【政界地獄耳】国際軍事法廷でロシアを裁く - 日刊スポーツ(2022年4月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204150000055.html

★13日、ポーランドとバルト3国のエストニアラトビアリトアニアの大統領がウクライナの首都キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談した。リトアニアのナウセーダ大統領は「ナチスよりもひどい状況」と感想を述べている。ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は会見で「これは戦争ではない。兵士が民間人を殺害するために送られるなら、テロだ。罪を犯した者は裁判にかけられ、それは命令を下したものにも及ぶべきだ」とした。

★ロシアのプーチン大統領に対して米バイデン大統領は「プーチン戦争犯罪人だ」と繰り返し述べてきたが、12日には「我々の生活は独裁者が宣戦布告し、地球の裏側で大量虐殺を行うかどうかに左右されてはならない」と初めて「大量虐殺」という言葉を使って非難した。ロシア国防省は複数回「ロシア軍の管理下で住民は1人も暴力の被害を受けていない」と言い張るが国際世論の空気は民間人を攻撃し続け、その事実はないと否定し続けるロシアに対して新たな定義で追い詰める覚悟を見せたといえる。

★各国首脳の発言に呼応するように、13日、ウクライナでの戦争犯罪などを調査していた米露や欧州各国など57カ国が加盟し、日本はパートナー国となる全欧安保協力機構(OSCE)の専門家チームが「ロシア軍の明確な国際人道法違反を確認した」との報告書を発表した。また「戦争犯罪」と「人道に対する罪」などで調査を始めている国際刑事裁判所ICC)のカリム・カーン主任検察官がキーウ入りし「犯罪が行われたと考えられる合理的根拠があるから、ここに来た」と発言している。このICCには日本の法務省から検察官3人を派遣する予定で、国際社会は法秩序でロシアを追い込んでいく動きを強めている。国際社会は国際軍事法廷でロシアを裁く覚悟だ。(K)※敬称略