<金口木舌>技能実習生の女性の人権 - 琉球新報(2024年2月7日)

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出産する、しないの選択を奪われた女性の心痛を思う。技能実習生のベトナム人女性らが、母国の「送り出し機関」から避妊処置を勧められたり、妊娠を制限する指導を受けたりしていた

▼死産した双子の遺体を放置したとして、死体遺棄罪に問われたベトナム人女性の裁判を思い出す。「妊娠を明かせば帰国させられる」と考え、誰にも相談できなかった。昨年3月、最高裁で女性は無罪となった
▼絶望と孤独にさいなまれたであろう。外国人実習生、特に女性の人権侵害とも言える制度の実態が厳しく問われている。実習生を職場の歯車としてしか見ていない企業も同様だ
▼「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という概念がある。自分の体について自分で決断し、必要なサービスを受けられる権利のことで、国連の会議で提唱された。日本にも根付かさねば
▼妊娠を喜び、支えることができない社会に未来はない。海を渡ってきた実習生に、この国は優しいだろうか。私たちは、新しい命を宿した仲間に心から「おめでとう」と言えるだろうか。