【政界地獄耳】政倫審で“消えた”茂木ら、党内の風当たりは強くなる一方だ - 日刊スポーツ(2024年3月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202403020000069.html

★政倫審は2月27日に1度白紙にまで戻り野党も驚いたが、首相・岸田文雄の出席とマスコミフルオープンというウルトラCでしのいだ。だが、政倫審開催にこぎつけるまで、自民党は混迷を極めたといえる。本来の党務を取り仕切る幹事長・茂木敏充の言うことなど党内ではだれも聞かない状態が続き、公明党からも「首相が(出席を)決断する前に、党の責任を預かる方々がもっと主体的に解決すべきだった」(同29日のテレビ番組での党代表・山口那津男)。会見で党副代表・北側一雄も「(自民)党幹部に汗をかく努力が見えたらいいというのが素直な感想だ。実際に汗をかいているように見えるのは、森山総務会長ではないか」と名指しこそしないものの、茂木を念頭に置いた発言が続いた。

★政治ニュースから茂木の名前はほぼ消え、党は官邸に丸投げのように政倫審は開催されたが、首相以外のいわば“当事者”と言える旧二階派と旧安倍派の事務総長経験者は「カネには一切タッチしていない」「一切知らなかった」と、これから首相を目指すどころか、子供の使いのような答弁に始終した。これで野党もメディアも国民も納得するはずもなく、今後は特別委員会の設置、証人喚問と厳しい対応が待ち受けるだろう。それでなくとも、今日土曜日の国会開会は、地元で卒業式やイベント、会合などの日程が詰まっている与野党議員においては迷惑な話。ことに自民党内では「日程をまとめきれない幹事長や旧安倍派幹部が素直に政倫審に出なかったからだ」という不満がまん延している。これからも党内の彼らへの風当たりは強くなる一方だろう。

★では、党内での岸田の影響力やリーダーシップが保てているのかと言えば、それほど甘くはない。「政治改革の先頭に立つ」という岸田が、このまま総裁選再選までこぎつけられるか否かと言えば、まだ何が起こるかわからない。党内世論や国民も政治とカネで逃げ回った旧安倍派幹部らに矛先は向いているものの、しばらくは一寸先は闇状態だ。(K)※敬称略