【政界地獄耳】小此木の横浜市長選出馬を止められずどこが人事の菅なのか - 日刊スポーツ(2021年6月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202106240000090.html

★国会が与党に強引に閉じられ、国民の反対の多い東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは相当強引に実施するために、体裁を繕いながら進められている。ところがこの国家的大イベントの警備責任者である国家公安委員長小此木八郎は五輪開催中に行われる横浜市長選挙出馬のため、委員長も衆院議員も党も辞めるという不退転の覚悟という。政治家としての覚悟は立派なのかもしれないが、五輪を目前に職を辞するのは敵前逃亡と言わざるを得ない。ところがその任命責任はこれまた小此木と同じく横浜選出の首相・菅義偉だというから五輪を「安全・安心」と言い続けた足元から崩れているといっていい。

★この時期に辞めるのが自由だというのなら、天皇に任命された閣僚という職をカジノを横浜で開くために辞することを陛下も国民もどう感じるか。小此木には理解できないのだろう。またそれをたしなめることができない首相のどこが人事の菅なのか。一方、五輪主催都市である東京の都知事小池百合子が過労で入院した。今までの小池の行動から政治的な動きではとの臆測など意地悪な見方もあるが、コロナ禍と五輪開催、それに都議会議員選挙という東京という都市を守るための仕事が重なったことが過労の原因ならば、お身体を大事にしていただきたいという思いと共に、だからこそ1400万都民のためにも五輪開催中止という決断が必要だったのではないかと今更ながら思う。

★政治家にはそれぞれ目標があるだろう。それは権力や肩書を欲する場合もあれば、社会正義を貫く場合もある。だが政治家としての役割が大きくなればなるほど人に任せるという仕事が政治家には必要ではないか。首相、国家公安委員長都知事。いずれも自分でやらないと気が済まないタイプの政治家だが、だからこそ分担すべきだろう。(K)※敬称略