【政界地獄耳】軽い政治的・道義的責任 丁寧に会見でわびるなど誰もしなくなった - 日刊スポーツ(2024年3月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202403300000070.html

自民党議員は裏金事件以外にも「なんでこんなことがまかり通ると思うのか」といった事案を引き起こす。最近では23年5月に歌手の吉幾三から「搭乗した飛行機の中で横柄な態度の国会議員がいた」とYouTubeで指摘され、今月には「航空会社から『枕を2つ用意する』『到着が遅れる場合には早めに知らせる』等の注意点が細かく提示されている」と暴露されている自民党参院議員・長谷川岳パワハラ疑惑。

★今月大きく報道されると28日、自身のブログで「過去の表現方法をめぐる報道がなされ、不徳の致すところだ」「私の表現方法が時代にそぐわないものであることを痛感した。以後、時代に即した表現方法に変えていく」とした。過去の表現方法とは一体何だ。釈明にもなっていない。似たようなことは、最近発覚した昨年11月の自民党青年局幹部や若手議員らが参加した党和歌山県連の懇親会に、裸同然の女性ダンサーが複数招かれていたことが判明した。参加していた青年局長・藤原崇と、同代理・中曽根康隆がいずれも辞任して終わっている。

★前自民党参院幹事長・世耕弘成が政倫審で発言した「刑事的には私は、不起訴、嫌疑なしだから真っ白なわけだが、いろんな人にご迷惑をかけた政治的・道義的責任を取らなければいけないという思いで職を辞した」との説明に納得がいかない。長谷川も藤原も中曽根も世耕の裏金偽事件とは違うものの、「刑事的には嫌疑なし、真っ白」だ。だが、国民から選ばれた政治家が、政治的・道義的責任を問われる際には丁寧に会見でわびるなど誰もしなくなった。昭和の遺物のような扱いだ。世耕は政倫審で「ない」と言っていた22年3月に衆院議長公邸で、元首相・安倍晋三、前衆院議長・細田博之、前経産相西村康稔と自身の4人で協議したことを認めた。うそをついていた。政治的・道義的責任とは軽いものだ。(K)