【政界地獄耳】国葬で事件封印したい政府 - 日刊スポーツ(2022年7月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202207220000063.html

参院選挙後、予想していたものの、政治は思考停止状態ではないかと心配になる。確かに元首相・安倍晋三銃撃事件は国民に大きなショックを与えたし、政界もそのまま夏休みに突入したような状態で、参院選の結果を受けた臨時国会を8月3日に召集することを決め正副議長の選出、安倍の追悼演説などが調整されている。だが立憲民主党は急増拡大する新型コロナ対応や物価高対策に加え、安倍の「国葬」や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題について議論するため「夏休みを返上」し、8月末まで国会を開くべきと求めたものの自民党は「必要があれば閉会中審査も可能だ」とし、国葬は「立法府で議論するのはなじまない」と一蹴した。

参院選挙では多くの危機に対応すべき必要性を説いてきたのに、選挙が終わると秋まで何もない。実際の国会は9月中旬まで開かず、まして安倍銃撃事件の検証は多方面から行われるべきで、それを放棄して風化させようとしている政府の対応と国葬にまい進するさまは矛盾に満ちている。旧統一教会自民党の関係は、与党公明党の政治と宗教の問題にまで広がりを見せ、党代表・山口那津男は「捜査が進展中なのでコメントは控えたい。状況をしっかり見極めたい」とだんまりを決め込んでいる。

★これでは国会を開くことどころか、もう安倍事件自体を国葬というイベントに押し込め、封印したいという思いが見え見えだ。「とにかくこの問題の検証をしたら、今まで封印してきたものが噴出しかねない。一方、野党や地方の首長などにも旧統一教会が浸透していたことは、議員たちのざんげで表に出るだろうが、その時だけのニュースでメディアは追いかけないだろう。与党の法案の可否などにも関与していた経緯が発覚するも、一過性のニュースで終わるだろう」(政界関係者)。だが、それでは宗教が政治を支配する社会だということになる。(K)※敬称略