【政界地獄耳】今こそ思い起こす田中角栄の言葉 永久に血を流さない政治を - 日刊スポーツ(2022年12月24日)

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★「こっちから行った戦争ばかり。日本が攻められてから武力攻撃を受けたから戦争したんじゃないんですよ。全部外国に出かけて行って戦争したんですよ。何が一番人間の幸せかと政治家が考えるのなら一番は平和です」。こう語るのは左派政治家ではない。23年間にわたり自民党田中派衆院議員を務め、その間防衛政務次官、郵政相、衆院安全保障特別委員長、自民党国防部会副会長、日本戦略センター理事長を歴任。自民党タカ派の1人といわれた箕輪登の言葉だ。

★箕輪は大戦末期の1945年(昭20)3月に陸軍軍医見習士官になり8月に21歳で終戦を迎える。62年にのちの首相、北海道開発庁長官・佐藤栄作の秘書兼主治医。その後、田中派竹下派に所属した。鈴木善幸内閣で郵政相就任。その時に広島の原爆記念館に行き「戦争とは血を流す政治であります。外交とは血を流さない政治であります。日本は永久に血を流さない政治をやるべきです」と記している。90年の政界引退後は、民間から防衛政策に苦言を呈し続けた。99年の日米防衛指針(ガイドライン)関連法成立の際、「明らかに戦争支援法」と表明。04年1月、自衛隊イラク派遣は違憲として、派遣差し止め訴訟を札幌地裁に起こし、06年に亡くなるまで活動を続けた。

自衛隊法の研究を続けた結論は「専守防衛」に徹するべき。イラク支援の時は「人道支援、復興支援は外務省の所管事項と私は言いたい。外務省は防衛省の所管事項みたいな顔しているが、とんでもない。これはODAを持っている外務省の所管」(「憲法9条と専守防衛梨の木舎刊より)。所属した田中派の元首相・田中角栄は「戦争を知っている世代が政治の中枢にいるうちは心配ない。平和について議論する必要もない。だが、戦争を知らない世代が政治の中枢となったときはとても危ない」を思い起こす。(K)※敬称略