<金口木舌>富の偏在放置してはならぬ - 琉球新報(2021年12月30日)

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1年を回顧する時期になるとたびたび目にする「金字塔」。後世に残る業績を意味するが、元々はピラミッドのことを指す

▼何ともいびつなピラミッドだと痛感した。経済学者トマ・ピケティ氏らが運営する「世界不平等研究所」の報告では、世界上位1%の超富裕層の資産が世界全体の個人資産の37・8%を占め、下位50%の資産は2%にすぎない
アベノミクスがもてはやされたころ、大企業や富裕層への恩恵が社会全体にしたたり落ちるという「トリクルダウン」が期待された。好況で賃金が上がるなど効果はあった。しかし、格差は縮まっていない
▼コロナ禍で景気が悪化し働き口を失った人がいる一方、株価は高値を維持し、投資できる資金を持つ者にますます富が集中する。このいびつなピラミッドは、富ではなく負担と怨嗟だけが確実に下方に積もる
▼機会均等を妨げ、社会秩序の根底を脅かしかねない富の行き過ぎた偏在を、これ以上放置してはならない。新たな年こそ、沖縄から格差の根本的な是正という金字塔を打ち立てねばなるまい。