【政界地獄耳】自民党幹事長・二階俊博「解散」ブラフにブーメラン - 日刊スポーツ(2021年6月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202106090000125.html

★あと4カ月で衆院の任期は満了になる。どういう形になろうが、選挙はその間にあるのだが、与野党は解散時期で相当の緊張関係になりつつある。不信任を出すと言いながらタイミングを計る立憲民主党は3月から不信任案提出の取り扱いでへまを繰り返し、自民党から足元を見られてきた。不信任案提出を立憲が示唆するたび、自民党幹事長・二階俊博は「直ちに受けて立つ。衆院を解散する」と権限もないのにけん制してきた。

★それに立憲はおびえたわけだが6日、立憲国対委員長安住淳は内閣不信任案の提出については「すべて、党首討論での菅総理の答弁次第だ」とした。同党政調会長泉健太は「内閣不信任案は菅内閣が信任できないことを問うもので、退陣を求めるのが基本的な考え方だ」と総辞職目的と迫った。加えて「緊急事態宣言下で解散・総選挙という判断をするなら、国民を無視している」とし、二階の解散カードはこの期に及んでは自民党の首を絞めるだけと攻勢に転じた。

★確かに5月までの野党の不信任案提出は自民党優位の中にあったが、これから会期末へ向けて野党から不信任が出されれば、コロナ禍、ワクチン接種加速時期、五輪開催など、内閣がこだわってきたことを放り投げることになる。まして首相は会期末目前の11~13日、G7首脳会議(サミット)出席のため英国イングランド南西部のコーンウォールに行く。つまり二階の言う「覚悟を持って不信任案を出される場合は、どうぞひとつ、そういうお気持ちで対応していただきたい。直ちに解散する」というブラフはそのまま自民党に跳ね返ってくる。公明党も既に都議選で身動きが取れず、不信任によるハプニング解散は何としても避けたい。つまり、自民党は五輪を強行することで五輪後しか解散はできず、解散権は9月以降の1カ月半の期間でしか行使できなくなる。さあ自民党はどう出る。(K)※敬称略