(政界地獄耳) 利権で汚れた五輪の中止を英断できるか - 日刊スポーツ(2021年4月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104210000168.html

東京オリンピックパラリンピック開催を推進する政府は日米首脳会談でも米国から色よい返事をもらえず、世界のメディアからは批判の的にされ、ついには19日、山梨県知事・長崎幸太郎からも「健康状態に極めて大きな深刻な影響を及ぼすような感染状況であれば、オリンピックなんかやっているところではない」と15日に自民党幹事長・二階俊博の「無理ということであれば、すぱっとやめなければならない」に賛意を示した。長崎は元々二階派衆院議員で幹事長政策補佐として二階の下で仕えた経緯を差し引いても知事の発言としては大きい。

★日米首脳会談の会見でもこの五輪問題の質問を日米首脳は聞こえなかったか、忘れたかスルーした。それが政治家の想像力を超える現実だからか、日米で開催に強い温度差があるからかはわからない。ただ米国は参加可否の理由に米国人のワクチン接種により参加可能であるものの、日本は五輪開催までにワクチン接種が間に合わず、ましてファイザー社CEOは首相・菅義偉の面会を拒否、米国内での電話会談というお粗末な結果になった。その結果、ワクチン供給は9月以降となったが、既に五輪は終わっている。そんなワクチン接種のない国へ行くのが嫌だと考える世界のアスリートや関係者がいるのは当然だろう。

★まして19日の衆院決算行政監視委員会で、五輪組織委員会が企業に業務委託する際の人件費単価について問われ、五輪相・丸川珠代は「守秘義務で見せてもらえない資料がある」と述べ、担当閣僚でさえ詳細を把握できていない伏魔殿であることが露呈した。こうなると利権で汚れた五輪はよほど首相も関与していない限り中止宣言した方が英断とみえる。選挙に勝てるか悶々(もんもん)とするより、ずっと健康的で健全な決定に思えるが。(K)※敬称略