【政界地獄耳】昭和守旧派vs改新派 若手議員の英知が試される時 - 日刊スポーツ(2024年1月20日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202401200000211.html

★首相・岸田文雄が党政治刷新本部の中間報告を待たずに岸田派の解散を固めた。高名な政治評論家は「ほかの派閥は怒っている」というが、刷新本部最高顧問・菅義偉、元幹事長・石破茂がベテランの皮膚感覚で言う「下野の危機」に、鈍感力で鳴らす岸田も反応したのだろう。多くの自民党議員は知らない細川政権樹立の時、民主党政権誕生を知るベテラン政治家の過半数割れの恐怖や野党がまとまった時のエネルギーが派閥解散を決めたのだろう。これで刷新本部の空気は大きく変わるはずだ。

★だが、派閥解消の党内が舵(かじ)を切ったとしても、落選して議席のない元幹事長・石原伸晃がテレビで「派閥はいけないというのはスタンダードな議論であって、派閥は必ずできる」「解消だって言っても人は集まるわけだから。何のために集まるのか、志が高ければグループ作ってもいいと思う」とズレたことを言えば言うほど「下野の危機」は高まる。ただ派閥解消で派閥のパーティーはなくなるだろうが個人のパーティー、これも勉強会と名前を変えるかもしれないが政治資金規正法第8条に基づく政治資金パーティーは増えるだろう。問題はなぜそれだけの金が必要なのか、の議論が始まらないと意味がない。一部の議員を除き、野党は資金集めをしないでやりくりしている。それを自民党はなぜできないのか。その一方、資産家しか政治に関われなくなってしまうのも問題だ。政治資金規正法公職選挙法のどこを改正、または作り直すべきかの議論が始まらなければ意味がない。

★まさにこれからは昭和のルールを踏襲することが正しいと思う守旧派議員と、全く新しい政治とカネのルールを作り出す世代の改新派議員との議論が必要になるのではないか。逆に若手の英知が試される時だ。(K)※敬称略