【政界地獄耳】連合・芳野会長にみる小池都知事の「排除」理論 - 日刊スポーツ(2021年10月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202110220000097.html

★与党はこの選挙を政権選択選挙と位置付け、民主主義か共産主義かと極端な例えで本当の争点をぼかし続ける。一方、9年間に及んだ安倍・菅政権の検証や総括と位置付ける見方もあり、この選挙の政治史の中の位置付けは定まっているとも言い切れない。だが、前回の衆院選挙からの4年間の軌跡としてみると別の視野が広がるのではないか。無論、安倍政権末期の幾つかの疑惑や、菅政権の失政、両内閣が倒れたのはコロナ対応の失敗であるなどの整理はできるが、実は4年前の選挙に1つのターニングポイントがあったのではないか。

★それは希望の党だ。解散直前、民進党代表・前原誠司(当時)都知事小池百合子、連合会長・神津里季生(当時)らが軸になり、民進党から新たに希望の党に鞍替えして、2大保守政党政治に日本の政治体制を転換しようと画策した。ところがあまりに性急な動きや、小池が民進党議員に対して有無を言わせぬ強引な党運営を強いて選挙準備体制は混乱。極め付きは小池の意に沿わないリベラル系議員は希望の党で受け入れないと「排除の論理」を口にしたことで、排除された議員たちが結集して立憲民主党が生まれ、希望の党は急速に国民の期待を失っていく。結果選挙後、希望の党は解党して国民民主党が生まれた。その間、支援母体連合は大混乱に陥り組織内候補がどちらの党に行くかで連合も民進党分裂の余波を受けた。

★これで救われたのが自民党だ。もし希望の党民進党のまま選挙を戦っていたら、相当厳しい選挙戦になっていたのではないか。小池は野党を壊したのか自民党をすくったのか。最近小池の失敗と似たものを見た。新たに就任した連合会長・芳野友子は立憲民主、共産両党が「限定的な閣外からの協力」で合意したことに対し「閣外協力はあり得ないと主張している」など野党共闘を妨害しているが、まさに排除の論理を掲げた。排除された立憲の面々が排除する側になれと言われてどう思うか、想像できない芳野は歴史を見る力が乏しいのだろう。(K)※敬称略