどのくらいあるかを調べるため、毎日新聞は党派別の賛否を各議会事務局に対してメールによるアンケートや電話などで問い合わせ、7月17日までに78%にあたる318議会から回答を得た。その結果、114議会で自公両党系議員が「反対」「慎重審議」の意見書に賛成していた。
各議会別のデータをここに公開する。「反対」「慎重」「賛成」に3分類したが、ニュアンスには幅がある。「〇〇に関する意見書」など、タイトルから趣旨が分からないものは、意見書そのものを読んで判断した。【日下部聡】