【政界地獄耳】感染増の原因は都議選? - 日刊スポーツ(2021年7月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202107090000087.html

★なぜ東京の新規感染者数は7日に920人になったのか。飲食店が悪いのではない。熾烈(しれつ)な戦いを繰り広げた都議会選挙のせいではないのか。各党、すべてとは言わないが、多くの集会が開かれ、随分と“密”な会合もあったようだ。候補者は会場がいっぱいにならないと不安になる。密にならないように広い会場を押さえるとガラガラで閑散としている印象を与えるために小ぶりの会場に押し込むと結局、密になる。つまり当初から懸念されていたように東京の五輪開催直前の新規感染者増は都議会議員選挙の候補者のなりふり構わぬ選挙戦にあったのではないか。

★7日夜、都知事小池百合子は宣言発令について、「感染者数の上昇が続いており、必要な段階だ」と発言。政府はコロナの感染拡大が続く東京について、4度目の「緊急事態宣言」を来月22日まで発令することを決めた。「つまり五輪の最中は『家の中にいてくれ』ということだろう。だが都議選をやったように自分たちの衆院選挙は問題ないので予定通りにやりますよというのだろうか」(霞が関官僚)。国民から見れば、随分と身勝手な話だろう。

★そうなるとワクチン接種が広がり五輪さえ開催すれば成功とみなし、支持率は上昇、衆院選挙は勝利、首相・菅義偉の続投はすんなり決定という首相のもくろみは根底から崩れる。既に連立政権を組む公明党代表山口那津男からは「自民党総裁選を行ってから衆院選に臨むことが『望ましい』」と異例の内政干渉発言が飛び出し、自民党内で波紋を広げている。「当然、菅降ろしののろしが上がったとみるのが順当な見方」(自民党中堅議員)。ただ、首相もしたたかに立ち回るし、党幹事長・二階俊博や、前首相・安倍晋三、副総理兼財務相麻生太郎税制調査会長・甘利明ら3Aもどう立ち回るか。安倍政権時代からの自民党政治の責任の取り方が焦点になるか。(K)※敬称略