【政界地獄耳】ベテラン横やりで大甘政治刷新では逆効果 予算通過前の政倫審開催実現するか - 日刊スポーツ(2024年2月15日)

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衆院での予算審議が大詰めを迎え、与野党の駆け引きも激しくなってきた。年度内に参院まで通過させるには3月2日が衆院通過のデッドラインだ。野党は裏金事件で不起訴になっている安倍派5人衆や元幹事長・二階俊博を視野に衆院政治倫理審査会の開催を求めているが、ひとつのハードルが野党が要求する月内の衆院予算通過前の政倫審開催が実現するか否か。予算さえ通過すれば善しとする自民党との駆け引きが続く。しかし予算採決前に政倫審を開いて紛糾すれば年度内成立が難しくなる場合もあり、ぎりぎりの調整が続く。

自民党幹部が言う。「政倫審を受けざるを得ないのはわかっているが、時期が問題だ。また開かれたとして前官房長官松野博一らは出席に前向きなようだが、ほかの議員が拒否した場合、首相・岸田文雄からも『説明責任を尽くすよう』にと言われている手前、出頭を拒否した議員には党としてペナルティー、つまり処分が行われるが、それをどういうレベルにするかなど、党内の駆け引きも複雑化している。政局になりかねないので慎重さが必要だ」とする。

★一方、自民党内では政治刷新本部の3つのワーキンググループ(WG)が動きだした。政治資金規正法改正案などを取りまとめる法整備検討WG、連座制を視野にした党則を見直すWG、党機能・ガバナンス強化WGに分かれ、来月17日の自民党大会までに取りまとめるとしているが、若手が踏ん張るこの作業部会に、ベテランたちから横やりが入るのではないかとの懸念がぬぐえない。大甘な刷新では野党、メディア、国民から批判を浴びることは必至。相当ハードルを上げていかなければならないが、玉虫色の決着では逆効果になる。あと1カ月でどの程度のものが出来上がるか、ただデジタル田園都市構想などデジタル政策に前のめりだった自民党が政治資金の収支報告書のデジタルデータ化を打ち出さない、カネのかかる温床といわれる党総裁選挙のルール改定に踏み込まなければ意味はない。(K)※敬称略