【政界地獄耳】解散カード縛られ岸田政権はこの秋ヤマ場 - 日刊スポーツ(2022年9月23日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202209230000058.html

★政府の「衆議院議員選挙区画定審議会」は、6月16日、首相官邸で会合を開き、おととしの国勢調査の結果などを勘案し、1票の格差を是正するため25都道府県、140選挙区の区割りを見直す案を決定、勧告した。審議会は衆院議長・細田博之が猛反対した小選挙区の「10増10減」などが盛り込まれている。見直しの対象は過去最多となったが、その後に参院選挙、元首相・安倍晋三の死去、旧統一教会自民党支配などもあり、細田も反対発言も消えた。次期衆院選挙はこの選挙区割りでの選挙になる。

参院選後の岸田内閣の改造人事で自民党選対委員長に森山裕が就任した。当面は国政選挙がないといわれるゆえんは、この区割りが衆院議員の選挙区事情を大きく左右することから、早期の解散が難しいとの見方があるからだ。つまり森山は選挙区区割りの党内調整という難しい役割を担うことになり、「どうまとめても恨みを買う役」(党内若手議員)と言われている。党内にはこの区割り問題を早期にまとめて、旧統一教会関係議員を不利な選挙区に充てて、年内解散総選挙で問題の一掃、清算を図ろうという声もあるという。

★それが現実的か否かはさておき、元首相・安倍晋三の死去に伴う衆院山口4区、11月に行われる和歌山県知事選出馬のため国民民主党岸本周平議員辞職による衆院和歌山1区の補欠選挙は、本来は今年10月に行われるが、来春以降に延びることになった。最高裁が昨年の衆院選をめぐる「1票の格差」訴訟の弁論期日を12月に指定し訴訟が続くためだという。補選の延期が確定したことで首相・岸田文雄は早期解散というカードが縛られることになったのではないか。つまりは国会開会、政権運営といずれも正面突破で臨むしかなくなる。この秋、岸田政権はひとつのヤマ場を迎える。(K)※敬称略