【政界地獄耳】都議選後の戦略を決定づけたのは、世論の小池への支持 - 日刊スポーツ(2021年7月5日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202107050000074.html

都知事小池百合子は特別顧問を務める都民ファーストの会劣勢が伝えられる中、過度の疲労のため先月22日から都内の病院に入院して静養していたが、入院から9日目となる30日朝、退院した。テレワークで仕事するとしていたが、2日には弱々しい声で会見を開いた。終盤には候補者の応援にも入った。多くが都議選戦略の一つとして過労・入院という選択をしたとみたようだが、小池の政治活動のスタイルや経緯から、ここで病院に逃げたりはしない。それでは自民党の普通の議員と同じではないか。小池はあるデータを待っていたのだ。

★6月26、27両日に朝日新聞が実施した東京都民を対象にした世論調査では、小池の支持率は57%で、昨年3月の前回調査(50%)よりも上がった。同時期の読売新聞の調査でも小池の支持率は59%で、前回調査(5月下旬)の57%からほぼ横ばいだった。都民ファーストの劣勢は多くのメディアが伝えたが、小池は自らの支持率の数字を待っていたのだ。そして十分都民の支持があることを確認して退院したのではないか。小池のコロナ対応の無策や五輪開催への前のめり批判の記事ばかりが目に入るが、世論調査の小池の評価はいまだ首相・菅義偉のそれよりもずっと高いことで、自分の政治活動の方向性に間違いがないことが確認され、その小池が率いる都民ファは都民にある程度評価されると分析したのではないか。

★また、今後の議会では自民・公明によって小池包囲網が敷かれるとの分析も覆るだろう。選挙前はその見方も理解できたが、選挙中、共産党の躍進や立憲民主党の勢力拡大が伝えられると、自民、公明、都ファ対共産・立憲の構図が出来上がった。小池はこれを利用して議会与党を構成していくだろう。都議選後の戦略を決定づけたのは入院ではなく、世論の小池への支持だ。(K)※敬称略