【政界地獄耳】裏金問題、国税庁も重大関心 総務省は収支報告書をなぜデータ化しないのか - 日刊スポーツ(2024年2月6日)

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政治資金規正法第1条には、「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」とある。政治資金収支報告書は、政治家の1年の活動収支を報告するもので、総務省と全国の都道府県選挙管理委員会が毎年公開している。ただ、今回の自民党派閥の裏金事件は国民のみならず、国税庁も重大関心を持つ。

★先月、議員会館に「令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告について」「所得税及び復興特別税の源泉徴収について」というペーパーが国税庁から配布された。そこには「政党から受けた政治活動費や個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄付などは『雑所得』の収入金額になりますので所得金額の計算をする必要があります」などと念を押している。これらは自民党の裏金事件で「派閥の指示で」や「ついうっかり」などの言い訳が横行しないよう、けん制しているともいえる。一方、「議員個人の政治活動のために使用する乗用車や事務所の無償提供を受けた場合は、原則として乗用車や事務所の賃借料相当額は、その議員の『雑所得』の収入金額となる」。こういうケースは与野党によくみられるが、ここに労働組合の専従が複数入ったりすると、その給与はどうなっているのかなど、当然ながらこれらは自民党のみならず野党にも重要な指摘が書かれる。

★国民の「不断の監視」のために、この収支報告を総務省と全国のほとんどの選挙管理委員会はデジタル化して公表しているというが、PDFにしている、いわば写メを張り付けているようなものだ。「PDFにしていれば、議員がいつ訂正したかもわかる」(議員秘書)というものの、議員名や企業名からソート、検索することはできない。これを総務省がデータ化すれば、相当透明化は図れ、連座制でもめる必要もない。国民はいつでも自宅で政治とカネの動きを把握できる。なぜデータ化しないのか。政治の圧力か、総務省の何らかの忖度(そんたく)か。どこが後ろ向きなのか知りたい。(K)※敬称略