(ぎろんの森) 読者の声に励まされ - 東京新聞(2021年12月25日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/150968

二〇二一年を振り返ると、やはりコロナに始まり、コロナに終わった一年でした。五十七年ぶりの日本での夏季大会となった東京五輪パラリンピックでは選手の活躍に胸躍りましたが、感染症拡大局面で開催する意義や大会運営の在り方が問われました。
大会が終わったからといって、数々の問題が清算されるわけではありません。むしろ膨れ上がった大会経費や、後に残った競技場を巡る問題の検証はこれからです。
政界では菅義偉首相が退陣し、後継に岸田文雄氏が就きました。内閣支持率は60%程度を維持していますが、国民のための政治を実現できているのか、判断は早計です。
私たち論説室は読者の皆さんとともに引き続き政権を監視し、政治や経済、社会の在り方を論じたいと考えます。
そうした中、読者から「ぎろんの森」に励ましのメッセージをいただきました。
先週十八日の「森友訴訟幕引きへの憤怒」。森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんを巡る訴訟で、国が真相解明の機会を閉ざしたことへの読者の怒りと、その怒りを私たち論説室も共有するとお伝えしたところ「私と同じ意見の読者もいることを知り、とても心強く思います。欠かさず読んでいます。今後も東京新聞に期待します」との声が届きました。
また「毎回、納得できる内容で楽しみにしています。これからも世論の声を聞かせてください。この記事をスクラップしています」との読者もいらっしゃいました。
うれしいと同時に、切り抜いていただけるような内容の濃い社説を書かねば、と身の引き締まる思いです。
六月に始まった「ぎろんの森」は、東京新聞に届いた読者の声や、マスメディアやインターネット上で飛び交うさまざまな意見や視点を紹介しながら、論説室と読者の皆さんとが議論を深めようという試みです。
私たちの議論が「森」から養分となって川に流れ込み、やがて民主主義という大海を育む役に立てば、という壮大な構想でしたが、どこまで達成できたのか、今も自問自答を繰り返しています。
年内のぎろんの森は今回が最後です。来年も引き続き、東京新聞、そして社説をご愛読いただきますよう、お願いいたします。 (と)