【政界地獄耳】「菅で勝てるか」「菅の応援は必要か」が選対のテーマ - 日刊スポーツ(2021年6月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202106180000154.html

★16日、自民党政調会長下村博文はテレビ番組で「首相が総裁任期中に解散を模索する意向を表明しているため自民党内では『9月解散、10月衆院選』が有力視されている」と見通しを語った。下村はポスト菅の1人でもあり、党3役として政局の見立てをする数少ない党人派といえる。下村にとっても身の振り方も考えた熟慮の末の発言だろうが、悩ましいのは党総裁である首相・菅義偉の総裁任期は、前首相・総裁の安倍晋三の任期である9月30日までということ。その際、総裁選挙が先にあって総選挙となるか、総選挙の結果を受けて総裁選挙になるのかが1つの焦点ということだ。

★菅が総裁である限り、総裁選挙は総裁の都合でどうにでもなる。それを前提に下村は番組で「衆院議員の任期は10月21日までだが総裁選は柔軟に対応できる。任期満了で衆院解散すれば11月もあり得る。新型コロナウイルス次第だ。流動的だ」と仕掛けを放った。菅が、選挙前に総裁再選を固めて解散する流れを固めてきていることへのけん制もあるだろう。理由はコロナウイルス次第だといっているが、自民若手の菅と今の内閣では選挙は戦えないという空気の醸造にある。

★前首相・安倍晋三や幹事長・二階俊博が議連などを立ち上げ主導権争いを始めているが、国会が閉じれば議連など役には立たない。それよりもだれの応援が欲しいか、だれが総裁なら自分の選挙は勝てるのかと選挙を控える候補者たちは地元の声も聴きながら、勝てる選挙態勢を模索する。「菅で勝てるか」「菅の応援は必要か」が自民党候補選対の分析のテーマになっているはずだ。総選挙後の総裁選挙ならば本格的総裁選挙になる公算が高い。それぞれの思惑が交差する選挙戦がジワリと動き出す。(K)※敬称略