【政界地獄耳】原発専従警備部隊の伏線 闇に葬られた被害予測報告書 - 日刊スポーツ(2022年3月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203150000065.html

★14日の参院予算委員会ではウクライナ侵攻でロシアが原発攻撃したことを受け、首相・岸田文雄は「原発の安全に対して国民の関心が高まっている。(専従部隊を置く)福井の取り組みを横展開できないか検証した上で、議論を展開するよう考えたい」と国内の原発に警察の専従警備部隊を設置する議論を政府内で始める考えを示した。

★その議論には伏線がある。2015年6月、当時の参院議員・山本太郎は安保法制議論に原発警備が含まれていないことに疑問を呈した。「安保問題を声高に語っているが、この国を守るためにどうするかということを話し合わなければいけない。この国にはこれだけの危険施設があふれているのに、それをすっとばして話していることに不思議な気分」「海岸線沿いにこれだけ原発がある国というのは攻められた時に1発で終わりにできる。テロリストを送りこむことでも終わりにすることができるかもしれない。例えば核ミサイルでなくても、ミサイルを飛ばし、それが原発施設内に着弾すれば、核ミサイルになる」と指摘している。

★これを参院予算委員会で質問すると当時の防衛相・中谷元は「中国、北朝鮮、ロシアは我が国に到達しうる多数の弾道ミサイル保有しているが、それのみをもって我が国の安全に対する脅威と評価しているわけではない」と答弁。専門家たちも山本に対して「ジュネーブ条約第1追加議定書は、危険な力を内蔵する工作物等(ダム、堤防、原発)に対する攻撃を重大な違反行為としている。これらはロシア、中国、北朝鮮も締約している」としていた。また外務省は1984年に日本国際問題研究所に日本国内の原発が攻撃を受けた場合の被害予測を委託調査。ところが外務省は報告書に「反原発運動への影響を勘案」して部外秘扱いにし、首相官邸原子力委員会にも提出せず闇に葬られた。結果、原発は警察が守ってくれることになるというお話。(K)※敬称略