【政界地獄耳】親ロシア 目立つ安倍晋三のほころび - 日刊スポーツ(2022年4月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204220000122.html

★24日のフランス大統領選の決選投票目前の20日、テレビ討論会が行われた。再選を目指す現職大統領のエマニュエル・マクロンと国民連合党首のマリーヌ・ルペンが3時間にわたり舌戦を繰り広げた。マクロンはルペンが「プーチンに依存している」といい、「縮原発」から原発推進へ転換したマクロンは「環境偽善」と反撃。マクロンが「全ての話をひとくくりにするな」と言えば、ルペンは「私にレクチャーしないで」と互角にやり合ったが、ルペンの“ロシア寄り”が執拗(しつよう)に攻められた。

★ルペンは14年の選挙ではロシア政府から支援を受け、17年の選挙ではロシアの銀行から借金。マクロンに「あなたはロシアの力とプーチンに頼っている。ロシアの銀行から融資も受けた。あなたが言う選択肢の多くはこの依存で説明できる。あなたがロシアに物を言う時は、他国の指導者たちではなく銀行と相談するのだ」との口撃が決め手になったのか直後の世論調査ではマクロンが大きくリードした。

★この討論で思い出すのは最近、過去の行動や発言にほころびが目立つ元首相・安倍晋三だ。北方領土返還交渉でプーチンと27回会って「ウラジミールと同じ未来を見て駆け抜ける」との安倍発言が尾を引く中、ウクライナのゼレンスキー大統領が国会演説すれば「日本はウクライナ国民と共にある」と言い批判された。国民はプーチンとの友情や信頼関係、日本から多額の援助や経済支援などが結果的にプーチンを増長させたと感じ、同時にそれを食い止めるのが外交の安倍だと期待した。ところがウクライナ情勢を見て敵基地攻撃論(これからは「反撃能力」と自民党は言うそうだ)や核共有論を言い出した。ルペンは討論会で親ロシアの理由を「ロシアと関係を強化しようとしたのは中国と連携させないため」と苦肉の発言でかわそうとした。強気の発言を続ける元首相とルペンがダブってしまう。(K)※敬称略