【政界地獄耳】「平和を守るのは武器ではなく国民の意志」お粗末各党談話の中しみる政治家の一文 - 日刊スポーツ(2023年8月16日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202308160000092.html

終戦の日に合わせて与野党は談話を発表した。自民党は「わが国は、唯一の戦争被爆国として、『核兵器のない世界』の実現に向け、国際社会の機運を高め、一歩一歩、現実的かつ実践的な取り組みを進めていく」。公明党は「11月の核兵器禁止条約締約国会議への政府によるオブザーバー参加を改めて強く求める。『核の先制不使用』の議論を、今こそ日本が主導すべきだ」とした。自民は現実の政治と逆行、公明は野党のごとくのもの言いだ。

★野党に至っては立憲民主党が「わが国を取り巻く安全保障環境が緊迫している。こうした時こそ必要な防衛力を整備しつつ、国際協調と対話外交、多国間連携を深め日本周辺の平和を守り、地域の緊張を緩和させる努力を続けねばならない」と与党のような振る舞いだし、日本維新の会は「わが国の主権と国民を守り抜くための積極防衛力を抜本的に強化、整備することは、私たちの喫緊かつ重大な責務、使命だ」と陸軍省の談話のようだ。どの党も終戦の談話になっていない。

★その中でしみる政治家の一文を見つけた。「戦争とは人間が生み出した地獄。前線で闘った方々の多くは餓死。紙切れ一枚で招集、補給は絶たれ、飢えと渇きにのた打ち回りながら、苦しんで亡くなった。戦争末期には狂った特攻兵器が考えられ、あまたの若者が命を落とした。そして、敗戦直後、指導者達は責任逃れのため書類を燃やした。『ここまで来たらやめられない』と。官邸、陸軍、海軍が相互に責任を押し付け合い、戦争を止められなくなっていた。常に国民の命より政府の体面や利権が重視された。戦争を知る世代がほとんどいなくなりつつある今、『政治の大罪』について我々は深く考えないといけない。いま本来、冷静であるべき政治が、戦争の危機を盛んに訴え、武力増強のため、巨額の税金を国民に課そうとしている。こんなことが許されているのは敗戦からの時間の経過による。平和を守るのは武器ではなく国民の意志。繰り返さないということを固く誓う日としたい」 小沢一郎。(一部抜粋)(K)※敬称略