(政界地獄耳) 世界から五輪は「最悪のタイミング」とまで言われ始めた - 日刊スポーツ(2021年4月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104150000085.html

★コロナ禍は国民の安全を守るだけでなく東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの実現という国内の国民の声のみならず、世界のメディアから「『最悪のタイミング』であり、日本と世界にとって『一大感染イベント』」(12日付、米ニューヨーク・タイムズ)とまで言われ始めた。半年以内に衆院の任期満了が迫る首相・菅義偉は前首相・安倍晋三自民党総裁任期満了となる今年9月までの暫定任期でもあり、何としてでも衆院選で勝利して続投、安定政権につなげたい。

★そのためには五輪成功は必須だったものの、ここにきて世界世論もコロナ禍に無理してやるべきではないという風潮だ。何よりも各国メディアが東京五輪是非を問うたびに、各国五輪組織委員会や、その下部にいる各競技団体が、東京五輪に参加すべきか否かを議論することになり、北朝鮮以外の国も不参加表明をすることにでもなれば不参加ドミノは避けられないところだろう。無論、そのためにさまざまな工作がさまざまなチャンネルを通じて行われているだろうが、菅政権を守るためならば無理してでも参加しましょうという理屈にならないところがつらいところだ。

★また各国メディアはこれだけのカネをつぎ込んで採算は取れるのかという東京都や国の財政とともに東京マーケットの行方まで不安視する。13日、東京都医師会会長・尾崎治夫は都内の状況を「第4波に既に入っている」と指摘した上で、「これ以上感染が広がることがあれば現実的には従来通りのいろんな国から選手が来て開催される五輪というのは、例え無観客であってもなかなか難しい」と開催自体が危ういとの認識を示した。一方首相は14日の参院本会議で「専門家によれば、緊急事態宣言の解除後に人出が増えたことや変異株による感染者数が増加していることが指摘される」と説明し「現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていない」と楽観論だ。そもそも今日から18日までの日米首脳会談のための外遊に行っている場合か、その時期なのかも問われている。(K)※敬称略