https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202008250000057.html
★すでに、国民の多くは「まず来年の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは中止、いやできないだろう。そもそも世界各国で予選やアスリートたちは練習したり、日本に来ることができるのか」という世界共通の疑問を持っている。ところがIOC(国際オリンピック委員会)やJOC(日本オリンピック委員会)は、はっきりしたことを言わず、時間稼ぎをしている。新型コロナウイルスのワクチンが年内にできたとしても全世界に行き渡るのには時間もかかるし、ワクチンが絶対的なものかもわからない。来年のこの暑い夏に日本で競技することのリアリティーも世界中で疑問視されている。
★それでも、スポンサーを募ってきたJOCや東京都から中止を言い出せば違約金が発生するし、IOCは世界のオリンピック放映権を持つ米NBCがやめると言い出さない限り、その契約金で運営している手前、何も言えない。そのNBCは会場が無観客なら世界中がテレビを見るはずと、今のところだんまりだ。つまり各団体がすくんだまま行けるところまで行くという片道切符のような現実の前に漂っているといえる。
★そこに、12年のロンドン五輪で組織委員会の会長も務めた世界陸連会長のコー男爵(セバスチャン・コー)が21日、「東京五輪が来年開催されない場合、陸上競技界は『型にとらわれずに考える必要があるかもしれない』」と英BBC放送で助け舟を出した。コーは「東京五輪の開催を心から願っている。そうあってはほしくないが、もし全般的に競技シーズンの継続がかなり困難になった場合は、違う種類の大会の創設について、少しばかり型にとらわれない発想をする必要があるかもしれない」。この問題に引導を渡すのは世界陸連でないかと思われていたが、まさに代替大会を模索して今回の東京大会中止はやむを得ないという環境づくりを始めたといえそうだ。次はどこのだれがこの問題に答えるか。(K)※敬称略