【政界地獄耳】与野党対決や政策論争にはなりそうにない都知事選 今更知名度対決は必要か - 日刊スポーツ(2024年5月28日)

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★中央メディアは静岡県知事選挙を立憲・国民が推薦した元浜松市長・鈴木康友の前に自民党の推薦を受けた元静岡県副知事・大村慎一が惨敗したことを受け、岸田政権への打撃とみるが本当にそうだろうか。確かに与野党の戦いの構図は生まれたが両候補とも選挙中、国政や政治とカネなどについてはほとんど言及していない。確かに鈴木陣営は民主党衆院議員2期の実績もあり、立憲、国民の幹部が連日応援に駆け付けたが、鈴木が松下政経塾出身で同塾OBの野党議員が多いことから実現したもの。また大村陣営もオール静岡をうたい、選挙中に県選出の元文科相塩谷立自民党離党、元防衛副大臣・宮沢博行の女性問題での議員辞職などがあり自民党色を薄めたい事情はあった。

★だが静岡朝日テレビ出口調査によれば前知事・川勝平太を評価するが66%に及ぶものの、川勝が最大の仕事にしていたリニア工事の環境問題はほとんど争点にならず、両候補ともにリニア推進派で、反対したのは共産党公認・森大介だけだった。与野党対決、リニアの是非は争点にはならず、県東部・中部の大村対西部の鈴木という地域対決で終わった。

★すると今度は東京都知事選挙立憲民主党参院議員・蓮舫が出馬するという。会見はお粗末なもので党本部で開いた。だが同党は、7月の都知事選をにらみ候補者選考委員会まで組織し野党統一候補を擁立する準備をしてきたが、そんな話にもならなかった。その芽が少しでもあれば党本部会見はなかったろう。蓮舫はまず一通りの小池都政の問題点を指摘。この辺りの運びはうまい。自民党と8年前にたもとを分かった小池が今、また自民党と組むことへの違和感が出馬の動機に聞こえた。2人は世代こそ違えどテレビで活躍、ニュースキャスターを経て政界進出。都知事というコースだ。小池は政界遊泳とアイデア蓮舫は攻撃力を武器にここまで来たが、こちらも与野党対決だとか、政策論争にはなりそうにない。今更知名度対決は必要か。(K)※敬称略