【政界地獄耳】“ほぼトラ”前提に新世界秩序構築が各国のテーマ 作れるか日朝新時代 - 日刊スポーツ(2024年3月6日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202403060000021.html

★22年11月に離任したロシアの駐日大使・ミハイル・ガルージンが外務次官(旧ソ連圏担当)に転出。その間は臨時代理大使として公使参事官・ゲンナーディー・オヴェチコが務めていたが、新駐日大使・ニコライ・ノズドレフが着任した。ガルージンも務めたロシア外務省第3アジア局長を歴任した日本通。日ロ漁業交渉の担当者で日本語も堪能。新日ロ関係の足がかりとなるかが注目される。

★4日、首相・岸田文雄北朝鮮による拉致被害者の家族会と首相官邸で面会した。首相は「皆様の差し迫った思いを強く感じる。日朝間の明るい未来を描くため私自身主体的に動かなければならない」と改めて日朝首脳会談の早期実現に自信を見せた。1月5日、能登半島地震に対して北朝鮮金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党総書記が「岸田文雄閣下。日本で不幸にも、年初から地震によって多くの人命被害と物的な損失を受けたという知らせに接し、遺族と被災者に深い同情とお見舞いの意を表します」とした異例のお見舞い電報を送った。以来、両国で水面下の積極外交が進んでいるようだが、コリア国際研究所・朴斗鎮(パク・トゥジン)は2月14日の韓国とキューバとの国交正常化が拍車をかけたと指摘する。これで韓国が国交のない国はシリアと北朝鮮だけとなった。キューバを押さえたのなら、日本を揺さぶると考えたか。2月25日、家族会は「被害者の親世代が存命のうちに全被害者の一括帰国が実現するなら、日本独自の制裁解除に反対しない」とシグナルを発信した。

★来年には「ほぼトラ」で米トランプ大統領が就任することを前提に、どんな世界になるのかの新世界秩序構築が各国のテーマになるはず。内政で手柄が欲しい岸田政権は、今なら日朝会談に飛びついてくるという北朝鮮の情勢分析のまま、しっぽを振っていまいか。トランプが在韓・在日米軍撤退を言い出したら、東アジアの秩序は崩壊する。それより前に日朝新時代を作ることはできるか。このタイミングでのロシア駐日大使着任は興味深い。(K)※敬称略