【政界地獄耳】なぜカネがかかるのか 政治改革案、実現したくないのが本音では? - 日刊スポーツ(2024年1月31日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202401310000054.html

★国会での政治とカネの議論の低調ぶりにあきれる。そこには各党の政治とカネへの認識や文化が色濃くにじむ。26日、立憲民主党は政治改革案を決定した。会計責任者と連帯して責任を負わせる「連座制」の導入を明記。政治資金パーティーは「企業・団体のみならず、個人購入も含めて全面的に禁止する」として、議員個人による開催を含めた全面禁止を盛り込んだ。労組の資金が流れる立憲にしては踏み込んだといえる。また政治資金収支報告書の不記載に対して「政治資金隠匿罪」を作り、修正申告という逃げ道を封じた。

★29日には日本維新の会が、党や所属国会議員個人の政治資金パーティー開催は認めるが企業・団体によるパーティー券の購入を禁止する、また連座制を導入、「政策活動費」の廃止などを盛り込んだ政治改革案を公表した。だが身を切る改革の党の割には厳しさに欠け、野党ならではの英断とも思えない。双方とも踏み込んだ内容に見えるが、実現したくないのが本音だろう。中選挙区で広い選挙区に事務所や秘書が多く必要なことにカネがかかることに着目、選挙区を狭めれば事務所維持や秘書の人件費など固定費が減ることを30年前は大切と考えたが、当時は野党にはなかったパーティー収入なども増え、政治家の収入は増えたといえる。カネはどんな時も邪魔にはならない。なぜカネがかかるのか、そのカネが必要なのかの議論ができなければ、幾つかの法整備を強めても意味がない。

★最後に自民党だが、首相・岸田文雄は30日の施政方針演説の末尾に憲法改正を盛り込んだ。しかし今回に限っては官邸内でもいささかの議論があったが首相が押し切った。29日、首相は参院予算委員会で裏金事件を「現行法すら順守を徹底しなかった。コンプライアンス(法令順守)欠如が最も大きな原因だ」としたが、憲法改正はまず党内の法令順守ができてからではないか。(K)※敬称略