(地獄耳) 南北対話も拉致問題向けた日朝接触も消えた - 日刊スポーツ(2021年4月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104070000109.html

北朝鮮が7月に開催する東京オリンピック(五輪)を新型コロナウイルス流行から選手たちを守ることを理由に不参加を表明した。首相・菅義偉が意欲を示す発言をしていただけに、東京五輪を舞台にした南北対話も拉致問題解決に向けての日朝接触も消えたといえる。また、発表のタイミングも米国傀儡(かいらい)と思われている日本が来週訪米し、米バイデン大統領と会談する直前に発表するなど極めて政治的シグナルといえる。

★3カ月後に五輪開催を控えながら、コロナ禍に苦しめられているのは世界中同じだが、主催する東京の感染者数は落ち着きを見せず、国内のワクチン接種は間違いなく五輪に間に合わない。年内接種も難しいだろう。その中で政治的な動きとはいえ北朝鮮が不参加を表明したことに対して政府や組織委員会はどう見ているのか。6日、五輪相・丸川珠代閣議後の会見で「詳細を確認しております。どういう事情か分からないので」と答えた。官房長官加藤勝信は「多くの国・地域に参加してもらえるよう、感染対策を含め環境整備に引き続き努めていく」と全く当事者能力に欠ける説明。また五輪組織委員会会長・橋本聖子は「状況は把握していない。けさの段階で国際オリンピック委員会IOC)からも組織委には連絡はない」とそろって無能ぶりを発揮した。

★なぜなら、あと3カ月ならばインフラ整備やロジについては既に方向は固まっている。丸川、加藤、橋本はいずれも政治家で五輪をどう円滑に安全に行うかが仕事だ。国内コロナ対策やワクチン接種の進捗(しんちょく)状況、海外の感染状況、各国の組織委員会や各競技団体の動向などを積極的に調べて受け入れ準備をしているわけでもない。水面下で進めているとも思えない。外交音痴と政治音痴が集まって、「聞いていない」「IOCは何も言ってこない」しか答えられない受け身の担当者など不要だ。(K)※敬称略