(政界地獄耳) 東京五輪 かたくな開催、結局金か - 日刊スポーツ(2021年2月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202102010000119.html

朝日新聞が先月の23、24日に実施した世論調査で、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの再延期もしくは中止と答えた人が86%にのぼった。いくら何でも政府や五輪関係者が言う「できる」というものの根拠がない。首相・菅義偉の「コロナに打ち勝った証しとして開催する」は「東日本大震災の復興五輪」とともにこれでは絵に描いた餅だ。今でも応援したい、この目で世界のトップアスリートの姿や記録を見たいという本音はぐっとこらえて国民が厳しいと言っているのだ。

★アスリートにとっても試合はしたいが国民の応援なくして五輪といえるのかという思いだろう。「出場するので先にワクチンを打たせてほしい」というアスリートもいないだろう。今国会の代表質問で立憲民主党代表・枝野幸男は「本当に実施や参加が可能であるのかを各国のオリンピック委員会や競技団体と協議するなど、万一の事態に備えたプランBはどのように検討し、準備しているのでしょうか」と問うた。では、五輪関係者が「プランBはない」というプランBは本当にないのだろうか。政治家は情報網と共にさまざまな知恵を持つ。いろいろ聞いてみると五輪関係者ではない議員の方がプランBのアイデアが豊富だ。

★ある自民党議員は「コロナ禍で東京の次の開催地・パリの五輪会場準備も進んでいないようだ。単純に2024年のパリ大会を遅らせて、24年に東京大会をスライドして行うとすればいい。パリもその方が助かるはずだ」。すると先週、24年パリ五輪組織委員会は「東京で何が起きても24年大会は問題なく行われるだろう。パリの24年大会は東京の運命とは関係ない」と図ったようにけん制した。

★コロナ禍という前例のない世界規模の問題に、前例を踏襲しようとする政府も知恵がなさすぎるが、ここまでかたくなだと、最後は金銭問題ではないかと勘繰りたくなる。スポーツの力をはき違えたのはどこからか。(K)※敬称略