【政界地獄耳】霞が関にある「日本最後のサミット」になる不安 - 日刊スポーツ(2023年1月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202301140000037.html

★G7サミット(主要国首脳会議)とは、仏、米、英、独、日、伊、加(議長国順)の7カ国ならびに欧州理事会議長及び欧州委員会委員長が参加して、毎年開催される国際会議。今年は日本が議長国になって5月19日から21日に首相・岸田文雄の選挙区、広島で開催される。その地ならしのため首相は欧米5カ国歴訪に出かけ、仏伊英の順に訪れ、マクロン大統領、メローニ首相、スナク首相と会談した。

★日仏会談で首相はサミットに向け核兵器による威嚇やその使用を断固として拒否するとしながらも自衛隊と仏軍の共同訓練などを歓迎し、今年前半に外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の開催を目指す。台湾海峡の平和と安定の重要性も議題に上がった。日伊会談では両国関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げ。外務・防衛の当局間協議もスタートさせる。日英会談では自衛隊と英軍が共同訓練などで相互訪問する際の法的地位などを定める「円滑化協定」を締結した。日加会談では中国による東・南シナ海における力による一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致した。

★いずれもサミットの地ならしは口実で、ウクライナの次は中国だと触れ回り理解を求めた、軍事的歴訪が浮かび上がる。政界関係者が言う。「広島サミットが日本でのサミットの最後になるのではないかという懸念が霞が関にあるのだろう。既にOECD経済協力開発機構)のさまざまなデータでは日本は先進国の上位とは言えず、近い将来サミットのメンバーから日本が外され中国が加わるという不安だ。経済的・政治的にアジアの盟主は中国に移りつつある。日米はその懸念を対中包囲網に仕立て直しているのではないか。一方、欧州への軍事的アプローチはNATO北大西洋条約機構)への強いコミットを意識しているのではないか」。この国はどこに行こうとしているのか。(K)※敬称略