【政界地獄耳】「異論より党」なら共産も自民と一緒 増えた発言の萎縮や忖度 - 日刊スポーツ(2024年1月19日)

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自民党の政治刷新本部が到底本気でやっていないことは、国民に見抜かれている。それでも、それでいいと進めるのは自由民主党という政党の会議だからだ。自民党という政治結社はそれでいいと思っているのならそれでいい。それが自民党の姿だからだ。

★日本で最も歴史ある日本共産党の第29回党大会が開かれ、政策委員長・田村智子が委員長に就任する人事を決めた。同党はどんなに選挙に負けても、党の方針が変わる時にだけ人事が変わる。志位が委員長時代に選挙自体で議席を大幅に増やすことはなかったが、野党共闘に尽力し、民主党政権樹立に貢献した。志位時代の終盤もその方針を強めたが、結党100年前後にいくつかの変化が起きた。22年11月5日の全国地方議員・候補者会議で書記局長・小池晃が読み上げた議員名が間違っており、降壇後に田村が訂正した。ところが小池は「訂正の必要なし」と田村を叱責(しっせき)。これをネットで見ていた党員から猛批判が出たが、党幹部は対応が遅く、1週間後に小池のパワハラを認定、口頭注意した。もうひとつは16年以来断絶が続いていた中国共産党との歴史的和解。昨年5月の出来事だ。

★そして自衛隊活用論を訴えていた同党元安保・外交部長・松竹伸幸が、党首公選制などを訴えたことが分派活動となり除名された。この時、朝日新聞の社説は「党のあり方を真剣に考えての問題提起を、一方的に断罪するようなやり方は、異論を許さぬ強権体質としか映るまい」と批判したが、党は「まさに党の自主自立的な運営に対する乱暴な介入であり、干渉であり攻撃だ」と猛反発した。この党大会でも、松竹の除名処分撤回の請求は却下された。かけ足で説明したが、いずれも党の決めたことに異論があれば政党という結社が優先するのは自民党と同じ。ただ国政政党はそれを有権者に理解を得なければ議席は広がらない。共産党は否定するだろうが、党内にはこれらの出来事から、発言の萎縮、忖度(そんたく)が増え、様子をうかがうことが増えたことが取材の実感だ。(K)※敬称略