【政界地獄耳】マイナ不安 年金問題同等の不安と怒り - 日刊スポーツ(2023年7月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202307010000048.html

★30日、首相・岸田文雄マイナンバーカードのトラブルが続出し、国民の不安が広がっていることからデジタル相・河野太郎厚労相加藤勝信総務相松本剛明ら関係閣僚を官邸に呼び、総点検の中間取りまとめ時期を8月上旬に前倒しするとともに、国民の不安を取り除くためのプランを策定するよう指示した。政府は省庁横断の情報総点検本部(本部長・デジタル相・河野太郎)を設置。6月21日の初会合では8月末までに中間報告をまとめるとしていたが、急がせた格好だ。

★だが、総点検といってもトラブルの当事者が点検の本部長では手前みその点検になることは必至。それでなくとも河野は責任回避の発言ばかりが目立ち、国民の不安を広げた張本人でもある。また省庁横断こそが時間がかかる元凶でもある。横並びとけん制に明け暮れ、責任の所在をうやむやにしながら中間取りまとめなど出したら、問題の先送りにしかならず、最終的には1度停止、または大幅延期するしか国民の不安を解消する方法はない。また自民党立憲民主党で国会の閉会中審査を今月5日から衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成特別委員会で開くことで合意している。官邸に呼ばれた3大臣が出席する。野党はそこで攻勢を強めるだろう。それでなくとも現場は大混乱で中間報告まとめのころには新たな問題が噴出している可能性もある。

★いずれにせよ、いい結果になることは考えにくく、大臣ががん首そろえたところでどうにもならない。ことに健康保険証の不安は年配者に多く、年金問題と同等の不安と怒りが渦巻くだろう。首相が取りまとめを急がせた理由のひとつにはそのあとに内閣改造をもくろんでいるだろうが、この3大臣は中間取りまとめをもって責任を取らされるのかもしれない。(K)※敬称略